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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
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迷宮攻略16

 俺はいつもの様に皆に支援魔法をかけた。次の階層に行って何が起こるかわからないしな。

 次の71階層に行くには階段の様だ。宝箱の所から進むと下に降りる階段が見えた。という事は普通のダンジョンの様な作りなんだろうか?

 様子見だけして帰ろうと思って俺達は71階層に続く階段を下りだした。



 階段を下りるとかなり暗い通路だった。一応見て取れる範囲は石の床や壁で間違いはなさそうだが、今までと違ってかなり暗い。3m先も暗くて見通せない。そしてこの階層に降りて来てなんだか体が重くなった気がする。なんだろう、この感じ。嫌な予感がするな。

 とりあえず暗いし、どうなってるかわからないので俺は【生活魔法(デイリーマジック)】で明かりを用意しようとして唱える。



「【灯火(ライティング)】」



 俺が魔法を唱えるが何も起こらない。

 えっ?もしかして。



「【炎の槍(フレアランス)】」



 炎の槍を出そうと唱えるがまた何も起きない。周りの皆が不思議そうに俺の事を見ている。しかしこれって・・・。



「なぁ、ここの階層って魔法が使えないみたいだ。」



 俺が気付いたことを皆に告げる。すると全員が驚いて声を上げる。ブランとアリアがそれぞれ土魔法と水魔法を使ってみようとするが何も起こらない。そしてそのまま固まる。

 俺以外も魔法が使えないみたいだ。間違いないな。この階層から魔法が使えなくされている様だ。


 この階層の降りて来て体が重くなった気がしたのは事前に掛けていた支援魔法が強制的に解除されたから、ステータスアップの補正がきれたんだろう。しかしどうしたものか・・・。今までのパターンならボスまで同じ様な階層が続くから80階層までは魔法が使えないエリアってことだよな。ボスの所でも使えない可能性が出てくるな。この分じゃ回復魔法も使えそうにないな。

 そう言えば昔の勇者も70階層までは攻略できたんだったっけ。でもそれ以降攻略してなかったのはこういう事か。

 魔法が使えないっていうのはかなり厳しい。回復なんかも全て薬だったりを使わないといけなくなるってことだ。魔法ならMPさえ回復したら何度でも使えるが薬なんて一回で使い切りの物が殆どだ。それだけを持ち歩くのも大変だしな。【倉庫持ち(アイテムボックス)】もレアなスキルだからそうそう持ってるやつもいなかったはずだし。

 っとそう言えば魔法は封じられてるけどスキルも封じられてるのか?

 魔法を封じるっていうので思いつくのは周りの魔素に干渉出来ない様になってるとか、そういうパターンだと思うんだけど。そうなってくると魔素を使ったりする超常現象的なスキルも封じられる可能性は高い。



「ガイ、気を放てるか試してみて。」



 俺に声を掛けられて、ガイはしばらく考えてから納得顔になって剣を抜いた。

 ガイは剣に気を纏わせて剣を振るう。剣から放たれた剣撃は剣から離れるとすぐに消え失せた。

 ん?剣に気は纏う事は出来たみたいだけど、放つとすぐに消えた?

 その光景を見て俺はしばらく考え込む。


 剣に気を纏わせることは出来た。という事はスキル自体が封じられている訳ではないみたいだな。しかし剣から離れるとすぐに消えるってことはやっぱり周りの魔素には干渉できないってことか。剣に気を纏わせるのは、自分の中のHPを消費して気として練った力を使っている。それが外部に出た時には魔法の様に周りの魔素を使って斬撃なんかにしているってことか。自分が使った分の気の力だけだと体から離れるとすぐに霧散してしまうってところだろうか。


 そう言えばと思って俺は【索敵(レーダ―)】のスキルを使って、この階層の確認をしようとするが出来ない。【索敵(レーダ―)】に使っているスキルの内【千里眼(リモート・ビュー)】なんかは魔素を使って遠くの情報を得ている様なものだからだろうか。そう言った周りの魔素を使うようなスキルは使えなくなるってことか。

 という事はスキルも使えるものと使えないものがあるってことだ。


 これはもっとヤバいな。スキルも使えるものと使えないものが出てくるとなると攻略するのはかなり難しくなる。自分のHPとMPを使うようなスキルは放出して周りに干渉しないようなスキルだと使えて、周りの魔素を感じたり使ったりするスキルは使えないって感じか。

 いや、まだ色々と試してみないと分からない。簡単に結論付ける訳にもいかないな。

 今回も一筋縄ではいかない感じだ。これは準備にも時間がかかりそうだな。



「とりあえず一旦ギルドに戻ろう。また一からどうやって攻略するか考えないといけない。

 今回は攻略に乗り出すにはさらに時間がかかりそうだ。」



 俺は皆にそう言った。皆も70階層を攻略したっていうのに渋い顔をしている。でもブランとアリアはこの階層に対してどう攻略していいものか悩んでる感じだけど、後の3人は攻略に乗り出すのに時間がかかることに対して渋い顔してる様だな。いやいや、主に考えるの俺だと思うんだけどね。

 とりあえず70階層に階段で戻った。そこで魔法を使うと問題なく使えた。やっぱりいきなり使えなくなったのは71階層からの様だ。


 みんなで帰還用の魔法陣に乗ってギルドに戻ってみると前回よりも大変な事になっていた。

 皆狂喜乱舞って感じだったな。

 そう言えば誰かが新しい階層に足を踏み入れるとギルドの方で分かるんだったっけ?俺達が71階層に辿り着いたことをギルドで分かって、その場にいる冒険者に告げたんだろう。

 酒が宙を飛び。それ以外の物も飛んでいる。

 かなり出来上がった冒険者も多数いるみたいで、大騒ぎだな。

 しかし俺は表情が暗くなってしまっていた。これからの攻略の事を考えるとなかなか騒ごうって気になれないんだよな。

 バロンさんは喜んでバカ騒ぎに身を投じていた。ギルドマスターがそんなのでいいのかと思ったけど、皆暗くなってしまってもしょうがないしね。これからの事は俺が考えることにしますか。

 そう思って俺は70階層を攻略したことを受付に告げて登録をして貰った。



 前回と同様、バロンさんには攻略の方法を考えてから声を掛けると伝えて宿に戻った。



「しかし魔法が使えなくなることがあるんですのう。」



 宿に戻って少しゆっくりしてる時にブランが口を開いた。

 一応3人部屋にアリアとシータも来ていて全員が同じ部屋にいる。



「そうだね、いつかはこんなこともあるかとは思ってたんだけどまさか迷宮で出てくるとはね。」


「主(あるじ)はそこまで考えていらっしゃったんじゃのう。」


「いや、何となくなんだけどね。元の世界でもそういう話は聞いたことがあったから。

 今回の場合少し確認しただけなんだけど、周りの魔素に干渉できないって感じかな。」


「周りの魔素に干渉できないですか?」



 アリアが聞いてくる。



「そう、魔法は魔力を使って周りにある魔素に干渉して火で矢を作ったり、水を槍にしたりとかしている。でもその周りの魔素に干渉できない様にしてあるって感じだと俺は思った。スキルの中でも周りの魔素を感じ取ったりするスキルは使えないみたいだからね。」


「そんなことが・・・。」


「どういう理屈かわからないがね。でも魔法を封じられるのは痛いな。回復や支援魔法が使えないし。もしかしたら回復や支援魔法も自分で自分に掛ける場合だけ問題ないかもしれないけどね。周りにある魔素に干渉しなかったら問題ないんだったらね。ただその場合、俺とアリアしか傷を負っても回復できなくなってしまう。

 【気功術】も身体を強化したりする分には使えると思うだけど、それを放ったりすることは出来ないんだと思う。遠距離の攻撃が出来ないのがつらいな。」


「しかしそれでしたらどうやって攻略を?」


「う~ん、とりあえずまずはどのスキルが使えるか、どのスキルが使えないかの確認からかな。それから使えるスキルでどうやって攻略していくかを考えるしかないかな。どういう敵が出てくるかもわからないし、80階に出てくる魔獣も70階よりも強い敵になりそうだしね。」


「そうですわね。」


「とりあえずしばらくの間俺が71階層まで行ってどこスキルが使えるか確認してこようと思う。それからかな、また皆は俺が声掛けるまで自由に過ごして貰っても構わないよ。」


「そんな、主(あるじ)。わしらも何かお手伝いします。」


「ブランありがとう。今回は多分お願いすること出てくると思う。魔法が使えないなら回復薬を持っていかなくなるからその材料とかを取って来てもらったりするかも。」


「なるほど。そうですのう。その時にはまたおっしゃって下され。」



 俺達はそう言う事で一旦話し合いを終わらせた。また忙しい日が続くな。



---------------------------



 そして次の日から俺は言った通りに71階層に1人で行って使えるスキルの確認をした。

 こういう時には【八百万のスキル(アルティメットスキル)】が役に立つ。ホントにこのスキルを選んでよかった。どんなスキルでも付け替えれば簡単に使えるしね。

 そして色んなスキルを次々試していった。

 するとやはり俺が感じた通りの結果だった。

 この階層では外部の魔素への干渉を封じられている。魔力を吸収されたり、魔法が使えない様な状態異常を付加されたとかではない様だ。

 そして自分のHP、MPを使って自分へのスキルや魔法はある程度使えるという事。

 強化する魔法なんかもものによって使える使えないが別れた。筋力や集中力をアップさせる魔法は使えるが、身体に魔力の鎧を纏って防御力を上げる様な魔法は使えない。しかしなんでこういう仕様にしたんだろうと思ったがモンスターと出会ってみて分かった。


 しばらくスキルの確認をしていた時にモンスターが俺に近付いてきた。

 俺1人だったが自分自身になら回復魔法やある程度の支援魔法も掛けれることが分かっていたので戦ってみた。暗いところであっても俺だけだったら【暗視(ナイトヴィジョン)】のスキルがあるから問題なく周りの景色が見える。

 近づいてきたモンスターは蛇の様なモンスターだった。しかし体長は3m位あった。そう言えば蛇も獲物の熱源を感じることが出来たりする奴もいるんだっけ。こいつも暗くても問題ないのかもしれないな。

 しかし驚いたのが【鑑定眼(アナライズ・アイ)】は使うことが出来た。てっきり鑑定する物の魔素とかから情報を読み取ったりしてるのかと思ったけどそうでもないみたいだ。

 読み取ったステータスを見るとスキルに【毒噴霧】と言うスキルがあり、それ以外に迷宮モンスターと言う称号があって思い出した。そう言えばここに出るモンスターって多分魔素を固めてモンスターにしてるっぽいんだった。倒したら跡形もなく消えるんだもんな。ってことは毒霧も魔素を固めて作ったものなんだろう。周りにある魔素を変化させる様なスキルだったらやっぱり使えないんだろうな。

 この階層にいるモンスターも色々なスキルを使えるようにする為に、ある程度魔素を使う事を容認してるんだろう。じゃないと単純な攻撃しか出来ないモンスターしか出ないよな。

 現れたモンスターには申し訳ないが遠くから70階層で取った弓を使って倒させてもらった。筋力の強化や、弓術のスキルなんかは問題なく使えるので何本か頭を狙って打ったらサクッと倒せた。こうやって進んでいくしかないか。【気配察知(サインシーカー)】は使えるからモンスターが着たらわかるし、【鑑定眼(アナライズ・アイ)】や【観察眼《オブザベーション・アイ》】が使えるので罠に関してもどこに何があるかわかる。

 問題は暗さとかなんだよな。ランタンとか持って歩くしかないかな~。なんて考えていたが、ふと閃いたことがあった。

 

 もしかすると・・・。


お読み頂きありがとうございます。


2日1回の更新に間に合いませんでした、すいません。

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