迷宮攻略23
俺達は一旦80階層の十字型の部屋まで戻ってきた。
「81階層からは溶岩地帯みたいだな。あの暑さを何とかしないと進めないな。
それに出てくる敵も火や炎を使ってくるモンスターかもしれないし。
でも魔法は使えるようになってたし、他のスキルも使えるだろう。まだ何とかなるか。
しかしまた攻略の為の用意をしないといけないと思う。
【玄武】との戦いで作った魔法具はほとんど使い切ってしまったし。
何かあった時用にまた作っておこうと思う。
戻ったら俺は準備を始める。行けそうになったら声を掛けるからね。」
俺は皆にそう言った。
しかし今回は【玄武】に挑んだ時よりも早く準備できそうだな。魔法もスキルも使えるみたいだし。ボスについても予想がついてるから事前に対策を練ることが出来る。意表をついて全然違う敵ってことがあるかも知れないけど、その場合予想はつけられないんだから考えても一緒だろう。
「とりあえずどうするかは任せる。今回スキルが使えるのなら俺達も少しは役に立てるだろう。」
ガイがそう言った。
そう言えば【玄武】にはあまりダメージを与えられなかったか。
スキルが封じられている所であれだけ頑丈な敵が出て着たらしょうがないと思うけど。
しかしキュクロさんも何を思ってあんな階層にしたんだろうか。俺たち以外に攻略出来たりするんだろうか?そう言えば勇者の彰が【断罪】ってスキル持ってたな。あれってどんなものでも斬れるスキルだったっけ。だったら俺が使ってたら【玄武】の足とか斬ったり出来てたのかもしれないな。すっかりそのスキルの存在を忘れていた。
ある意味【八百万のスキル】は色んなスキルが使えすぎるから、どれが一番いいスキルかわからなくなるよな。普通だったら自分の持ってるスキルでどう攻略するか考えるんだろうけど。俺の場合はどのスキルだったら攻略出来るかを考えて、一番可能性の高そうなスキルと戦術を選ぶんだけど、今まで使ったことのないスキルも多々あるし。使っていないスキルは使い勝手が分かっていないから戦術を組み立てる際に勝手に除外してしまってるんだよな。
駄目だな、折角の【八百万のスキル】を生かし切れていないかもしれない。今後はもっとスキルを使って最善で戦える様にしよう。
「そうだね。俺ももっと危なげなく戦えるように考えるよ。
今回もかなりのリスクを背負って戦う事になっちゃったしね。」
俺がそう言うとバロンさんは難しい顔をして聞いていた。なんだろう?何か言いたいことでもあるんだろうか。
俺はそう思ったがバロンさんは特に何も言わなかった。
「さぁ、ギルドに戻ろう。そう言えば俺も傷を負ったりしてるし、回復したいしな。」
【玄武】と戦った時に出来た傷を81階層に行った時に治すのを忘れていた。
自分への回復魔法ならここでも使える気がするけど体も綺麗にしたいし、ここにはもう用事もないしとっとと帰った方がいいだろう。
俺の言葉に異論はないみたいで皆で帰還用の魔法陣まで歩いた。
帰還用の魔法陣を使ってギルドまで戻ってから俺は回復魔法と【浄化】を俺を含めた皆にかけた。
そしていつもの様に扉を抜けると歓声が上がった。
なんだろう、また人が増えてる気がする。
帰ってきた部屋から出てギルドのホールの様な所に出ると大勢の人がいた。
見ると冒険者以外の町の人もいるみたいだ。
その人達が大きな歓声で俺達を迎えてくれた。
この光景にも慣れて来たけど段々派手になっていくな。見ると横断幕の様な物に「祝!80階層攻略」と書かれていた。俺達が帰ってくる前に書いたんだろうか。
後アリアのファンクラブの人がうるさい。いい年をこいたおっさんがアリアに向かって「天使降臨ー!」だとか「アリアちゃんマジ最強ー!」とか叫んでる。それにアリアは笑顔で手を振っていた。
かと思えばガイやブランは最近出来た弟子達に囲まれていた。結構な数の弟子がいるもんな。シータの周りにも多分迷宮内で助けられたであろう冒険者が沢山いた。
バロンさんは既にギルドのホールの真ん中に移動して机の上に立って今回の階層とボスについての話をしていた。それを皆が「おーっ!」とか合いの手を入れて聞いている。
そして俺の周りには・・・、あれ?誰もいない。なんかぼっちなんですけど。
そう言えば俺は迷宮攻略の準備とかでほとんど宿にこもりっきりだし。ガイ達と違って他の冒険者と繋がりとかないし。それに俺が勇者だってことはみんな知らないし。
考えたら皆俺がこのパーティで何やってるか知らないんじゃないか?一応リーダーなんだけどな。そして大体のボス倒してるんだけど。
お前誰?って思われてるんだろうか・・・。あれ、なんだか目の前がぼやけてきた気がする。
別に泣いてる訳じゃないよ。目にゴミが入っただけだよ。さっき【浄化】したばっかりだけど丁度ゴミが目に飛んできただけなんだからね。
俺は1人カウンターに向かって80階層の攻略の証であるメダルを渡して受付を済ませた。
俺は1人寂しく宿に戻った・・・、という事はなく俺の事に気付いたブランやアリアがちゃんと声を掛けてくれた。良いんだよ、俺目立つの嫌いだし。勇者であること隠してるから。
「主の活躍はわし達が一番わかっておりますぞ。」
「そうですわ。ダイゴ様がどれだけ頑張ってらっしゃってると言うのは私たちが存じています。
ですから落ち込まないでくださいね。」
「いや、別に落ち込んでないから。」
なぜかブランとアリアにフォローされる。
「いや、どう考えてもその表情を拝見すると・・・。
そうですわ、賭けに勝たれたという事でか美味しいものをご馳走いたしますわ。食べに参りましょう。」
「そうじゃの。そう言えばそのような約束をしておりましたのう。ささっ、主行きましょう。」
そう2人に腕を掴まれて半ば強引にギルドから連れ出される。
「美味しいご飯~。」
いつの間にかシータが俺達の横にいた。アリアの言葉を聞きつけてきたんだろう。
「おい、俺を置いていくつもりか。」
後ろからガイが走ってやってきた。
見ると皆バロンさんの話に食いついてるみたいだ。俺達の方には誰も来なかった。
「じゃあ何を食べに参りましょうか?」
「シータお肉がいい!」
アリアの質問にシータが答え、結局俺達は美味しい肉料理を出してくれる飯屋へ向かった。
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結局ご飯を食べに行き俺の分を出してはくれたが、シータの食べた分を出すことになって支払いの大部分を俺が払う事になった。と言っても俺達のパーティのお金みたいなところがあるからから純粋に俺のお金でもないんだけど。
そして次の日から俺の迷宮攻略に向けての研究が始まった。
暑さに対抗するのは以前に作った【フレアマント】がある。あのマントの火の魔石の部分を水の魔石に変えて氷系の魔法を封じ込めたら【アイスマント】になる様に作っているから問題ないだろう。作っておいてよかった。
そうなるとこのままでも迷宮攻略できるんじゃないかと思った。
暑さをどうにかできるんだったら後はボスをどうやって倒すかなんだし。
もしかすると道中のモンスターも手強いかもしれない。溶岩地帯に出るモンスターって体が頑丈で溶岩の中でも生きて行けたり。そもそも溶岩の体だったりとかのイメージがある。そうなると倒すのって大変だろうな。近づけない可能性も出てくるかもしれない。でも道中のモンスターはスキルで何とかするしかないか。気で遠距離攻撃するか魔法かな。
しかし魔法はどうだろう。多分火の魔法は効果がない気がする。土魔法も風の魔法もあの場所では使いにくいし。逆属性っぽい水の魔法は効果がありそうだけどかなり威力を削られそうなんだよな。81階に行った時に【氷の壁】を使ってみたけど普段の半分ぐらいの厚さしか出せなかった。それにすぐ壊れそうだったし。MPを割けば強化出来るだろうけどそこまでして魔法を使う意味があるかだな。
他のスキルで何か使えるものがないか考えた方がいいかもしれない。
ボスの攻略にしてもだ。
今回のボスは多分だが【朱雀】だろう。場所的にぴったりだよな。しかし不死性とか持ってたらどうしようか。でも流石にそれはないか。高い再生能力は持ってそうだな。火の中に飛び込んで復活とかするんだろうか。それだとかなり厄介な相手なんだけど。
後は当然飛んでるだろうな。空飛んでる相手に戦うのって大変なんだよな。そこら辺をスキルで何とか出来ないものか。何か有効なスキルがあったらいいんだけど。探してみて作戦を立てるか。
それから俺は【アイスマント】への変更の作業をしたり、もう一度スキルを見直して何か使えるスキルがないかをずっと確認していった。
そんなことをしていたらやっぱり一か月の日数が過ぎていった。
使ったことのないスキルを実際に使ってどんな感じになるかも試してたりしたからな。
その間仲間たちは前と同じ様にギルドで色々な事をしている様だった。ガイとブランの弟子も大分増えてるみたいだし、アリアのファンクラブもグッツを作り始めたらしい。何しにこの町に来たのかわからなくなってくるな。俺なんてほぼほぼ宿に籠って、準備が出来たら10階層分迷宮に潜るって生活だし。迷宮にいる時間よりも宿にいる時間の方が長いな、確実に。迷宮攻略っぽくないな。
しかし準備も出来たしまた迷宮に出向くとしますか。
今度は90階層まで、頑張ろう。
お読み頂きありがとうございます。
2017/2/23 鳳凰⇒朱雀に変更しました。




