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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
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迷宮攻略36

「さてと、準備も整ったことだし進軍と行きますか。」



 俺はそう言って魔力を操作して先程と同じ様に岩の壁に門を作って開いた。

 今回はかなり大きな出入り口だ。さっきはガイ達が中に入ってこれたらいいと思って縦横2m位だったが、今回作ったのは5mの壁をそのまま外開きにする様な形の門だった。

 岩の門が開かれ中から出てきたのは色々な形をした岩の人形(ロックゴーレム)だった。



 俺は今いる砦を作った後にそのまま岩の人形(ロックゴーレム)作りに入った。

 相手が軍隊の様に統率された集団であれば、こちらも同じものを用意して戦うまでだと思ったんだ。

 とりあえず50体の岩の人形(ロックゴーレム)を作った。

 20体には岩で作った、盾と剣を持たせている。後10体には大きなハンマーを持たせた。残りの20体には背中にカゴのの様な入れ物を作って何本もの岩の槍を詰め込んでいる。遠距離攻撃として投げる為の物だ。弓を作っても流石に岩の人形(ロックゴーレム)に弓を引くなんて細かい動作が出来るかわからなかったから投げ槍にした。

 50体の岩の人形(ロックゴーレム)を作るのにはなかなか苦労した。時間もかかると踏んでこうした拠点を作ったんだ。

 そしてその岩の人形(ロックゴーレム)の後ろにはブランの作った【岩の巨人(ギガース)】も控えている。手にはこれまた大きなトゲトゲした先端を持つハンマーというか棍棒と表現した方がいいかわからないものを持っている。

 相手は100体ちょい、これぐらいの戦力があれば大丈夫だとは思ってるが、どうなるかだな。


 その岩の人形(ロックゴーレム)の軍団が拠点から綺麗に整列して行進していく。目指すはリザードマン・キングだ。ここからなら岩の人形(ロックゴーレム)の足では20分ぐらいかかるだろう。その間に向こうもどう動いてくるかだな。

 一応ガイや、バロンさん達にはこの砦の方に残って貰っている。あれだけの戦力があるから自分達も一緒に行って戦おうと思っていたようだがまだ確認していない事があるので残って貰うようにお願いした。



 そう思ってる間にも向こう側に動きがあった。

 陣形を整えてる様だ。形的には魚鱗の陣みたいだな。三角の形で鋭い方がこちらに向いている。

 【索敵(レーダ―)】はホントに便利だな、ここにいながらそんなこともわかるし。

 リザードマン達はそのままの陣形でこちらに進軍してくるみたいだ。いくら拠点防衛をしているからってそこまで攻め込んでくるまで待つ訳はないよな。

 向こうからも進んでくるのであれば後数分で会敵するか。

 なんだかシミュレーションゲームをやってる気になってきた。


 こちらの岩の人形(ロックゴーレム)達の陣形は方陣に近い。一番前の列に盾と剣を持った岩の人形(ロックゴーレム)がいてその後ろにハンマーの岩の人形(ロックゴーレム)、最後の列に槍を背負っている岩の人形(ロックゴーレム)だ。それが四角い形の陣形を取っている。岩の巨人(ギガース)は殿(しんがり)を務めている。

 リザードマンの軍隊との距離が100m位になった。

 岩の人形(ロックゴーレム)は行進を止めその場に留まる。リザードマン達も前進するのを止めた。考えることは同じってことだろう。

 槍を背負っていた岩の人形(ロックゴーレム)達が手に槍を持ち構える。そして力いっぱいリザードマン達の方へ投げる。槍は放物線を描き、100mの距離を物ともせずリザードマン達へ降り注いだ。


 戦闘の火蓋が切られた。


 岩の人形(ロックゴーレム)が放った槍は盾を構えていたリザートマンに突き刺さる。それなりの質量があって先もかなり鋭い、手で持てる盾ぐらいでは防げない。

 岩の人形(ロックゴーレム)達は既に2射目に入っている。リザードマン達も盾で防げないことに気付いたのかあるものは避け、ソーサラー達は爆発する火の玉をぶつけて空中で叩き落としたりしている。岩の人形(ロックゴーレム)の狙いはそこまで正確ではないので、数打ちゃ当たる方式でドンドンの投げている。この遠距離攻撃は成功と言えるだろう。


 リザードマン達も遠距離からアーチャーは矢を放ち、ソーサラーが火の矢を放ってきたりしている。しかし矢ごときが岩の人形(ロックゴーレム)に効くはずもなく、当たっても刺さることなく地面に落ちる。火の矢も前面に立ってる岩の人形(ロックゴーレム)の盾に防がれている。

 相手がどういった攻撃方法を取るか分かっているとこちらも対処しやすい。ソーサラー達も火魔法しか使わないことが分かってるしな。と思っていたら岩の人形(ロックゴーレム)の持ってる盾が爆発した。火の矢が効果がないことが分かったからかソーサラー達が【大爆発(エクスプロージョン)】の魔法を使ってきたようだ。

 岩の人形(ロックゴーレム)達には火はほとんど効果がない。岩を溶かすほどの高熱とかなら別だがそこまでの高熱を作ろうとしたら最上位クラスの火魔法が使えないと無理だ。しかし爆発の衝撃なんかは別だ。いくら火に強かろうが爆発の衝撃は表面を削り、ダメージになる。岩の人形(ロックゴーレム)の盾はかなり魔力を使って圧縮した鉱石を使ってある。それにアリアに支援魔法も掛けて貰い防御力を上げている。だがずっと防げるかとなるといずれは壊れるだろう。その前に何とかしないとな。


 岩の人形(ロックゴーレム)達は前列にいる盾の岩の人形(ロックゴーレム)に守られながら少しずつ前線を上げていく。岩の人形(ロックゴーレム)自体歩くのがそこまで早くないし、敵からの攻撃も飛んできている。だが少しずつだが何とか進めている。


 しかしリザードマン達も攻勢に出てきた。

 剣と盾を持ったウォーリアー達が岩の人形(ロックゴーレム)に突進してきた。そして手に持った剣で岩の人形(ロックゴーレム)を攻撃し始めた。

 しかし岩の体に剣が効果あるはずもなく、斬り付けても弾かれる。岩の人形(ロックゴーレム)達も剣を振るって反撃するが、如何(いか)せん動きが早くはないので簡単にかわされる。

 結局ウォーリアーと剣を持った岩の人形(ロックゴーレム)ではお互いに大したダメージを与えられない事が分かった。と俺はそう思ったが、そこから俺が恐れていた事態となった。

 剣と盾を持ったリザードマンウォーリアーが、その手に持った剣と盾を捨て岩の人形(ロックゴーレム)に飛び掛かった。そして岩の人形(ロックゴーレム)の体に纏わりついてその動きを封じだした。何体ものリザードマンに体に纏わりつかれて動きが鈍くなる岩の人形(ロックゴーレム)の前に大きな槌(つち)を持ったリザードマン・ウォーリアーが現れ、手に持った槌(つち)を大きく振りかぶり槌(つち)に叩きつけた。何度も何度も槌(つち)に叩きつけられた岩の人形(ロックゴーレム)の体が削られていく。ウォーリアーは岩の人形(ロックゴーレム)に纏わりついた仲間のリザードマンには気にもせず槌(つち)を振るう。

 そしてついに岩の人形(ロックゴーレム)は何度目かの打撃を浴びてその体を崩壊させた。しかしその間には何体ものリザードマンが消えていった。

 他の岩の人形(ロックゴーレム)がそんな光景を見てるだけもなく纏わりついたリザートマンに大して剣を振るい倒したりしていた。しかし何体かは同じ仲間であるはずのリザートマンの槌(つち)の一撃を受けて消えていったものもいた。


 俺が考えていた一番最悪の事が現実のものとなった。奴らには死の恐怖や、仲間意識なんてものはないらしい。敵をどう倒すかしか考えてないのかもしれない。

 周りでは同じ様な光景が繰り広げられていた。

 何体もの岩の人形(ロックゴーレム)がリザードマンに纏わりつかれ、その岩の人形(ロックゴーレム)目掛けて槌(つち)や【大爆発(エクスプロージョン)】の魔法が飛んでくる。もうアーチャーは弓が通じないことが分かったのか岩の人形(ロックゴーレム)の動きを止める方に回ってる様だ。

 岩の人形(ロックゴーレム)も大人しく倒されるのを待ってるだけのはずもなく。他の岩の人形(ロックゴーレム)の体に纏わりついたリザードマンに剣を振って倒したり、自分に纏わりついたリザードマンを地面に叩きつけたり、それを踏みつぶしたりしている。

 かなりの乱戦になってる。



 この場所に進軍してきたリザードマンは全体の大体7割ぐらいの数だろうか。ざっと見ただけで数を正確に数えたわけではないからわからないがほぼ合ってるはずだ。

 そうするとこの場には大体70体のリザードマンがいる計算になる。

 岩の人形(ロックゴーレム)の数は50体だから数ではリザードマンの方が勝る。

 しかし岩の人形(ロックゴーレム)を倒すのに数体掛かりで挑んで、1体の岩の人形(ロックゴーレム)を倒すのに何体かのリザードマンが消えていっている。だから正直こちらの優勢は変わらないはずだ。だがリザードマンの数は一向に減っていく様子を見せない。

 【索敵(レーダ―)】で確認しているんだがドンドン追加でリザードマンがその拠点からこちらに来ている様だ。しかもアーチャーは減って別の種類のリザートマンが増えている。

 これも想像していたことだけど、嫌な予感ばっかりが当たるな。


 俺にはもう1つの考えがあった。もしかしたらキングを倒さない限り、リザードマンが減ることがないってことだ。リザードマン・キングのスキルを見たが、そう言ったスキルは特になかった。でも気になる称号があった。多分この迷宮の仕様というか、この場所が特別だってことなんだけど。

 基本的に他の階層でも倒した敵は自動的に復活する。魔素で作られたモンスターだからか、時間を置いたら復活するようになってた。

 だからこの階層でも時間が経ったらモンスターが復活するのは当然なのかもしれないが普通はもっと時間がかかる。

 しかしリザードマン・キングの持ってる称号の中に【鱗の王(スケイル・キング)】というのがあった。その中の効果に、支配下のリザードマンが持つ力を高めるってのがあるみたいだ。

 今支配下のリザードマンは復活するって力も持ってるはず、もしその力も高められるとしたら?倒されて直ぐに復活して戦場に舞い戻ってくるんじゃないかってことだ。

 リザートマン自体の全体の数は100ちょっとと変わっていない様子だ。だからそう言う事なんだろうと俺は結論付けた。ただそうなった場合はキングを倒せばリザートマンの急激な復活は阻止できるってことだ。

 ただ単純にこの迷宮が凄い速さでこの階層だけ復活させているってことならどうしようかってことなんだけど。試す価値はあるだろう、ってかそれしか方法もない気がする。このまま岩の人形(ロックゴーレム)だけに戦わせていても膠着(こうちゃく)状態のままの様な気がする。

 一応今も俺は岩の人形(ロックゴーレム)を作り出して、拠点から送り出している。向こうと同じことをやってるんだ。こちらの拠点の出口付近にはアリアがいて、出陣する岩の人形(ロックゴーレム)に支援魔法をかけてやってる。


 今のままだと焼け石に水だな。

 こうしていても前線はほとんど先程の位置から変わらない。

 この方法では無理だってことだな。普通のシミュレーションゲームとは大分違う。

 まぁお互いに次々戦力を無制限に戦場に投入できるってことはまずないしな。

 今の所俺も岩の人形(ロックゴーレム)を作り出してるだけだからそこまでのMP消費はない。このペースだったらずっと岩の人形(ロックゴーレム)を戦場に送ることは出来るだろう。岩の人形(ロックゴーレム)は疲れることもないし、休息も必要ない。リザートマン達も迷宮のモンスターだから休息は必要ないのかもしれない。だが俺達は違う。睡眠や食事も必要になってくるだろう、そうなった時には戦力のバランスが崩れる。もしかしたら休んでる間が好機と思って砦まで攻めこんでくるかもしれない。


 こうなってくると残る先方は大火力で一気に殲滅するか。奇襲ぐらいか。

 一応どっちも考えてる。

 大火力は前にも考えたが魔法陣を吹き飛ばすとまずいしな。となると奇襲か、敵の頭を一気に潰すしかないな。それしか方法はないか。

 じゃあ作戦の第2段階に移行するとするか。

お読み頂きありがとうございます。

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