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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
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迷宮攻略35

 とりあえず俺はどう戦うか、思いついたことを皆に相談した。

 内容は皆の力もかなり当てにさせてもらった作戦になってる。俺1人で戦う訳じゃないし。

 俺の考えた作戦に皆はそれでいいと言ってくれた。

 


 よし、と思って俺達はこの階層に着いたところから移動を始めた。

 少し進むと溶岩の川や、溶岩溜まりじゃない場所があるのが分かっていたからだ。

 そこまで進む間も警戒していたがリザードマン達がこちらに来ることはなかった。まだ気づいてないんだろうか?でも今から気付かれることになるだろう。

 俺達は少し開けた場所に到着した。おおよそ50m四方位は溶岩のない岩場だ。



「【堅強なる砦(ロックフォートレス)】」



 俺は魔法を唱えた。

 俺達の足元から岩がせり上がる。【玄武(げんぶ)】戦で魔法具に込めていた魔法だ。

 岩は砦は俺達を乗せたまま高さを増して20m程の高さになった。俺達は岩の砦の一番上、物見櫓(ものみやぐら)の上にいると言った方がいいかもしれない。今回は砦という形ではなく遠くを見通せるように作っただけだからな。

 20m四方の岩の箱の上に乗ってるようなものと言えばいいのか。余計な装飾はない、必要もないし。飾りっ気のない岩の箱の上に乗ってるようなものだな。一応中は空洞になっていて階段もついてる、何かあれば下に降りたら外部からの攻撃には耐えれるだろう。俺達が立っている所には柱と屋根、手すり位はつけておくか、と思いそれぞれ追加で作ってみた。それから、



「【岩の城壁(ロックランポート)】」



 続けて砦の周りに城壁も作る。砦から5m位の距離を空けて四方を岩の壁で覆う。壁の厚さも5m位にしておくか。それを5m位の高さでいいか。そう思って魔力を操作して岩の壁を作り上げた。

 とりあえずこんなもんか。



 今回俺はまず拠点を作ることを伝えた。

 敵は統率の取れた攻め方をするかもしれない。周りを取り囲んだり、交代で攻めると言った方法も取るかも知れない。そうなった場合バラバラになったりすると各個撃破される可能性も出てくる。仲間を守る為に固まったら更に危ういことになる可能性もある。

 俺が一番恐れているのは奴らは迷宮の作り出したモンスターってことだ。普通のモンスターなら生存本能なんかがあるが、奴らにそれがなかったら?仲間の死や自分の死を恐れなかったら?当然自滅覚悟で特攻してくることもある。特にキングという命令を出す奴がいるんだ。その可能性は大いにある。

 斬られても、体を吹っ飛ばされても動ける間は突っ込んでくる、そんな状況になったら一体一体を確実に動けなくなるように倒し切らないといけない。敵もそんな事を許すほど馬鹿ではないだろう。

 とりあえず奴らがどういう行動をとるかを見極めるためにも拠点を作って様子見をした方がいいだろうと提案したんだ。そして俺は拠点を作った。


 これだけ大きな建造物を作ったんだ、流石に奴らも俺達の事に気付いただろう。

 さて、どういう行動に出るかだな。

 でも俺達もただただ待ってる訳ではない、色々と仕込みをしておかないといけないな。そう思って俺は更に魔法とスキルを使う。



 砦を建ててしばらくすると向こうに動きがあった。

 何体かのリザードマンがこちらに近付いてくるようだ。【索敵(レーダ―)】のおかげて敵の動きも手に取るようにわかる。恐らくは偵察部隊ってところか。

 そのリザードマン達が俺達のいる砦の傍まで到着した。

 さてどうする?と思っているとドーンという音が響いた。

 魔法を使えるリザートマンが岩の壁に向けて魔法をぶっ放した。それが壁に当たり音を響かせたんだろう。

 しかし壁には傷一つない。元は溶岩から出来た岩を圧縮して作った壁だし、アリアが壁全てに支援魔法も掛けて防御力も上げてる。上級の火魔法でも壊したりは出来ないだろう。

 じゃあ、こちらからもだ。

 俺は【念話(テレパス)】を使ってガイとバロンさんに伝える。

 2人は既に壁の上に移動していた。そして俺の【念話(テレパス)】を聞いて壁から外に飛び降りた。5mの距離を物ともせず2人は普通に着地する。そして魔法を放ってきたリザートマン達の方へ突っ込んでいった。

 今俺達の様子を見に来たリザードマン達は5体だ。

 その内剣と盾で武装しているウォーリアーが2体、弓を持ったアーチャーが1体、杖を持ったソーサーラーが2体といった組み合わせだった。敵の戦い方や戦力を図るためにガイとバロンさんにそいつらの相手をお願いした。

 ここでの戦闘を1つの指標とさせてもらおう。



 ガイとバロンさんはそれぞれ左右に別れて5体のリザードマンに迫る。

 5体のリザードマンは5体が一か所に固まっている。盾を持ったウォーリアーが前に出て後の3体を守るような形だ。

 やっぱりちゃんと陣形を取ったりするらしい。前衛、後衛とかの役割もあるってことだし、理解していると思っていいだろう。



 ガイが先にウォーリアーに剣を振るう。ウォーリアーはガイの剣を盾で受け止める。そしてガイの剣を盾で滑らせて捌く。そこから剣をガイに向けて振るう。ガイは一旦後ろに下がってウォーリアーの剣を避ける。しかしそこに矢が飛んでくる。アーチャーがガイが下がった場所に正確に矢を放ったんだ。ガイもそれに気付いていて飛んできた矢は剣を振るって叩き落した。

 どう戦うかをちゃんとわかって戦っている。それぞれの役割もきっちりこなしている。


 バロンさんの方は剣を思いっきりもう一体のウォーリアーへ叩きつける様に振るった。盾で受けたウォーリアーはバロンさんの力に押されて吹っ飛ぶ。追撃をかけようとバロンさんは動こうとするが、そこに火の玉が飛んできてバロンさんもその場から離れるしかなくなる。今のはソーサラーの魔法か。こちらもしっかりとフォローしてる。もう一体のソーサラーもすでに魔法を唱え終え待機している様だ。何の魔法かわからないから迂闊に近寄れないな。広範囲の炎魔法かも知れない。


 今のやり取りだけでもやっぱり厄介な相手だという事が分かった。

 それぞれの役割をこなし、深追いもしてこない。奴らもこちらの力量を試しているんだろう。もしかしたらリザードマンキングはこの状況を見てるんじゃないかと思う。【念話(テレパス)】のスキルもあったし、他のリザードマンの見知ったことを知る術があってもおかしくない。


 今の戦闘でガイとバロンさんは気の力を使っていない。俺が使わないで戦ってもらうように頼んだ。

 様子見と、さっき言ったように相手に情報が渡る可能性があるからだ。

 5体を瞬殺でも出来ない限り情報は流れるだろう。

 しかし今の簡単な戦闘でも気の力なしに目の前の5体を倒せるかどうかは疑問だな。しっかりとした統率が取れているように見えるし、元々持ってる力やスキルもある。

 やっぱり何も考えずに突っ込まないでよかった。



「様子見は終わりでいいか?」



 バロンさんからの【念話(テレパス)】が入る。



「そうですね、とりあえず全力で戦ってもらっても問題ないです。」



 俺はそう伝える。相手の戦闘方法は何となくわかった気がする。後はこちらの力がどれぐらい通じるか見るべきだしな。



「じゃあ行くぞ。」



 バロンさんがそう言ってまたウォーリアーに向かって駆けて行った。ガイも同じようにさっきの相手に向かって走っていってる。



「闘気解放・撃の型。」



 バロンさんがそう呟く。剣に気が集中する。



「【龍尾閃(りゅうびせん)】」



 バロンさんの剣には龍の尻尾の様な形の気が宿っている。そしてそのまま龍が尻尾を振るって叩きつけるかのように剣を振るう。ウォーリアーは先程と同じように盾を構えてバロンさんの一撃に備えた。先程吹っ飛ばされたからか足を大きく開いて踏ん張るつもりの様だ。

 バロンさんの剣が盾に当たるがその部分が砕ける。バロンさんの剣の勢いは止まらず、ウォーリアーの体にめり込み当たった所を潰す。まるで大型の車に衝突された様に当たった所はグシャグシャに潰されてウォーリアーさっきよりも勢いを付けて飛んでいった。空中でウォーリアーの姿が消えたから一撃で倒せたみたいだ。


 ガイは剣に赤い気を纏わせていた。すでに闘気解放をしている様だ。盾を構えたウォーリアーに斬りかかる。先程とは違いガイの剣が盾に止められることはなかった。ガイはそのままウォーリアーを袈裟切りにした。ウォーリアーは体を大きく切り裂かれ姿を消していった。

 そこに弓を構えていたアーチャーからの矢が放たれたが、矢がガイに届くころにはガイは矢を放ったアーチャーの後ろにいた。【瞬行(しゅんこう)】で移動したガイがアーチャーに剣を振り、縦に真っ二つにした。

 その光景を目にしたソーサラー2体がそれぞれ目の前に大きな火の玉を作り出した。唱えていた魔法を発動させたんだろう。しかしその魔法は放たれることはなかった。

 ソーサラー2体が気付いた、自分の喉元からナイフが飛び出していたのに。作り出した火の玉と一緒に2体のソーサラーはその姿を消した。

 その2体のソーサーラーの場所に落ちたナイフを拾ったのはシータだった。

 シータは【追跡者(トレーサー)】のスキルを使ってガイについて行って、実はその場所に最初からいた。1度目の交戦時にガイからソーサラーに【追跡者(トレーサー)】の対象を変えていたんだ。もしかして敵が気付く可能性もあるかと思っていたが気付かれることなかったようだ。ガイがアーチャーを倒した瞬間に背後に回ってそれぞれのソーサラーの喉元にナイフを突き入れていった。鱗は結構固いはずだけど問題なかったみたいだ。ナイフがそこそこいいからか、他のスキルを使ってるのか。それにしても2体の敵を倒すのにほどんとタイムラグがなかったんだけど。【追跡者(トレーサー)】のスキルで一瞬で対象を切り替えたのか。ほぼ移動に使ってるけど、そんな使い方を良く思いついて実践してるな。


 ともかく戦闘は終了した。

 全力を出して戦えば普通に戦えるかと言ったところだろう。ただ数がな。そして俺が思っている通りに今後死なばもろともで特攻してこないとも限らない。出来る限りの戦闘を避けて数を減らしたいところだ。



「いったん戻って来てくれ。」



 俺は【念話(テレパス)】でガイ達に伝えた。魔力操作してガイ達がいる一番近い岩の壁の一部分を無くして通れるようにする。

 さて偵察部隊を潰してから相手がどう動くかだな。



 ガイ達も俺達のところまで戻ってきた。しかしその間敵に動きはないみたいだ。う~ん、やっぱり防衛に入ったか。こっちの思惑も向こうはわかってるみたいだな。

 俺達は次の階層へ進む魔法陣のところまで行かないといけない。敵としてはそれが分かっているのであれば、わざわざこっちに攻めていく必要はない。奴らは敵を倒すことよりも魔法陣へ誰も近寄れない様にする方が優先ってことだろう。

 本当だったら前の階層みたいに分身体にスキルを付けて特攻させてから【黄泉の門(ハデス。ゲート)】をぶっ放してもいいかと思ったんだけど。かなり広範囲も巻き込めることが分かってるし、防御されたりすることはないだろう。ただ万が一魔法陣も消し去ってしまう可能性がある。魔法陣まで消し去って次の階層にいけませんでしたなんてことになったら大変だ。もしかしたら吹き飛ばしても別の場所に再生するとかだったらいいけど、そればっかりは作ったキュクロさんぐらいにしかわからないだろう。他の大規模破壊魔法もしかり。何とかしてリザードマンの一団を排除するしかない気がする。


 やっぱりこちらから打って出るしか方法はないみたいだ。

 もう少し準備が整ったらこちらから行くしかないか。

お読み頂きありがとうございます。

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