↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【魔法大国 スラグスル】編
195/237

卒業

「どういうことなの?」



 俺の前にはアーサーがいて、そう聞いてきた。

 俺とアーサーは寮の自分達の部屋にいる。

 俺がアーサーにこの学園から去ることを伝えると、泣きそうな顔をしてアーサーが聞いてきたんだ。



「えっと、前にあったトーナメントで僕の事を気に入った人がいてね。その人の所に行くんだ。」



 俺はアリアと一緒に考え、この学園を去る為の理由をそうした。

 この間の魔法対戦トーナメントの試合を見て、とある権力者が俺の事を気に入って自分の手元に置きたいと言う話になったという事だ。

 元々魔法対戦トーナメントはそれが目的だったという事もあるし。

 使える魔法使いを権力や財力を持ったお偉いさん達が自分の下へスカウトするみたいなことだ。

 俺も当然あのトーナメントでは活躍した方に入る。だからそんな話があってもおかしくない。

 ベックやアーサーも今後お呼びがかかる可能性だってあるんだ。

 

 だから学園長と言うかオモイカネにはそう伝え、そういう事にして貰うようにした。

 実際にはいないどこかの権力者のところに俺を派遣するという事でね。

 まぁこの学園から出ればもうナイトと言う存在自体がいなくなるんだ、問題ないだろう。

 どこにもいない権力者、実際には存在しない魔法使い。その後を誰かの耳に入ることはないはずだ。


 アリアに関しても同じでいいかと思ったけど、流石にアリアは変装と言うか変身と言うか。姿形は変えていなかったから、その設定だと難しいかと思った。

 アリアはレベル10ある魔法使いだ。そんな人間は世の中にはほとんどいないし。下手に存在しない人間の下で仕えているという事にするとバレる恐れがある。

 トーナメントではアリアが凄いことを何人もの権力者が見ている。誰からの下に行くのだったら、金を積めば自分の下に来てくれるかもしれない。そんなことを思ってアリアの事、アリアが仕えている者の事を探られると簡単にバレるだろうし。

 だからアリアは学園長からの依頼で世界各地を回り、魔法を伝える旅に出るという事にして貰った。

 そうすればこの世界のどこかでアリアの姿を見られても問題ないだろう。

 ゆくゆくは俺も勇者として公表することがあるだろう。その時アリアが横にいても、旅の最中に俺と知り合い勇者の仲間になったという事にすればいいかと思ったんだ。


 それをオモイカネに話し、そのような形にしてもらった。

 もう少ししたら俺達は学園から離れることになる。

 俺達がいなくなった後でオモイカネから皆にそう言う理由で学園を去ったことが伝えられるだろう。

 だけどやっぱりアーサーには先にちゃんと挨拶をしておきたかった。

 それで俺はアーサーに話があること、この学園からもうすぐ出て行くことを話したんだ。



「そんな、急すぎない?」


「仕方ないよ。向こうの都合だからね。僕も図書館で調べたい事も調べ終わったから、この学園から出て行っても問題ないし。」


「だって、そんないきなりだなんて。折角友達になれたのに・・・。」



 アーサーが俯き泣きながらそう言った。


 アーサーには本当の事を言おうかどうしようか迷った。

 実は俺は勇者でこの姿自体も作った物なんだと。

 しかし魔王の事もあり、俺の事を知っている人物は多く作らない方がいいと思った。

 俺と同じ様な考えをするんだったら少しでも相手の情報を集めようと知ってる人間を探したりするかもしれない。もしくは人質として取られるとか。

 そうなってしまったらアーサーの身が危ない。やはり何も伝えずにいた方がいいんだろう。



「そうだね。僕たち友達だよね?」


「えっ!?うん。僕はそうだと思ってるよ。ナイトは違うの?」


「ううん、僕もアーサーの事は大事な友達だと思ってるよ。

 だからね、僕がこの学園から離れてしまっても友達のままだって思ってるもん。

 アーサーは違うの?僕が学園からいなくなったらもう友達じゃない?」


「そんなことないよ。ナイトは離れてたってずっと大事な友達だよ。」


「良かった。じゃあ大丈夫だよ。どれだけ離れたって僕達は友達のままなんだから。

 会う事はなくなるかも知れないけどアーサーの事を忘れたりしないし、もしかすればまたどこかで会えるかもしれないし。その時を楽しみにするから。」


「うん、僕も楽しみにしてる。その時にはもっと魔法を使える様になってて、ナイトを驚かせてやるんだだから。」


「期待してるよ。」



 アーサーは目に涙を浮かべながら笑ってそう言った。

 アーサーも大分強くなったと思う。以前であれば泣いてるだけだっただろう。しかし今は次に会った時には驚かせてやるとまで言った。

 俺と出会ったことによって強くなれたんだったらいいな。

 少しは俺もアーサーにとってプラスになったという事だ。

 ただ実際の自分とは違う姿、形でと言うのが騙している様で心苦しいけど。

 そして多分こうは言ったがアーサーとはもう会う事もないだろう。

 次に元の姿で会った所でアーサーは俺の事もわからないだろうし。



 こうして俺の学園生活は幕を閉じることになった。

 この学園に来て予想通りと言うか、結構な時間がかかった。

 半年くらいはこの学園にいた計算になるか。

 ガイ達はブランの所に戻ってきてるんだろうか。

 皆に会うのも久し振りだな。元気でやってたんだろうか気になる所だけど、皆であれば特に問題はないんだうがな。



 さてと、今後の動きと今までの事を整理しておくか。皆に会った時にどう伝えるかも考えておかないといけないしな。



 結局俺は神レスティアが言った通り知識と知恵の神に会って勇者と魔王とのことを聞くことが出来た。

 想像していたこととは大きく違った。

 どれに一番驚いたんだろうか。

 魔王が俺達と同じ世界の人間?同じスキルを持ってること?勇者がおまけ?

 う~ん、やっぱり同じスキルか。


 【八百万のスキル(アルティメットスキル)】は俺が考えた、俺だけのスキルだと思っていた。

 それがまさか敵である魔王も持ってるってことになるとはな。

 そう考えると勇者に先にスキルを選ばせて、その後に魔王に選ばせると言うのはかなり重要な事になるのかもしれない。

 勇者だけその事に気付かず魔王が【八百万のスキル(アルティメットスキル)】みたいなスキルを選んだら詰む話だ。

 しかし本当に何故レスティアは俺にそのスキルを与えたんだろうか。

 魔王も選ぶことは簡単に予想がついたはず。その後に魔王に勝てないと教えたり、俺に新たな力を与えたり。

 それも折り込み済みだったってことか。

 【八百万のスキル(アルティメットスキル)】を与えても勇者である俺にはもう一段階上の力を与えられるから、そのスキルを選ばせても問題ないという事なのか。

 新しい力を貰ったとしても、それを貰ってどう魔王に勝つかと言うのが未だにわからないんだよな。

 魔王と勇者の事を聞いたら分かったりするか、ヒント位は掴めるかと思ったけどそんな事にはならなかったし。謎は謎のままってことだ。

 魔王に勝てないと言ったのはもしかすればオモイカネに会いに行かせる為に言ったことかもしれないか。

 いや、そうしなくても勇者と魔王の情報がないならオモイカネにはいつかは会いに行こうとは思うだろう。

 やっぱりわからない。与えられた力を何とかして、どうにか魔王に勝てってことなんだろう。

 その何とか、どうにかは俺が考えるしかないってことだ。

 このことについては皆には黙っておくか。って言っても最終的に魔王と対峙した時にはわかることだから、折を見て話す様にしないといけないか。

 魔王と対峙した時に何故俺と一緒のスキルを持ってるんだ!?ってことになるだろうし。

 試練の時にはあぁ言ったけどやっぱりちょっとは不安なんだよな。

 いくら勇者とか関係なしに俺と一緒に旅をしてくれてるんだろうなとは思ってるけど、絶対にそうかって言うと直接聞いた訳でもないし。でもまぁいっぱいスキルは使えるようになったし、これからもドンドンスキルを使える様になるからかと思うと勇者とか関係ないんだろうけど。

 いや、こんな話をすると多分また皆に怒られるんだろうな、何言ってるんだ?って。

 皆俺とだから旅をしているとか言ってくれるんだろうな。

 勇者とか、スキルを覚えられるとか、強くなれるとか、そんなの関係なく。

 言ってくれたら嬉しいな。

 だからと言って試すようなこともしたくないし。

 実は勇者っておまけみたいなもので、後魔王は俺と同じスキル持ってるんだ。それでも一緒に戦ってくれるか?

 ん~、当たり前だと言ってくれそうなんだけど心のどっかでもしかして、と言う気持ちも持ってしまう。

 俺自身は皆が大事だから命を懸けてこの世界を、いや、世界と言うか大事な人達を守ろうと思えた。

 それは俺自身の本心だから間違いはない。

 と言うか考えてみたらそれは聞かないといけない事なんだろうか?

 レスティアに魔王には勝てないと言われたのはみんな知ってる。その上で勝つためにどうすればいいかをそれぞれ考えたりしてる。

 それは俺が勇者だからとかは関係ない。その時にそれでも一緒に行ってくれるか確認したじゃないか。

 俺が勇者であるから絶対に魔王に勝てる、【八百万のスキル(アルティメットスキル)】を持ってるから魔王に勝てる、そんな話ではなかった。皆それを分かった上で俺に付いてきてくれるって言ったんだ。

 皆には勇者と一緒だからとか言う考えは元からないのかもしれない。勇者の事もあまり知らないし。皆にとっては昔魔王を倒した凄い人ぐらいの印象だもんな。

 そう考えるとやっぱり俺だから一緒に旅をしてくれてるだろう。

 駄目だ、そう考えると顔がニヤけてしまう。

 オモイカネの試練で見たくない過去とも対面させられたし、突っ込まれた。

 俺はずっと俺の事、俺自身の事を受け入れてくれる人を探していたんだろうな。

 こんなことで喜んでる場合じゃないんだろうけど、これからまだまだやらなくちゃいけないことはいっぱいある。

 だけど皆がいてくれたからここまでこれたし、これからもやっていけそうだ。


 そしてこれからの話だ。

 これからエルフの助勢を求める為エルフの里に行かなければいけない。

 と言うか以前の勇者はエルフとかと一緒に戦わなかったんだろうか。

 まぁただ1つだけ強いスキルを持った魔王だったら勝つのは難しくなかったのかもしれないが。

 そう考えると本当にそんな魔王を何故召喚する必要があるのかってことだよな。

 魔王を召喚すると何らか魔族にとって有益な事があるんだろうな。

 魔族全体的な能力の引き上げとか、後は指導者として必要とか。

 魔族の中から魔王を選出するには倒し合いをしないといけないみたいだし、魔族って勝手なイメージだけど個々の力が強すぎて競合出来ないみたいな感じがする。こちらの大陸に攻め込んでとかを企ててもバラバラになりそうだ。

 魔王がいれば魔族全体の意識が統一されつとかの意味があるとか。

 後は風習的な何かかも。

 人族の中でも勇者召喚は神から言われて詳細はよく知らずやってた感じだし。魔族の方でもそう言う伝承とか何かがあったのかもしれない。

 魔王が召喚されればこの世界を魔族が支配できるとか。そう言う伝説か伝承が伝えられていたのであれば、試してみようかと言う話になるのかもしれない。そう言うのを盲目的に信じるのはどこの世界にでもいるだろうし。

 魔族も寿命が長いって言うからもしかしたら代々の勇者と魔王の戦いを知ってる者もいるのかもしれない。魔王がいて勇者がいるとなればそう言った伝説、伝承にも真実性が増すだろうし。実際に魔王を倒す為の勇者が召喚された、伝説は本当で勇者さえ倒せば世界は魔族のものに・・・、とか。

 そうなると一番最初に魔王が召喚されたのってどういう訳なんだろう。魔王召喚が大本で、勇者召喚はそのおまけってことであれば一番最初にこの世界に召喚されたのって魔王だってことだよな。

 その魔王ってどういう話で召喚されることになったんだろうか。

 しまった、オモイカネにその事を聞いてみたらよかった。今更聞きに戻れないし。

 と言ってもそれを知ったから今の魔王に勝てるとかの話にはならないか。

 聞きたいと思えば魔王を倒してからまた行けばいい話か。いや、ゴートさんに会うついででいいか。


 とりあえず俺はこれから協力者を増やしていかなければいけない。

 カストの軍を壊滅させた話とかも聞いたし、今の魔族には相当の強者(つわもの)がいるんだろう。

 それを流石に俺と仲間だけで対処できるとは思わない。志を同じくした力を持った者が必要だ。

 そこでまずはエルフだな。

 その内獣人や精霊なんかも話をしていきたい。

 獣人の仲間も欲しいな。モフモフ系がいい。うん、モフりたい。

 違う違う、そういう話じゃない。

 エルフはシータがいる。

 まぁシータを助けて仲間にしたのは多分この為なんだろうな。アリアは後々プラスになるって言ってたし。もしシータを助けなくても世界が滅ぶとかではないと言ってたから別の大変な思いをするだけなんだろう。

 それがどういう事をして、どうなってって言うのはわからないが。大きな分岐点、シータを仲間にするって言うのはクリアしているんだ。後は流れに乗って行けば問題ないんだろう。

 

 ブランの所に戻ってガイとシータが帰って来てたらいいけど、まだなら迎えに行くか待つかするか。

 それから大陸を渡る手段を考えないといけないかな。

 普通に考えて大陸を渡ろうと思ったら船を持って自分の船で渡るか、冒険者として護衛の依頼でも受けて一緒に人の船に乗っていくかとかだろうか。

 分身体を向こうの大陸に送って、移動するっていう手もあるけど分身体を送る為のHPとかの配分が分からないし。途中で力尽きるとかあったら困るしな。こちらもステータス値が減った状態だと何かあったら対処できないし。

 他の方法もないかを考えながらどうするか皆と相談するか。

 なんかいつも通り俺に任せるとか言われそうな気がするけど。

 いっそのこと船でも作るか?今だったら魔法だったりスキルを使えば何とかなりそうだけど。

 【倉庫持ち(アイテムボックス)】の中に入るくらいの大きさならいけそうだ。

 ただまた作るのにも時間がかかるかな。ある程度は時間はあるだろうけどそこまで悠長なことはしていられないかもしれない。



 まぁまずはブランの所に帰るとするか。

お読み頂きありがとうございます。


【魔法大国 スラグスル】編はこのお話で終了です。

次話から別の章へ突入することになります。

意外にスラグスル編は短くなりました。25話程ですかね。

魔法対戦トーナメントをもうちょっと長々書こうと思ったんですけどあれが主な話でもないし。

毎度のことながらダイゴはブレブレです。神の試練では皆の事を信じたはずなのに・・・。

だからと言っても人間いきなり変わるかと言うとそうでもないかなと思うので、まだこれからもブレることはあるでしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。