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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
131/237

迷宮攻略25

「このまま次の階層への魔法陣まで突っ走る。」



 俺はそう皆に告げ走り出す。

 この階層に着た瞬間に【索敵(レーダ―)】を使って次の階層に続く魔法陣の場所もわかっている。それを【念話(テレパス)】で皆にも伝えている。

 こんな場所でじっとしてるとまたモンスターが寄ってきて面倒なことになるのはわかっている。

 走り抜けた方がいいだろう。



 今回は俺を先頭にしてガイ、バロンさん、アリア、シータ、ブランの順で列になって進む。

 幸いまだモンスターには補足されていない様だ。

 俺や他の仲間もある程度の気配は消すことが出来る。アリアは支援魔法を使っている。それでもこのぐらいの階層になるとモンスターの気配を感じる能力もかなり高い。すでに何匹かは俺達の事に気付いて集まって来てる様子だ。ある程度の距離になると気付かれるみたいだ。

 またナマズの様なモンスターから攻撃を受けると大変だから、なるべく囲まれる前に進んでおきたい。

 俺達が全力で走っていけば多分20分ぐらいで次の階層に繋がる魔法陣までは進めるだろう。

 何もなければの話だがな。

 【索敵(レーダ―)】には俺達の進む方に、ナマズモンスターとは違うモンスターの反応がある。

 どうやっても戦闘は避けられないだろう。変に迂回してまた砲撃を浴びせられることになったら余計に対処が難しくなるかもしれない。ここは速攻で倒して進む方がいいだろう。


 俺達が全力で走ってる為かナマズモンスターはまだ溶岩の川から顔を出してこない。

 前の階では人形(ゴーレム)に守られながら進んだ為に、スピードが遅かった。それに数も多く囲まれていたし。この階のモンスターは俺達がどんな奴かもわかっていないから、一方的に遠距離で攻撃しようと思っていないかもしれないがな。

 今はトップスピードで進んでいるから、仮にナマズモンスターが川から顔を出して溶岩の球を吐いてこようが着弾する前に進んでいる。そこからまた川に潜って俺達の後を追ってとしているとそうそう溶岩の球を吐いてこれないだろう。

 どう囲まれない様に進むかが重要だろうな。だからやっぱり前にいるモンスターには早々に倒されてもらおう。



 俺達が進む前にこの階層で初めて見るモンスターの姿が見えた。

 その姿は元のいた世界でいう所の『サイ』の姿が一番近いだろう。

 4本足で頑丈そうな皮を身にまとっている。体長は3m位か。ただ顔の所には3本の角が生えている。鼻の所から大きな1本が、後は顔の左右からその大きな角を真ん中にして広がる様に生えていた。三又の槍の様だと思った。あれで突進されたら大変な事になりそうだ。



「俺が行く。皆はそのまま進んでくれ。」



 【念話(テレパス)】で皆に伝える。

 まだそのモンスターとは距離があるが少し進めば向こうも俺達の事に気付くだろう。

 先手を取ってさっさと倒させてもらう。

 通常これだけの距離が離れていれば攻撃手段となれば気や魔法を放ったり、弓などの遠距離で攻撃出来る手段に限られてくるだろう。

 ただこの距離から気や魔法、矢を放っても目の前にいるモンスターの分厚そうな皮膚に通用する様には思えない。大掛かりな魔法だったりすれば倒せるかもしれないが、魔力を練らないといけないし他の俺達に気付いてないモンスターにまで俺達の存在を気づかせることになるかも知れない。

 そうならない為にもなるべく静かに、一撃で倒す必要がある。

 そうなるとやっぱりこれだろうと俺は自分の影に潜った。


 【影移動(シャドウムーブ)】を使い自分の影に入り、モンスターの影から出てくる。

 モンスターの影は体の真下ではなかったので俺は何とか影から飛び出すことが出来た。

 そしてそのまま手に持った剣でモンスターの体を一閃する。

 俺が剣を振るったところからモンスターの体が2つに分かれた。そしてそのままスッと消える。


 俺は【断罪(ジャッジメント)】のスキルを使っている。

 このスキルは万物を断つことが出来るというスキルだった。俺の持った剣の周りには気を纏わせたときの様な薄い光が宿っていた。その状態で斬った物はどんなものであろうと両断する。

 一度【絶対防御(イージス)】とどちらが上か試してみたが、易々と斬られた。

 【絶対防御(イージス)】も物理攻撃を完璧に防ぐってことだから、もしかしたら【断罪(ジャッジメント)】は物理攻撃ではないのかもしれないけど。

 剣に纏わせた光はある程度なら伸ばすことが出来る。俺が伸ばせる最長は1mだった。今持ってる剣と合わせて2m位の長さまでは斬ることが出来る。このスキルを使えばどんな硬い皮膚や鎧を纏っていても簡単に切り裂くことが出来る。

 このスキルがガイやバロンさんが使えるようであれば、ここにいるモンスターでも一刀の下に斬り伏すことが出来るんだろうけど。しばらく使ってみたが2人が憶える様子はなかった。やっぱり使えるようになるには何らかの達成条件があるんだろうか。



 モンスターを倒した俺は進んできた仲間に合流して先に進む。

 【索敵(レーダ―)】にはまだ先に何体かのサイのモンスターがいるのが分かる。

 このまま突っ切る。


 俺達はそのまま突き進んだ。

 さっきと同じようにサイの様なモンスターが視界に入る度に俺が影に潜り、現れ斬っていく。

 モンスターもいきなり俺が現れ、自慢の硬い皮膚が簡単に切り裂かれるとは思ってもなかったんだろう。面白いように一撃必殺でモンスターを倒していく。

 しかしモンスターを倒して行くたびにどことなくガイとバロンさんが不満げな表情をしているんだが。

 いや、仕方ないだろう。戦いたいのかもしれないけど悠長に戦って囲まれでもした日には大変な事になるだろう。今回はある程度の数でモンスターが落ち着いてくれるってことがないみたいだし、モンスターと戦う事が目的でもないんだからな。



 ナマズモンスターの攻撃に合う事もなく何とか無事に次の階層に続く魔法陣まで辿り着けることが出来た。

 しかしこれを繰り返していくのか。かなり大変だ。途中の階層で休憩も出来なさそうだしな。

 【退魔陣(アンチサークル)】や【目隠し(ブラインドカーテン)】が効くのかも怪しいし。

 【堅強なる砦(ロックフォートレス)】で砦でも作るか。でも一斉攻撃とか受けて、その中でオチオチ休むなんてできそうにないしな。

 やっぱり最速で進むしかないだろう。

 俺達は次の階層に進む魔法陣に足を踏み入れた。


 次に見た景色も大して変わらなかった。

 しかし【索敵(レーダ―)】に移る影は、また別の影を映し出していた。

 おいおい、この階からも新しいモンスターが追加されるのか。

 もしかしてこの先階層を重ねるごとに新しいモンスターが追加されていくのだろうか。

 そんなことを考えていても始まらない。ここで立ち止まっている方が厄介なことになりそうだし。



「走り抜けるぞ。」



 俺はそう皆に言って走り始める。

 しかしご丁寧に新しく追加されたモンスターはいろんな場所に配置されてるようで、どう進んでも必ず戦闘しないといけない様だ。

 本当に鬼仕様にしてるな。こんなの一般人が攻略できるとは思わないんだけど。まぁ勇者でも50階を攻略出来たら魔王を倒せるみたいだったしな。

 こういうのってゲームでいう所の魔王とかを倒した後のエンディング後のお楽しみダンジョンなんじゃないか?別に攻略しなくても本編には影響でないけど、攻略するとかなりいいアイテムがもらえるとかって言う。

 ここまで来れたっていう事は、現時点でも俺達は魔王を倒せるってことじゃないのか?そう考えるとなんで俺達ここの攻略してるんだろう。

 神託を受けたアリアがそう言ったんだから何かあるんだろうけど、その何かって言うのは今までの勇者たちとは違ったことだったんだろうか。

 まぁ行けばわかるさってことか。せっかくここまで来たんだ、最後まで攻略していかないとな。

 前回が惚れ薬って言う報酬だったんだ。今回はそれを上回るようなものがもらえるんだろう。なんだろう、被った者のいう事を言うようになる王冠とか。ファンタジーだったら結構何でもありだもんな。神の力が宿ってたらいろんなことが出来る気がするな。色んな神がいるみたいだし、それこそ夢の様なアイテムがあったりするんだろう。

 と言うか神がそんな力持ってるんだったら魔王がいても倒せるんじゃないのか?この迷宮の50階層を攻略出来たら倒せる様な魔王だろ。そう言えばキュクロさんが言ってたっけ「神は人の世界に干渉できない」って。魔王を倒すのも人の世界に干渉するってことになるのかな。勇者に武器を作ることだけでも駄目だってことだから駄目っぽいな。

 だったら何の為に神っているんだろう。人だけを助けることは出来ないってことだろうか。この世界に生きる者全てに等しくとか?だったら神が魔王を助けるってこともあるんだろうか。

 いや、でも神レスティアは魔王を倒して欲しいと言ってたよな。神によって考え方が違うのか、それともまだ俺の知らない何かがあるのか。後者っぽいけどな、ここまで旅をしてきた中でも結局魔王と勇者についてほとんど情報を得られてないし。

 ゲームとか小説とかだったらもっと情報あると思うんだけどな。

 その頃魔王サイドは、みたいな。いや、実際に今もあるんだろうけどね。向こうは向こうの思惑があって動いてるだろう。それを俺が知らないだけなんだろう。ゲームや小説を見てるときはわかってやってたけど、いざ自分がその立場になってみると全然わからないもんだな。


 あぁ、また変なこと考えてる。今は集中しないといけないことがあるだろう。そんなことを考えながらも俺は走っている。

 そしてまた見付けたサイの様なモンスターを一撃で倒しながら。【鑑定眼(アナライズ・アイ)】で名前ぐらいは確認しておいた方がいいんだろうか。でもじっくりと戦う訳でもないし。相手の攻撃方法も確認する必要もなく瞬殺していってるからな。


 しかし、今度のはそうもいかないのかもしれないか。

 そう思ったのはこの階層から出現するモンスターの姿が見えるようになったからだった。

お読み頂きありがとうございます。

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