↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【新大陸へ】
197/237

伝説の

「キュクロさ~ん。」



 俺は扉を開けながらそう部屋の中に声を掛けた。



「おっ、なんだ?ダイゴじゃないか。」



 部屋の中にいたキュクロさんが俺の姿を見て答えてくれた。



「お久し振りです。」



 俺は久々に会った鍛冶の神キュクロさんに挨拶する。



「久し振り?そう言えばそうだったかもしれないな。お前達とは時間の感覚が違うからはそんなに日は経っていなかったと思ったが。」


「そうなんですね。まぁ半年くらいなら神にとっては一瞬のなんでしょうね。」


「それでどうした?」


「えっと、一応報告とかしておこうかと思いまして。

 知識と知恵の神の試練を受けて無事戻ってくることが出来ました。」


「そうか、という事は魔王と勇者の事を知ったという事だな?」


「えぇ、キュクロさんが俺に言うことが出来なかったという理由がわかりました。

 あんな話を先に聞いてたら迷宮に潜って頑張る気も失せていたかもしれません。」


「そうか。そう言えば他の奴らはどうした?」


「ブランとアリアは宿で待ってもらってます。ガイとシータはクレタの町にいるみたいなんでこの後合流します。」


「1人でここまで来たってことか?」


「はい。まぁあんまり聞かせたくない話かなって思って。」


「お前がそう思ったのならそうなんだろう。ただあいつらにはいつかはわかることだろうがな。」


「えぇ、それもわかってます。折を見て話すつもりです。」


「それでお前は何故命を懸けて魔王を討とうとする?」


「大事な仲間達やその周りの人たちに笑って暮らして貰いたいからでしょうか。」


「なるほどな。」


「変ですか?」


「変かどうかは俺にはわからない。俺達神にはない感情だからな。俺達は各々が独立した存在で唯一無二、家族や親族と呼べる存在はいない。恋をしたり愛したりと言う感情もない。故に大事な存在と言う者はいない。

 神がお前達が抱く感情を理解することはないだろう。だから変かどうかはわからない。

 しかし人としてまっとうな戦う理由だろう。お前以前の勇者でもそう言った者はいたぞ。」


「そうなんですね。」


「しかしお前はその報告の為に俺に会いに来たのか?」


「そうですね、お世話にもなりましたし。今後会う事はないかもしれませんし、挨拶ぐらいはしておこうと思って。」


「てっきり何か恨み言でも言われるのかと思ったが。」


「恨み言ですか?」


「そうだ。何故先に教えてくれなかったのか?そうすれば知識と知恵の神の試練は受ける必要がなかったのにとな。」


「それは仕方がないと思ってます。

 それにあのタイミングで受けたから意味があった気がしますしね。」


「タイミングだと?」


「そうですね、迷宮に入って皆との絆も深くなったからこの人の世界を守ろうと思えるようになった様に感じますし。迷宮で身も心も、そして絆も強くなってからあの試練を受けたから乗り越えられたようにも思えます。」


「そうか、ならいい。

 そう言えばこの後はどうする予定なんだ?」


「知識と知恵の神、オモイカネにはエルフの里に向かうように言われました。

 今回の魔王は俺と同じスキルを持っているし、魔族も強くなっている。それに対抗するには他の種族の力も必要だという事で。」


「そうか・・・。ならばお前に俺のが作った武器を授けてやろう。」


「えっ!?キュクロさんが作った武器をですか?」


「あぁ。」


「えっと、以前に神は人の世界にあまり干渉できないからキュクロさんは俺には武器を作れないとおっしゃてましたよね?」


「そうだ。ただ思い返してみればお前は俺が作った迷宮を完全攻略した唯一の勇者だ。

 元々50階層、試練で力を見せた者には加護を与える約束はしている。ただ100階層を攻略した者に何を与えるかは決めていなかった。」


「神器ともいえる言える神レスティアの力が使われている首飾りは?」


「あれは迷宮を攻略した者に対しての褒美の品だ。

 俺の試練を攻略したとはまた別物だ。」


「そうなんですね。」


「ただやると言ってもお前に使いこなせるかどうかの話だ。」


「えぇ~っと、それってもしかして武器の方が持ち主を選ぶとかそういう部類の話でしょうか?」


「そう思って貰って構わない。鞘から抜くことが出来るかはお前次第だ。」


「鞘ってことは剣か何かですか?」


「あぁ、剣(つるぎ)だ。」



 それって神が打った伝説の剣ってことだよな?

 そんなのがあったんだな、やっぱり。

 しかしあれか~、よくある持ち主を選ぶとか言う奴か。お決まりだよなぁ。

 いざ剣を手にしたものの鞘から抜くことが出来なかったらカッコ悪いだろうな。と言うより宝の持ち腐れにしかならないだろう。

 でもこういう場合勇者なら扱うことが出来たりするはずなんだけどな。

 後はピンチになった時に「剣よ、俺の想いに答えてくれ!」とかなんとか言って鞘から引き抜こうとすると光を帯びて剣が抜けるとか。

 そればっかりは試してみないと分からないか。



「えっとそれって今貰えるんですか?」


「いや、俺の手元にはない。お前達が向かうエルフの里に祭られてるはずだ。」


「えっ?そうなんですか?」


「あぁ人の手にあるとどこへ行くかもわからない。エルフたちは長命だったり、神の物を取りあったりしないしな。」


「そうか、人の世界にあるとそう言う可能性も出てくるのか。だったらキュクロさんが保管しておけばいいんじゃないですか?」


「いや、何、俺にも扱えない剣(つるぎ)を持っていても仕方がないからな。」


「えっ!?キュクロさんにも抜けないんですか?」


「まぁな。知っての通り俺は鍛冶の神だ。剣(つるぎ)の神じゃないんだから使えなくても不思議じゃないだろう。」


「そういうもんなんでしょうか。」


「そういうもんなんだよ。まぁ丁度エルフの里に行くようだからついでにとってくればいい。さっき言ったように使える使えないは別の話だがな。」


「え~っと、俺がエルフの里に行くっていう事でその剣(つるぎ)の事思い出しませんでした?

 俺が里に行くって言ったから試練に合格したから与えるものがあるとか言う話もしたような感じでしたけど。」


「何を言っておるんだ、全く。そんなことはないぞ、そんなことはな。」



 なんか視線が合わないんだけど。

 忘れてたっぽいよな。

 まぁ使えるかどうかわからない剣なんて忘れるか。



「しかしその剣(つるぎ)には特別な力とかがあるんですか?それを使いこなせればどんな敵でも倒せる的な。」


「特別な力はあることにはあるが、どんな敵も倒せるかどうかは別物だ。」


「そうなんですか?それがあれば魔王討伐に大きな力になるとかじゃないんですか?」


「それはお前で確認すればいいだろう。何度も言うように使えるかどうかわからないんだからな。」


「それはそうでしょうけど。」



 う~ん、何とも歯切れが悪い感じだな。何か隠してる?また言えない事なんだろうか。

 勇者にその剣を使わせる自体あまり良くない事だとか?

 干渉できないって話だし、俺が勝手に見つけたことにして使う事にした方がいいってことだろうか。

 そこら辺は俺が察した方がいいんだろうか。聞いても教えてくれなさそうだしな。

 自分で答えを見付けろとかそう言う方向の気がする。



「わかりました。とりあえずエルフの里に行ってから考えます。使えるか使えないかも含めて。」


「あぁ、例の首飾りを見せれば問題ないはずだ。エルフ達にも俺の試練を攻略したということが分かるだろう。」


「そうですか。わかりました。なんにせよまたその時になってみないと分からないってことなんで俺達はエルフの里に向かう事にします。

 それも色々と大変な事がありそうですしね。」


「だろうとも。まぁしっかりやれよ。」


「はい、じゃあまたお会いすることがあれば。それまでお元気で、って言うのは神に対して言うセリフではないですかね。」


「かもしれんな。」



 俺はそんな話をキュクロさんとして別れた。

 しかし、俺はホントについでに挨拶に来ただけだったんだけど。

 一応オモイカネに行くようにとアドバイスを貰ったし、ザールの町にも来ることになっていたからついでにキュクロさんに挨拶しておこうと思っただけだ。

 それがまさか伝説の剣とかの話になるとは思わなかった。

 そう言う話があるんだったらもっと前にしておいて欲しかったと思う。

 でもまぁ話を聞いてなくてもエルフの里に行けば自然とその話になったかもしれないけどね。キュクロさんの迷宮を攻略してたのはして、首飾りも持ってるんだし。


 と言うかまたなんか謎が出てきたんだけど。

 キュクロさんは自分でも使えない、使えるかどうかわからない剣を何故生み出したんだってことだよな。

 武器として作ったのなら誰かが使えないといけないはずだ。

 しかも勇者である俺でも使えるかどうかわからない剣って何の為に作ったんだよって話。

 誰かわからないが使える者が現れるであろうと言う前提で武器を作るとなると、何かに必要だったってことだよな。

 話を聞く限り対魔王って感じの武器でもないし、どういう時に、何の為に使う剣なんだよ。

 こんな事ばっかりだよな、基本的に。

 ゲームの主人公とかってこんな事毎回考えながらやってるんだろうか。

 それともそこまで深く考えてないとか。

 はぁ駄目だまたなんか考えていたら色々と想像を膨らませてしまう。

 魔王と勇者を事も知らない内は色々勝手な想像とかしてたけど当てはまってる部分はあんまりなかったか。

 伝説の剣も使えるかどうかを試してみてから考えるでいいか。結局引き抜けなければ考えていたこととか無駄になりそうだし。

 また引き抜くことが出来たらそれで答えが出そうな感じだしな。


 とりあえず挨拶も済んだことだしブラン達と合流しようか。



------------



「ってなことがあった。」


「はぁ、伝説の剣ですか。」



 ブラン達の待つ宿に帰ってきて、先程キュクロさんと話した内容の話せる部分だけ2人に伝えた。

 するとブランが感心したような声でそう言った。



「うん、まぁ俺でも使えるかどうかわからないらしいからついでと言えばついでになるかも知れない。

 エルフの里にあるらしいから使えるようなら貰ってこようかなって感じかな。」


「神が作った武器をついでとは・・・。」



 ブランが驚いた様に言った。



「ん~、言ったように使えるかもわからない武器で、特に魔王に対して有効かどうかも怪しいし。そこまで固執する必要はないかなって。」


「しかし神が御造りになったという事であれば人の手では作れない業物(わざもの)でしょう。

 一目拝見してみたいものですわい。」


「そっか、ブランは鍛冶職人として気になるのか。

 確かに見るだけでも勉強になるかも知れないね。」


「はい、キュクロ様には色々と教えて頂けましたしのう。やはり神とは凄いの一言ですわい。」


「その鎧も作り方教えて貰ったの?」



 ブランは今は鎧を装備している。

 昨日までは店に立っていたりしてたので着てなかったが、今は全身を鎧で固めている。

 鎧自体は以前着ていたものとそこまで変わりはないように見える。

 全身を覆う様な鉱物とも別の物質とも思わす様な質感の鎧だ。

 全体的には黄土色、茶色、黒で統一されていて、所々に金色の細工の様なものが見れる。

 兜も以前のバイキングヘルムの様な感じで左右に角が出ている形だ。

 そして背中にヘカトンケイルを畳んだものを背負っている。

 見た目的にはそこまで変化はないが恐らく性能はケタ違いなんだろう。



「教えて頂いたと言いますか、ほぼわし1人で作った様なものですわい。」


「そうなの?」


「えぇ、自分で作らなければ意味がありませんし。主(あるじ)に頂いたスキルもありましたし、そう難しいことはありませんでした。

 見た目は前のとはあまり変わり映えしませんが物理に対してや、魔法に対してもかなりの耐性がありますわい。異常状態への耐性なども付けておりますのである程度の攻撃であれば傷つくこともないでしょう。」


「へぇ~、それは凄いね。」


「はい、キュクロ様にも褒めて頂きましたぞ。今までにはない、人が作る防具の中では最高峰だとお墨付きを頂きました。」


「まぁそうだろうね。今までそんなスキル持ってる人物なんていなかっただろうし。

 流石はブランだね。」


「いえいえ、これも主(あるじ)あってのことですじゃ。」


「いやいやいや、それはブランが『ゴホンッ』ってアリアいたの?」


「えぇいましたとも、ずっとおりました。」


「昨日に引き続き今日も話が進みませんわ。」



 ここで俺は【念話(テレパス)】に切り替える。



「なんだよ、俺とブランが仲良くしてるのを見たかったんじゃないのかよ?」


「それはそうですけれども、何か違います。

 そんな装備品の事など、どうでもよいのです。

 ではなく、もうちょっとこう『俺がいない間寂しい思いはしなかったか?』とか『いつもブランの事考えてたんだぞ』とかそういう言葉はないんですか?」


「いや、流石にそれはこっぱずかしいだろうが。

 『どういうことですか?』とか聞かれたらなんて答えるんだよ。」


「そこは上手く答えればよいのではないですか?

 『いや、何となくそう思ってしまったんだよ。どうしたんだろう、俺。なんかブランの事が気になって・・・。』『主(あるじ)・・・。』とか。」


「どこのBLだよ。久々に会ったんだからこんな感じでいいんだよ。」


「そんな!私が楽しめません。」


「いや、そんなのいらないから。アリアの楽しみの為にいる訳じゃないからな。」


「えぇ~、やっぱりダイゴ様はヘタレなのですね。

 こう会えない日が続いたから溜まりに溜まったリビドーが爆発してとかないのでしょうか?」


「それは人としてどうかと思う。そんな人間なら今こうしてないと思うけどな。」


「それはそうかもしれませんね。では次にガイ様と合流した時に期待しておりますので。」


「いや、本当にしなくていいから。絶対そんな事言わないからな。

 俺には俺の考えがあるんだから放っておいてくれないか?」


「仕方ありませんわね。やり取りを見て妄想を膨らませるしかありませんわね。」


「そういう事聞きたい訳じゃないから。まぁアリアはアリアだから何を言っても無駄なんだろうけど。」


「どうかされましたか?」



 そんな話をアリアと【念話(テレパス)】で話してたらブランが不思議そうに聞いてきた。

 そう言えばブランも目の前にいたんだった。急に黙り込んだから不審に思ったんだろう。



「いや、なんでもない。じゃあガイ達に合流しに行こうか。」



 俺はブランにそう言って気持ちを切り替えた。

お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。