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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
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迷宮攻略17

 俺は色々な仮説を立てて一つずつ確認することにした。


 一番最初に思いついたのが、もしかすれば俺達だけ魔法と言うか周りの魔素に干渉できなくされている可能性。

 迷宮に降りた瞬間に俺達だけ選んでそういう状態にされているってことだな。状態異常とは違った感じで。

 その場合だと迷宮にいるモンスターは周りの魔素に干渉出来るので魔法やそれに似たスキルは使えるってことだ。そうなると更に攻略が大変な事になるだろう。俺達だけ魔法使えなくて、敵は魔法を使ってくるってことになるんだもんな。ただこれを確認する為にはデータを取らないといけない。迷宮に入って魔法を使うようなモンスターを探して、実際に使ってくるかを確認しないといけないだろう。それはそれで大変なんだけどな。

 でもそんな個別な設定をするのは面倒な感じがするんだよな。それだったらこの階層では魔素の干渉を禁じるってことにした方が楽だと思うんだけど。まぁ神が作ったものだから何とも言えない。簡単に出来るのかもしれない。その場合なら何とか俺達と認識されなく出来たなら魔法なんかが使えるようになるんだけど、その可能性はかなり低い気がする。外の魔素にさえ干渉しなければ魔法やスキルを使えるって点だよな。どちらにせよこの可能性だと俺達が魔法を使えるようになるというのは難しそうだ。たとえ俺の考えが正しかったとしても別の方法を考えた方がいい気がする。


 次にモンスターのスキルを見て思ったのが、体の中で魔素を原料として作ったものは体外に出ても消えたりしないという事だ。迷宮モンスターが体内で魔素を使って作った毒の霧やなんでも溶かす消化液なんかも一度作ってから、体外に排出しても周りの魔素に干渉する訳でもないからその効果を発揮する。

 という事はだ、元々魔素を固めて作っておいたものを持ち込んで使ってもその効果は発揮するってことになるんじゃないか?

 具体的に言うとMPを使って作った水や炎、光なんかを迷宮に持ち込んでもそれは消えずに残るんじゃないかってことだ。

 それが可能なのであれば、地上で魔法を封じ込めた魔法具を迷宮内で運用出来るってことに繋がる。

 しかし問題はある。現行の魔法具のほとんどは魔石を燃料として、魔法陣を刻んで特定の魔法を使えるようにしている感じだ。魔法その物を封じ込めている訳ではなく、その場で魔法を使っている様なものだ。だから周りの魔素に干渉してその現象を起こしているがほとんどだ。

 だがこの間俺が開発した属性の魔石に関しては少し違う。魔石に魔法を封じ込めているんだ。

 この考えが正しければ71階層以降でも魔法を封じ込めた魔法具を使う事によって、魔法を使うことが出来るかもしれない。多分これが一番現実的な気がする。その線でまずは試してみるか。



 そう考えた俺はまた宿に籠ることにした。

 また魔法具の研究と作製だな。しかしこれって勇者がやることなんだろうか。ほぼほぼ研究者だ。

 そしてまたガイ達には暫く自由に過ごしてもらうように伝えた。

 ただ心苦しいんだがお金を稼げる方向で過ごしてもらうように頼んだ。

 迷宮から出たものは売りに出していないし、生活費もかかる。しかも魔法具を作ったりする材料も仕入れないといけない。今は迷宮に入る以外に依頼もこなしていないから収入源もないんだよな。

 一応以前に稼いだお金はあるがそんなのすぐに底を着いてしまうだろう。

 だから何とかお金を工面するように頼んでおいた。

 するとそれぞれ考えてくれたみたいだった。

 

 ガイとブランは助っ人として、他の冒険者のパーティにお金を貰って一時的に入ることをしていた。それとは別に強くなりたい人を師弟契約をして鍛えたりもしていた。それはかなり好評で沢山の冒険者が2人の弟子になって鍛えてた。

 アリアはギルドで怪我を負った人の回復をお金を貰って行っていた。もう回復魔法もレベル10あるし、死んでなかったらどんな傷でも回復できるからな。しかも見た目は美少女だから一部の冒険者がファンクラブの様なものを作ってるみたいだ。中身を知らないって素晴らしいことだと思う。

 シータは迷宮内を探索して、危険な目に合ってる冒険者を助けたりしてるらしい。バロンさんが契約して仕事としてそういうことをしているらしい。一回助けるごとにいくらもらえるとか。シータ自体気配消して動けるしな。迷宮内を色々と走り回ってるみたいだ。

 皆そうやってお金を稼いでくれていた。



 俺はとりあえず試作品1号を持ってまた71階層に来てみた。

 ランタン代わりの魔法具だ。そこそこの家だったら持っている魔法具を改良して作った明かりだ。普通は魔石を燃料に【灯火(ライティング)】の魔法を使うように調整された魔法具だが、俺は魔石に魔法陣を刻んで【灯火(ライティング)】の魔法自体を封じ込める様にした。スイッチの様なものを作って【灯火(ライティング)】の魔法を発現したり、止めたりすることが出来るようになっている。これが使えるってことならば魔法を封じ込めた魔法具なら使えるってことになるだろう。

 緊張しながら俺はスイッチをオンにした。

 すると魔法具自体が光を放ち辺りを照らした。実験は成功したようだ。

 その後も各属性の簡単な魔法具も作ってみた。それぞれ【火の矢(ファイヤーアロー)】や【岩の弾(ロックバレット)】なんかを封じ込めたものだ。今回も四角い箱の様な魔法具でそれぞれに魔法を封じてある。属性の魔石を入れてあって、箱に魔法陣を刻んである。魔法陣はどの方向に込めてある魔法を開放するかなんかの制御用だ。それぞれオンオフのスイッチを付けているのは一緒だ。

 【火の矢(ファイヤーアロー)】の封じた魔法具を構えてスイッチを入れる。するとこちらも問題なく火の矢が出現して通路を進む。よしよし。他の魔法具も問題なく動作した。これなら他の魔法も魔法具に込めれば使えそうだな。

 後は色々と作っていけばいいか。でもそれが大変なんだろうけど。魔石の数も手持ちでは足りそうにない。仕入れてこないといけないかな。他の材料も必要だし、一度ザールに戻った方がいいんだろうか。

 そんなことを思いながら魔法具を【倉庫持ち(アイテムボックス)】の中に戻す。

 そうそう【倉庫持ち(アイテムボックス)】は使えるみたいで安心した。これが使えるのと使えないのではかなりの差が出る。魔素を介してると思ったから使えないかと思ったが杞憂(きゆう)に終わった。どうも周囲の魔素を使って何かを作ったり、操作するって言うのが大きく制限されてるみたいだ。それ以外は割と融通がきいたりする。調整が大変なんだろうな。俺達が攻略した後で調整とかされたりするんだろうか。キュクロさんも迷宮って作ったきりなのか細々な調整してるのか不明だな。会った印象からするとしてない気がするけどね。



 一応の検証も終わったので俺はまた魔法具作りに没頭した。

 魔石もザールで取れるようになったのである程度流通するようになったのでクレタの町でも購入できた。結構値段はかかるだけどね。

 それ以外にも回復薬の生産なんかにも手を出した。魔法具で回復魔法を使える様にしたらいいのかと思ったけど攻撃系の魔法具もいっぱい作っておきたいし、回復薬で事足りるならそっちの方が割安なんで自分で作ることにした。市場に出回ってるのよりも俺が【調合】のスキルなんかを使って作った方が効果がかなり上がる、だったら作った方がいいに決まってる。

 ブラン達に薬草なんかの採取を頼んだ。実はブランも【鑑定眼(アナライズ・アイ)】を使えるようになってる。だから良質な薬草を集めて来てくれた。

 それらを煎じたり、他の薬草と混ぜたりして回復薬や、毒、他の状態異常を治す様な薬を作っていった。これを売ったら結構な値段で売れるんだろうな。でも今は俺達の為においておかないとな。



 魔法具作りも佳境に入った。

 かなりの数の魔法具を作って【倉庫持ち(アイテムボックス)】の中に入れていった。

 攻撃や回復、防御、支援と色んな魔法具を作っていたら気付いたらまた1月以上の時間が経っていた。100階層まで攻略するのにまだまだ時間がかかりそうだ。



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「さてと、じゃあ80階層まで攻略しますか。」



 全ての準備が整った俺は皆に声を掛けてギルドに集まった。

 ギルドには冒険者が沢山いた。ガイとブランが弟子にした冒険者も多く、どこからか聞きつけて来たみたいだな。なんかあっちにはピンクの法被の様なのを着た冒険者がいるんだが・・・。背中にアリアLOVEと書いてある。あぁ、あれがアリアのファンクラブの面子か。うん、なんか他とは一線を画しているな。アリアは笑顔で手を振ってる。どこぞのアイドルか。



「さぁ行きますかね。」



 俺達は盛大な見送りを受けて迷宮攻略を再開した。



 71階層に降りた俺は皆に眼鏡の様な形をした魔法具を渡した。

 この暗い階層でも問題なく見えるようになる支援魔法を封じてある。レンズの部分が光を増幅して見える様にしてくれてるんだ。

 明かりの魔法具を用意しても良かったけどそれだと持ち歩いたりしないといけないし少し面倒かと思った。何よりみんなの眼鏡姿を見たかったんだよね。

 普段と違った姿を見てみたかった、それが一番の理由だ。いや、大事だろう。服装とかもあんまり変わらないし、アクセサリと言うかワンポイントで印象が変わったりするんだから。


 ガイにはオーソドックスな黒のフレームの魔法具を渡した。金属って感じではなくエナメルの様な質感のレンズがそこまで大きくないやつだ。うん、似合ってる。知的に見えるな。

 ブランには茶色の金属フレームで、レンズの形は丸だ。似合い過ぎている。少し可愛い感じが出てていい。

 バロンさんにはスタイリッシュなサングラスタイプだ。こんな暗いところでと思ったが、オールバックで厳つい感じのバロンさんにはこういう風なのが似合うだろう。

 シータはなぜかスキーのゴーグルの様な感じだ。どちらかと言うとミリタリーチックな形にした。動き回るからズレない方がいいみたいで気に入ってる様だ。

 アリアは赤のフレームでレンズは小さ目の奴だ。作ってる時にアリアから要望があってこの形にした。可愛さ重視だな。自分の容姿をよくわかってらっしゃる。

 一応俺も作ってある。俺にはスキルがあるから本当は必要ないんだけど皆してるんだから、俺も一緒がいい!ってことで作ってみた。

 俺のも黒を基調として青色のラインを入れた少しフレームの大きな形だ。俺自身目は悪くないので眼鏡をかけたことがないんだけど似合ってるんだろうか。やっぱりアイテム1つで雰囲気と言うか印象は変わるな。頑張って作った甲斐があった。皆似合ってると思う。

お読み頂きありがとうございます。


師走に入って時間が取れなくなってきました。

2日に1回の更新も怪しくなってきました。

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