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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
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迷宮攻略22

「とりあえず次の部屋まで進もうか。」



 魔法陣の周りに集まった皆に俺は声を掛けた。

 皆頷き、魔法陣の中に入る。そして最後に俺も魔法陣の中に入ると転送用の魔法陣が作動したようで景色が一瞬で変わる。何度も見た十字型になっている部屋に出た。

 いつもの様に宝箱の方へ向かった。


 そう言えば今回は賭けをしていたんだった。

 ふと後ろを見るとシータが「ご飯、ご飯」と言いながら楽しそうにしている。

 もう賭けに勝った気になってる様だがはてさて今回の報酬は何なんだろうか。


 宝箱の前に着くと今回はかなり小さ目の宝箱だった。

 両手にすっぽり収まるくらいの大きさだった。

 あれ?これぐらいの大きさだったら装備品ってことはないんじゃないか?

 俺の勘が正しかったんじゃないのか。

 そう思って皆の顔を見ると、皆難しい顔していた。俺と同じことを考えているんだろう。



「これって俺の1人勝ちじゃないのか?」



 俺は勝ち誇ったように皆に言ってやった。



「ぶーっ。」



 シータが頬を膨らませてそう言った。いや、まぁ俺が勝ったところでシータがご飯を食べるのはいつもの事だと思うんだけどな。でも勝負ごとに負けるのが嫌なのかもしれないな。



「とりあえず開けてみようっと。」



 俺はそう言って宝箱を開けた。

 すると中には薄い紫色の液体が入った小さな瓶があった。

 なんだこれ?魔法薬かなんかか?

 とりあえず【鑑定眼(アナライズ・アイ)】でその瓶の中身が何なのかを確認する。


 

 【惚れ薬:恋愛の神の力を宿した薬。これを口にして次に見た者を心から好きになる】



 なんだと-----!!!!!

 神アイテムきたーーーー!!!!

 惚れ薬だと!?しかもテンプレ的な飲ませて次見た人を好きになるだなんて。

 今までで一番の報酬じゃないか。ってかこれ以降の階層にこれよりいいもの出るのかよ。

 しかし恋愛の神が人を勝手に好きにさせたりしていいのかよって突っ込みも浮かぶけどそこはスルーしておこう。

 どう使うのが一番いいんだろうか・・・。今は使わなくてもいい?

 どれぐらい飲ませればいいかもわからないな。一口だけでいいのか、一本丸々飲ませないといけないのか。そうすると1人だけにしか効果が起きないってことだな。そうなると慎重に使わないといけなくなる。



「あの・・・どうかされましたか?」



 俺は頭の中で必死にこの惚れ薬をどう有効活用しようか考えていたら、アリアから声が掛かった。

 そう言えば皆いたんだ。



「あぁ、いや、どうもしないよ。」



 俺は努めて平静を装ってそう答えた。



「それでそれは一体どう言った物だったんでしょうか?」


「えっ、うん?あぁ、えぇ~っと、そのだね。そうそう、なんか魔法の薬みたい。使い方が特殊みたいだから俺が貰う事にするよ。」


「そうなんですか?」



 アリアの質問に答えるが、ジト目で俺の事を見るアリア。



「少し貸して頂けますか?」


「えっ?どうしてかな?」


「いえ、綺麗な色をしているので少し拝見してみたいんです。」


「いや~、危ないものみたいだから止めといた方がいいと思うよ。」


「ガラスの瓶に入っていてですか?大丈夫です。さぁ、貸して頂いても?」



 俺のところまで来たアリアが手を差し出す。

 変に断り続けても余計に怪しまれる気がするので仕方なく渡す。



「ブラン様、こちらの薬鑑定してもらえますか?」



 アリアはブランの所に行って瓶を渡して言う。

 しまった!ブランも【鑑定眼(アナライズ・アイ)】が使えるようになってたんだった。



「うん?惚れ薬とでとるのう。」



 ブランはアリアに言われたとおりに何も考えずに鑑定したみたいだった。

 それを聞いたアリアがキッと俺の方を睨む。



「どういう事でしょう?」



 アリアがつかつかと俺の方に来て詰め寄る。



「いや、魔法の薬で使い方が特殊って言ったよね?後危ないってことも。

 飲んでから次に見たものを好きになる薬だそうだよ。

 もし口に入ったら大変な事になるだろう?だから注意してたんだよ。」



 俺は頭をフル回転して何とかこの場を収めようとする。



「ダイゴ様、まさかあの薬を誰かに使ったりはしませんわよね?」


「えっ?」



 先手を打ってアリアがそう言った。そう言えばアリアはこういう点については頭が固いんだった。

 まぁ俺も惚れ薬を使って自分の事を好きでもない人を無理やり好きにさせるなんてのはやりたいとは思わない。本当だよ。信じてね。

 それだったら奴隷にしていう事をきかせるのと何ら変わりがない気がする。



「あぁ、もちろんだとも。」



 俺はそう答える。



「主(あるじ)でしたらこんなもの使わんでも誰にでも好かれるでしょうのう。」



 ブランがそう言ったのが駄目押しになった。

 そんな事言われたら使える訳ないだろう。ってそう思ってくれてるんだブラン。



「そうですわね。ダイゴ様でしたらこんなもの必要ございませんわよね。

 こんなもの破棄いたしましょう。」



 アリアがブランから瓶を受け取ってそう言う。



「駄目駄目ーー!一応神の作ったものなんだから捨てるなんてもっての外だ。研究したらもしかしたら量産・・・。いや、違う。いや、研究したら他の何かに使えるかもしれない。神の作った薬だぞ、この世にそうそうないものを捨てるなんて勿体ないだろう。

 そうだ、魔王とかに飲ませてみるとかどうだ?それでこちらを好きになったら倒さなくてもよくなったりするんじゃないか?試すだけ試してみてもいいし。」



 俺は必死に頭に思いつく事を全て述べる。



「なるほど。そう言う事に使えるかもしれないという事ですわね。

 飲ませるだけで相手を無効化出来るのであれば使い道があるかも知れませんね。」


「そうそう、そうだよ。だから俺が大事にしまっておくし。【倉庫持ち(アイテムボックス)】に入れておいたら他の誰かに奪われることもないしね。」



 俺の言ったことに少し納得したアリアが言った。俺も畳み込むように続ける。



「だからね、その瓶渡してくれ。」



 俺が必死にアリアに頼む。



「おかしなことに使わないでくださいませ。キュクロさんにこの薬の詳細は伺う事にしますので。」



 アリアはそう言って渋々俺に瓶を渡してくれる。でもあんまり信用されてないみたいだな。俺もキュクロさんに聞けるんだったら薬の詳細を聞こうっと。

 俺はアリアから受け取った瓶を【倉庫持ち(アイテムボックス)】にしまう。


 ガイとバロンさんは俺達のやり取りを興味なさそうに見ていた。

 うん、あの2人は惚れ薬とか興味なさそうだな。

 装備品とか出た方が盛り上がったんだろけど。

 シータも肩を落としている。結局賭けに勝ったのは俺だったしな。しかしもう賭けはどうでもいいんだけどな、惚れ薬を手に入れただけでテンションマックスになったし。

 しかし冷静になるとやっぱり俺には使えない気がするな。

 今更ガイやブランに使ってもな~。いきなり俺の事を好き好きー!ってなってもどう考えても惚れ薬を飲ませたってわかるしな。

 それに今まで折角培ってきた2人との関係もおかしなことになるし使う気になれない。

 それ以外の人に使おうっていう気にもな・・・。いきなり好きになられても、俺は勇者として旅してるしどこかで落ち着いてってことは出来ないし。どう考えても今惚れ薬と使ってどうのこうのってことにはならないか。結局【倉庫持ち(アイテムボックス)】の中で眠ることになるんだろうか。それこそ本当に魔王に使ってみるか?効くんだったらそこで戦いなくなるんじゃないか?

 一応頭の片隅にでも置いておこう。

 しかし恋愛の神っているんだな。だったら加護貰ったらモテる様になったりするんだろうか。どこかで会えないかな。それこそキュクロさんに居場所聞いたら教えてくれないかな。

 でも「恋愛の神に会いに行くぞ」なんて皆に言えないよな。



「とりあえずこの階層の攻略報酬は魔法の薬ってことで賭けは俺の一人勝ちってことだ。

 またなんか美味いものを食わせてくれ。

 後いつも通り次の81階層からの様子を見てからギルドに戻ることにするか。」



 いつまでもここにいるのもなんだし、俺は皆に言って行動することにした。

 そしていつも通りの流れで動き出した。

 とりあえず次の階層がどんな感じになってるかを見てから対策を考えよう。ボスに関しては既に予想がついてるしな。どっちかだってことだろ。

 90階層と100階層、それぞれが幻獣で残りの四神のどちらかなんだろう。


 次の階層に進むのは魔法陣を使っての移動だった。また普通のダンジョンの様な作りじゃない所に連れて行かれるんだろうなと思った。

 今度はどんな場所なんだろうかと思いながら魔法陣の中に入った。



 次に見た景色は人生で初めて見た景色だった。と言うか見たくない感じの景色なんだけど。

 俺達の周りには所々に真っ赤な川や、湖の様なものが見える。

 そして凄く暑い。

 真っ赤な川や湖はボコボコと沸騰してるように気泡が出てる。どう考えても溶岩だよな。


 俺達が連れてこられたのは溶岩地帯だった。

 地面はごつごつとした岩と言うか溶岩が固まったものなのかもしれない。そして溶岩が川の様に流れを作っていたり、溜まって湖の様になったりしている。

 砂漠の階層とは比べようにもない位に暑い。じっとしてるだけなのにもう汗をかなりかいてきた。

 ここがそうなら多分90階層までこういうい光景が続くんだろう。そして多分90階層のボスはあっちだな。

 そんなことを思った。がそう言えば試さないといけないことがあるんだった。

 俺は【倉庫持ち(アイテムボックス)】から水を出しながら唱える。



「【氷の壁(アイスウォール)】」



 俺は俺達の周りを囲むように氷の壁を作り出した。壁と言うよりも屋根もあるから氷で出来た箱みたいだな。

 この階層は魔法は問題なく使える様だ。一安心だな。この環境でまた魔法を封じられていたら攻略がまた大変になるだろう。



「魔法が使えることも分かったし、この先にいる幻獣も予想が付いたから一旦戻ろう。」



 俺はそう言って皆を促した。

お読み頂きありがとうございます。



新年一発目の更新です。

明けましておめでとうございます。

今年もぼちぼち更新していこうと思います。よろしくお願いします。

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