↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
157/237

攻略の果てに

「じゃあ申し訳ないですがお願いします。」



 俺はそう言って扉を開けた。

 俺が開いたのはギルド兼酒場に通じる扉だった。扉を開くと大きな歓声が上がった。



「お前ら、このバロン様が迷宮の完全攻略を成し遂げたぞ!」



 バロンさんは大声を上げてその歓声の渦の中に入って行く。

 それを尻目に俺達はそそくさと脇を通り、ギルドから抜け出す。

 俺達には支援魔法の【天狗の隠れ蓑(ヒドゥンマント)】をかけてあり、誰も俺達の存在に気付く者はいない。



 100階層からの魔法陣に乗って地上に戻ってきた。

 そこで俺はバロンさんにお願いをした。俺達はこのまま宿に戻るのでギルドでの対応を任せたいと。

 アリアがダウンしていたので宿に帰って休ませてあげたかったからだ。別の理由もあることにはあるんだけど。

 バロンさんは仕方ないと言った感じだったが了承してくれた。また後日挨拶に行くことを伝え、支援魔法を使って姿を消した。そしてギルドでのどんちゃん騒ぎから何とか俺達は抜け出したんだ。

 アリアはガイがおぶったままだ。かなり体に負担がかかったようだ。いや、ステータス値には変化がないから精神だったり、もしかして魂とかそういう事なのかもしれない。

 そして急いで宿まで戻り部屋に着く。

 ベットにアリアを寝かせる。アリアも意識があるのはある。ずっと俺の方を見ている。ゆっくり休めと言いたいところだけど先程の事が気になってるんだろう。少しだけ話をするか。

 俺はそう言って空いたベットに腰かけた。

 ここはアリアとシータの部屋だ。ベットは2つしかない。1つのベットにはアリアが横になり、もう1つのベットに俺が腰かけた状態だ。



「えっと、少し話をしようか。それとも先にゆっくり休むか?」



 俺はアリアに声を掛けた。



「いえ、今のままでは気になって休めそうにありませんもの。」



 アリアはそう言って上半身を起こした。



「わかった。ガイとブラン、シータも座ってくれ。」



 俺はそう言った。なんか女の子が寝ているベットに腰かけるって言うのも良くない感じがするがこの際仕方ないだろう。俺は少し寄ってスペースを開ける。そこにガイとブランが座った。シータはアリアのベットの方へ腰かけた。



「とりあえず、迷宮は攻略できた。今まで協力してくれてありがとう。

 そしてこれからの事だが・・・。そう言えばアリアはさっきの内容はわかっていたのか?意識はある状態だったのか?」



 そう言えばと思って俺はアリアに聞く。



「えぇ、レスティア様の言葉もダイゴ様がおっしゃったことも全て聞こえておりました。」


「そうか。とりあえず俺もかなりショックを受けた。

 今回迷宮最後でああなることはある程度予想はしていた。神レスティアともう一度話をすることになるんじゃないかってな。ただ前にアリアに言われたけど【天啓(リベレーション)】は意思が介入すると結果が変わってしまう事があるって、そう聞いたから何も言わずにいておいた。何も言わなかったことについては謝る、ゴメン。」



 俺はガイ達に謝る。一応は想定していたことだったことを隠してしまっていたし。



「ただ俺は今回神レスティアに会う事で魔王についての詳しい話や、後は倒し方なんかを教えてくれるのかと思っていたんだ。そうじゃなくてもこの先どうすればいいかの指針を示してくれるとか。まぁそれは教えてくれたんだけど・・・。

 しかしあぁはっきりと今のままでは魔王に勝てないと言われるとは思わなかった。

 皆も強くなったし、俺も神モドキを作ったりとかなりの強さがあると自負はしていたんだけどな。それに今までの勇者は50階層位しか攻略していないにもかかわらず魔王を倒していたんだ。当然俺達なら問題ないと思っていた。それがな・・・。俺だけじゃなくて皆もショックだったかもしれないけど。

 でもな、今のままならってことで俺に新しい力をくれた。その力を使えば勝てるようになるってことだろう。

 そこでなんだけど、もう迷宮は攻略したからこの町からは出る事にする。一旦ザールに戻ってキュクロさんに武器の作り方を教えてもらい装備を整える。それから知識の神を訪ねようと思う。」


「それで良いのですか?」



 俺の言葉にブランが質問する。



「うん、いきなり知識の神を訪ねるのもな。レスティアは俺なら試練を乗り越えられると言った。また今回の様な試練があるんだと思う。だからそれまでに装備を整えておきたいし。

 それに与えられた力を使いこなせれる様になるか少し時間がかかると思う。」


「なるほど。」


「なんか色々いっぺんにあり過ぎて俺もちょっと考えを整理したいし。とりあえず今後の予定はそう言う事になりそうだけどいいかな?」


「あぁ、そうだな。」

「えぇ、もちろんですわい。」

「私も構いません。」

「シータも。」



 皆の了承は得られたようだ。



「じゃあ、俺達は部屋に戻るからゆっくり休んでくれ。出来たら明日バロンさんの所を訪ねて挨拶しよう。」



 俺はアリアに向けてそう言って立ち上がった。



「わかりましたわ。少しゆっくり休息を取らせていただきます。」



 その言葉をアリアから聞き、俺達男性陣は部屋を後にした。そして自分達の部屋に戻ってきた。

 俺はベットに横になる。なんだかちょっと疲れた。ガイもブランも無言だった。気を使ってくれてるのかもしれない。

 だから俺は目を閉じ少し考え事をすることにした。



 それにしても驚いた。

 さっき話した通り今回最終階層を攻略することで神レスティアと対峙すことになるのは予想していた。

 そしてなぜ対峙するかという予想もするにはしていた。

 伝説の武器の在り処を教えてくれるとか、今まで謎だった魔王と勇者の話をしてくれるとか。

 俺のスキルのパワーアップは考えた。【八百万のスキル(アルティメットスキル)】で付けれるスキル枠を増やしてくれるとかな。与えられた力はそれよりもかなり上だとは思うが。

 まさか魔王に勝てませんなんてな。予想の範疇を越えていた。

 正直神降しをしたら勝てるんじゃね?とか思ってたのに。しかしそれでも勝てないとなるとどういう事なんだろうか。純粋な力としてそれ以上って何かあるんだろうか?それとも他には勝てない理由があるとか?絶対防御のフィールド持ってるとか。でも俺が新たに貰った力はスキル同士を合成して新たなスキルを生み出すことが出来る力だったよな。今までとさほど変わりがないと言えば変わりがないんだけど。でもその力があれば勝てるようになる、そういう事なのか。

 う~ん、全然見当がつかない。また謎が増えた。

 知識の神に会えば魔王の倒し方を教えてくれるとか、もしくは貰った力の真の使い方とか。

 いや、レスティアはそんな事一言も言ってなかった。

 知りたかった真実に出会えるって言っていた。

 何かがおかしい気がする。ただ話が嚙み合ってないだけじゃない気がする。真実ってどういうことだ?こういう場合の真実っていう言葉は、実際には目に見えていなかった部分が明るみに出るとか、間違って理解していたことの正確な事が分かるってことなのか。

 そもそも俺は勇者や魔王について知ってること自体ほとんどないんだぞ。知らないことを知るだけで真実に出会うなんて言い方をするのか?

 俺が単に考えすぎで、知識の神に会ったら俺の持ってるスキルでの魔王の倒し方を教えてくれるだけかもしれない。だがその予想は間違ってる気がする。何となく違うというだけという勘みたいなものだ。

 くそ~っ、またこのパターンか。実際に行ってみないとどういうことかわかりませんってな。

 なんだかもどかしい。この迷宮を攻略するのにもどれほど時間と労力がかかったか。それで分かったことよりも新しく謎になったことの方が多いなんてな。新しい謎を解くのに更にまた時間と労力がかかるんだろう。

 しかし魔王討伐に行かなくてよかったってことか。今の俺なら勝てないみたいだし。しばらくは様子を見ないといけないってことだろう。

 やらないといけないこともいっぱいあるしな。どれから手を付けていいかもわからなくなってきた。勇者ってこんなに面倒なんだな。なって初めてわかったよ。チートみたいな力持ってたら簡単に魔王なんて倒せると思ってたんだけどな。そう簡単な話じゃなかったってことだ。

 今は少し休むか。苦労して攻略した迷宮の喜びとかはどっかにいってしまったし。

 そう思い俺はそのまま眠りに落ちていた。




-----------------



 翌朝目が覚めた。昨日は晩飯も食わずに寝てしまったようだ。迷宮から帰ってきたのは夜になってからだった。【青龍(せいりゅう)】と戦ったり、神レスティアに会ったりで結構時間かかったもんな。

 何となく目覚めは良くない、いやな夢を見た。

 ベットから起き上がる。ガイとブランの姿はなかった。そう言えば昨日2人はどうしてたんだろう?晩飯とかちゃんと食べたのかな。そんなことを考えたが2人共子供じゃないんだしな。そう思ったら腹の虫が鳴った。飯でも食いに行くか。そう思って部屋を出て宿屋の食堂に行った。

 そこには仲間の姿もあった。



「アリア、大丈夫なのか?」



 テーブルにはアリアの姿もあった。



「えぇ、ご心配をおかけしましたわ。少しのだるさはありますが問題ありません。

 今日はバロン様の所へご挨拶に行くのでしょう?」


「そうだな。ここでの用事もなくなったし挨拶をしてザールに戻ろう。」


「少し寂しくなりますわね。」


「えっ?あぁ、バロンさんはパーティから外れるだろうし。今日でお別れってことだな。」



 そう話しながら俺も席に着いた。皆既に朝ご飯を食べていたみたいだ。シータの前には皿がいっぱい積んであった。


「一番寂しいのはガイじゃないのか?仲良かったみたいだし。」


「誰がだと?別にそんなことは思っていない。死に別れる訳でもないし、また会う事もあるだろう。」


「ふ~ん、ガイがここに残りたいって言うのならしょうがないんだけどね。」


「どういう意味だ?」


「いや、バロンさんとここに残って冒険者としてやっていくならそれはそれで仕方ないかなって。」


「お前それ本気で言ってるのか?」


「あっ!?ゴメン、その、いや、でもそういう事もあるんじゃないかって思って・・・。」


「お前っ!」


「ガイ。」



 ガイが立ち上がろうとしたのをブランが止める。



「主(あるじ)は昨日言われたことに悩んでおるのじゃろう。これだけの力を持ってなお魔王には勝てないと言われたとこをな。

 これからは更に危険な旅になるじゃろうな。

 特にわしらに関しては今より強くなるなんてことはなかなか難しいじゃろう。今持っておる力でもそんじょそこらの奴が持っておるような力ではない。それでもわしらの力を足しても魔王には通用せんという事を言われたのじゃ。

 しかしまたお一人で背負い込む気ですかな?」


「いや、そんなことは・・・。

 ただガイはここにきて楽しそうだったなって。一緒にやりたいことを見付ける為に旅に出て、やりたいことが見付かったんじゃないかって思ったんだよ。」


「はぁ、またお前はそんなことを。

 何度も言ってるけど、俺の今やりたいことはお前と一緒に旅をするってことだ。それが命懸けだってこともわかってる。だが命懸けだってことが分かってもお前と一緒にいて得るものは沢山ある。バロンと出会ったこともそうだし、戦い方だって見付けた。お前と一緒にいなければ得れなかったことだ。それはこれからも沢山あるだろう。強くならないといけないなら強くなるだけだ。こんなところにいるより、お前と一緒にいた方が強くなれる気がするしな。

何度言わせる気だ?俺はお前と一緒に旅をするぞ。魔王が倒せないって言うなら倒せるまで強くなってやるだけだ。」


「ガイ・・・。」


「わしも当然一緒ですぞ。主(あるじ)にこの身を捧げております。わしも更なる高みを目指しますわい。」


「ブランも、ありがとう。」


「良いお話ですわね。」



 アリアがそう言った。

 俺はアリアに向き直る。



「うん、そうだな。ありがたい話だよ。これからも俺達は頑張って旅をするよ。

 アリアもありがとう。元気でな!」


「はっ!?何をおっしゃってるんですか?」


「いや、アリアともここでお別れになるからお礼を言っておこうかと思ってな。」


「どうしてそうなるんですの?」


「いや、アリアってある時期まで一緒に行動するってことでこのパーティに入っただろ?それでその時期って言うのが昨日の神レスティアとの対話だったんだろ?」


「そう言えば初めてお会いした時にそう申し上げましたわね。」


「そう、だからアリアがこのパーティにいる理由もなくなったんじゃないの?」


「そう言えば・・・。」


「パーティからバロンさんも離れ、アリアも離れるからもし他の人も離れるんだったらそう言うタイミングなのかと思って話をしてたんだけど。昨日普通に今後の予定を俺が決めて話しちゃってたけど、冷静に考えたらどうするか聞いておかないとと思ったんだけど。」


「いえ、そんな。折角得た人生の楽しみがなくなるなんて考えられませんわ。生きる糧を無くして私に今後どうやって生きていけというのですか?」


「えっと、理由はそれなの?って神官だったよね?教会に戻らなくてもいいのか?」


「もちろんですわ。この身にレスティア様を一時といえども宿すことが出来たのですもの。正直教会に戻っても、これ以上の事はこの後の人生でございませんでしょう。それだけの経験をしたのです。

 それに。」


「それに?」


「もし離れてしまっては今後ダイゴ様がどうなるのか気になって夜も眠れませんわ。

 具体的に言うと、どなたと添い・・・。」


「おいっ。」


「ゲフンゲフン、いえ、今後の勇者様の行く末が気になるのですよ。神レスティア様が仰っておられたのです。レスティア様の信者として少なからずお助けせねばなりませんわ。」


「いや、離れて貰った方が俺の精神衛生上良いような気がするんだけど。」


「まぁ、なんてこと。それに知識の神にお会いになりたいのでしょう?私には伝手もありますのよ。」


「伝手?」


「そうですわ。知識の神は【魔法大国 スラグスル】にいらっしゃいます。」


「そう言えばキュクロさんが知恵の神とか言ってたけど同じ神なのかな?」


「えぇ、恐らく。知識と知恵の神ではないでしょうか。またキュクロ様にお聞きしたらわかるかも知れません。」


「それでどう伝手があるんだ?」


「それは、私が以前スラグスルにいたという事です。回復魔法はそこで学びました。

 スラグスルは簡単に行ける国ではありません。魔法を取り扱う国という事で国に入るにも審査があるのですよ。ダイゴ様では勇者という事を隠しては難しいのではないのでしょうか。そこで私が教会から働きかければ問題なく入国することが出来るはずですわ。」


「そんなことが。」


「えぇ、ですから私はこのパーティにまだまだ必要という事ですわ。それに私が抜けるとシータさんが女性1人になってしまいますし。」


「そう言えば、シータは良いのか?このまま俺達と一緒にいて。」


「うん、皆と一緒にいる。他に行きたいとこない。父様探すのももういい。」


「えっ?もういいのか?」


「うん、皆家族。」


「そうか。そうだな。家族か。」


「ダイゴ?」


「何でもない。俺も朝飯を食べようっと。

 それからみんな、これからもよろしくね。」



 俺はそう言って店の人に声を掛けた。

お読み頂きありがとうございます。


ちょっとこの話は色々含んでます。

伏線とか難しいですよね。憶えておかないと回収できないし。

ってこんなこと書いていいんだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。