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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
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迷宮攻略20

「とりあえず皆は足を狙ってくれ。」



 俺は【倉庫持ち(アイテムボックス)】から出した魔法具を皆に渡して指示を出す。

 魔法具を受け取った皆は頷きすぐに走り出す。

 まずはどこまで通じるかの様子見だ。



 ガイとバロンさん、そしてシータがそれぞれ別れて【玄武(げんぶ)】の足目掛けて突進する。

 ガイとバロンさんがそれぞれ前の両足、シータはスピードがあるので後ろ足に回った様だ。

 そしてみんな一斉に魔法具からピンを抜き取り【玄武(げんぶ)】の足に向かって魔法具を投げつける。投げつけた魔法具はいつもの【大爆発(エクスプロージョン)】を封じた奴だ。

 それぞれの魔法具が足に当たった瞬間に爆発を起こす。その衝撃で【玄武(げんぶ)】の体が揺れる。これで傷を負ってくれればいいんだが。

 黒煙が晴れ、【玄武(げんぶ)】の足が見える。その足の表面は黒く変色していたがほとんど傷ついていないみたいだった。多少の傷はあるようだが動くのには全く支障がない様子で、【玄武(げんぶ)】はまた歩き出す。その間にも尻尾の蛇がガイやバロンさんに向かって行く。2人共剣で一応いなしたりしているがそれでもかなりの大きさなので吹っ飛ばされないようにするのが精一杯の様子だ。蛇の尻尾の太さは2~3mぐらいで、顎の部分は噛み付く時にさらに倍以上の長さになっている。剣撃も飛ばして牽制したりできないし、一刀の下に斬れるものでもない。噛み付かれないようにするだけでも大変なんだ。


 しかし【大爆発(エクスプロージョン)】の魔法具では大した効果がないか。【白虎(びゃっこ)】の時に様に何個かいっぺんに使えば威力が上がるかも知れないが、こちらも巻き込まれる可能性が高くなる。風なんかで閉鎖された空間を作って威力を上げようにも魔法が使えないしな。

 今は邪魔な尻尾を何とかする方法が先か。



「アリア、あの蛇の尻尾を何とかするぞ。俺に合わせろ。」



 俺はアリアに声を掛ける。俺とアリアは近くにいる。魔法が使えないのでアリアのフォローを俺がする為だ。

 俺は手に持った魔法具のスイッチを入れる。俺が今手に持ってる魔法具は直径3cm位で長さが10cm位の円柱の形をしている。そこにスイッチが付いている。同じものをアリアにも渡している。

 俺の言葉でアリアも手に持った魔法具のスイッチを入れた。

 するとその円柱の先から水が溢れて鞭の形を取る。

 今手にしているのは新しく作った魔法具で【水の女王《クイーン・オブ・アクア》】が封じてある。俺とアリアがそれぞれ手にしている魔法具にそれぞれが魔法を込めた。だからちゃんと扱えるようにはなっている。ただ封じた水の分でしか使う事が出来ない。恐らく長時間は使えないだろう。基本的に【水の女王《クイーン・オブ・アクア》】は継続的にMPを消費する魔法で、魔力で水の鞭を操る。今回は自由に水の鞭を操ることが出来ないが、俺とアリアは【躁鞭術(そうべんじゅつ)】のスキルが10だから思ったように水の鞭を動かすことが出来る。

 俺とアリアは水の鞭を操って【玄武(げんぶ)】の尻尾の蛇の部分に鞭を巻き付ける。

 しかしこのままだったら力負けするだろう。俺とアリアだけではどうやっても踏ん張りなんか聞かない。



「アリア、【玄武(げんぶ)】の首を一度通すんだ。」



 俺はアリアに指示を出しながら自分の水の鞭を操る。手元を軽く回す。それだけで水の鞭に輪が出来る。その輪を操作して大きくしてから【玄武(げんぶ)】の頭に向けて伸ばす。水で出来た輪を【玄武(げんぶ)】の頭に通す。頭が通ったのを確認してから鞭を引き、輪を縮める。

 アリアも俺の真似をして同じ様に水の鞭の途中に輪を作って【玄武(げんぶ)】の首に引っ掛ける。


 俺とアリアの手から伸びる水の鞭は【玄武(げんぶ)】の蛇の尻尾に絡まり、そこから【玄武(げんぶ)】の亀の首を一周してから俺達の手元に伸びている。

 よし、これで【玄武(げんぶ)】の尻尾が暴れて水の鞭を解こうとすると、亀の首の部分が締まることになる。

 ただ首が締まるって言っても【玄武(げんぶ)】の肌は固く、首が締まって窒息するなんてところまでは行かないだろう。ある程度動きを封じ込められただけだ。



「ガイ、バロンさん。今のうちに!」



 俺が叫ぶ。

 その声を聞いて2人が走る。2人共同じ所へ向かっている。当然動きが制限された【玄武(げんぶ)】の尻尾へ向かってだ。

 バロンさんが一旦【玄武(げんぶ)】の甲羅と呼んでいいかわからない所背中の所に飛び乗る。そのまま背中の岩の部分を走ってから飛び上がる。その下には蛇の尻尾の頭がある。

 その下からはガイが走ってきて、地面から飛び上がる。バロンさんと縦の軸が同じ所だ。



「【龍牙・断頭刃《りゅうが・だんとうじん》】」

「【鬼刃・天翔斬《きじん・てんしょうざん》】



 2人の声が重なる。

 そして2人の刃も重なる。バロンさんは気を纏った大剣を上から。ガイは気を纏った双剣を下から。それぞれの剣がぶつかるんじゃないかと思ったが、そこは紙一重に交差する。

 バロンさんは地面に着地し、今度はガイが【玄武(げんぶ)】の背に飛び乗る形だ。

 そして2人の剣を受けた蛇の形をした尻尾は、2人が交差したところから綺麗に切断され地面に落ちた。

 よし、【玄武(げんぶ)】は再生能力とかは持ってなかったはず。いきなり蛇の尻尾が再生したりしないだろう。と言うかされたら困る。俺とアリアの魔法具がもう持たない。そう思った瞬間に水の鞭は弾けてただの水に戻った。

 【玄武(げんぶ)】は尻尾の断面から血を流しているが動かなかった。

 うん?尻尾を斬られたのを気づいてないのか?

 と【玄武(げんぶ)】の様子を伺っているといきなり、「グォオオオオッ」と凄い声で鳴いた。痛みが遅れて届いたのか?

 キッと鋭い目をして俺達の事を睨む【玄武(げんぶ)】。

 しかしこれで本体をゆっくり相手できるか。

 そう思ったら玄武が顔を上にあげて大きく息を吸い込んでいる。

 なんかヤバい。そう本能的に感じた。



「ヤバい攻撃来るぞ。皆避けろ。」



 俺は声を張り上げる。

 シータとブランは【玄武(げんぶ)】の後方にいるから大丈夫だろう。

 ガイも【玄武(げんぶ)】の背中に乗ってる。恐らくそちらへの攻撃ではない感じがする。

 バロンさんも俺と同じような異変を先に察知していたか、【玄武(げんぶ)】の横を通り後ろの方に駆けて行ってる。

 えっ?ってことは必然的に俺とアリアに向けての攻撃になるんじゃ・・・。



「アリア、俺の後ろに隠れろ。」



 俺はそう言ってアリアを自分の後ろに回る様に指示する。

 そして俺は【倉庫持ち(アイテムボックス)】から魔法具を取り出して目の前に投げる。

 俺達の目の前には岩で出来た国境にあったような砦が出来上がり、俺達を囲む。

 俺が作ったオリジナルの土魔法【堅強なる砦(ロックフォートレス)】を封じてあった魔法具を使った。魔力で圧縮した岩を更に魔力で補強して、砦の形に作り上げる。かなり強力な防御魔法だ。

 普通に使う魔法だったら大きさなんかはその時に自由に作れるんだけど、今回は魔法具に封じ込めただけなので10m四方の広さで、高さが5m位の塀に囲まれた感じになる。何かあった時の緊急用に使おうと思ってたやつだ。これも一回使い切りで、使ってしまうとそこ場に砦が出来てしまうので動かせなくなる。しかしこれを使わないとヤバそうな気がしたから迷うことなく使用した。

 そして一応俺は盾を構えて【絶対防御(イージス)】も使った。

 俺達からはもう【玄武(げんぶ)】の姿は見えない。

 どうなる?と思った瞬間に【堅強なる砦(ロックフォートレス)】が大きく揺れた。大きな地震にあったような感じで、塀がガタガタと音を立てて揺れている。そして塀に亀裂が入るのが見えた。小さな亀裂が無数に入る。

 マジか!?かなりの防御力を持つ魔法なのに。

 何とか耐えきってくれ、と心に願う。音を立てて周りの塀が少しずつ削れていくのが分かる。そして前の塀が大きな音を立てて崩れ落ちた。

 ヤバい、と思って盾を構えた腕に力を入れるが、特に衝撃などは襲ってこなかった。

 丁度【玄武(げんぶ)】の攻撃を耐えきった時に限界が来たみたいだ。周りの塀も音を立てて崩れ落ちた。そして周りを見るとそこには目を疑う光景が広がっていた。


 【玄武(げんぶ)】の所から120度ぐらいの扇状約100m位が更地になっていた。大きな岩とか転がっていたはずなのに、俺の作った【堅強なる砦(ロックフォートレス)】の崩れた残骸以外何もなかった。これをさっきの攻撃でやったのか?

 もしかしてこれが本当の【玄武(げんぶ)】の持つスキル【衝撃波】だったんじゃないのか。

 こんなのまともに喰らったらどうなるか。

 緊急用の【堅強なる砦(ロックフォートレス)】は使ってしまった。もうあそこまで防御力が高い魔法を封じ込めた魔法具はない。次にあの攻撃を喰らう訳にはいかない。俺には【絶対防御(イージス)】があるからなんとか耐えきれるかもしれないけど。他の仲間がそうはいかない。避けるにしたって範囲が広すぎるだろう。

 【玄武(げんぶ)】の背中に乗ったら喰らう事はないかもしれないけど、甲羅からは攻撃が通用しそうにないし。動いて振り落とされたところにあれを喰らったら避けようがないな。



「アリア、とりあえず遠くに離れていてくれ。

 すまんが、フォローして戦うのは難しい。次あの攻撃が来たら守り切れないかもしれない。

 攻撃範囲外まで下がってくれ。」


「仕方ありませんね。わかりましたわ。ご武運を。」



 俺の言葉を聞いてアリアは俺の下から離れて、遠くへ身を隠しに行く。魔法が使えないとなるとアリアには荷が重い相手だろう。

 しばらく俺が引き付けるか。

 そう思って俺は【倉庫持ち(アイテムボックス)】から弓と矢を出して【玄武(げんぶ)】に対して矢を放つ。矢が【玄武(げんぶ)】の肌を通るとは思ってないので目を狙う。

 【玄武(げんぶ)】もそれが分かってるのか顔を少し動かしたり、瞼を閉じて俺の矢から目を守る。

 このままこんな事していても倒せそうにない。次の手を試してみるか。



「シータ!」



 俺はシータを呼ぶ。

 その声を聞いてガイやバロンさん、ブランがフォローに入って【玄武(げんぶ)】に向かって攻撃をして注意を引いてくれている。



「何?」



 シータは直ぐに俺の下に来た。



「次の作戦だ。」



 俺はそう言ってシータに次の作戦の内容を伝えた。

お読み頂きありがとうございます。


更新が大分空いてしまいました。すいません。

なかなか時間が取れないので年内もう1回か、可能であれば2回くらい更新出来たらいいな~っと思っております。

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