迷宮攻略6
【デッドエンペラー】を倒したことで次の部屋への扉も開いたし先に進むとするか。今回の報酬は何だろうか。まともなものだったらいいけど。
俺達はぞろぞろと次の部屋に進んで宝箱の方へ進んだ。今回置いてあった宝箱は前の階層にあったものよりも大きかった。中に身少し期待が持てるかな。そう思って俺は宝箱を開けてみた。
中には40階層のメダルと1本の剣が入っていた。長さはロングソードと呼ばれるような長さの両刃の剣だった。手に取って【鑑定眼】で確認してみる。すると『神が作ったそれなりの剣』と出た。それなりってなんだよ。でもこれも普通に売ってる剣よりも良い剣なんだろうけども、あんまり持ちたくない剣だな。
「今回は剣みたいだからガイが使う?」
俺は宝箱から出た剣をガイに渡した。
「それなりの剣みたいだよ。」
説明を付け足す。
ガイは俺から渡された剣をしげしげと見つめてから、今使っていた剣を腰から外して付け直していた。一応は気に入ったみたいだな。ガイから前に使っていた剣を俺は受け取って【倉庫持ち】に入れておいた。
とりあえず40階層も攻略出来たな。今日は良いペースで進めているからこのまま50階層まで行ってしまってもいい気がするんだけどな。気分が乗ってる時に進んだ方がいいかどうかだな。今回のボス部屋ではある程度戦闘って感じだったし、このまま戦闘の勘を持ったまま進んだ方がいい様な気がするんだけどな。
「このまま50階層目指して進んでみる?」
俺が皆に問いかける。
すると皆頷いて答えてくれる。50階層って節目の気がするしな。キュクロさんも50階層をクリアしたら認めてくれる感じだし何かある気がする。41階層まで降りて様子を見て引き返してもいいしな。
そう思った俺は帰還用の転送魔法陣ではない方に進む。進んでから気付いたが今回下の階に行くのはまた階段の様だ。さてと今度はどんな仕様なのかなっと思いながら俺は皆に支援魔法をかける。そろそろ攻略するのも大変な感じかもしれないし気を引き締めていくか。
そんな事を考えながら俺達は階段を下って行った。
41階層に到着すると以前に見たような景色だった。
初めて迷宮に入った時の様な石で作られた通路のような場所だった。ただ違ったのが通路の幅や天井までの高さだ。以前の倍以上はあるだろう。15m位はあるんじゃないだろうか。この階から出るモンスターが大きくなったりするんだろうか。そう思い【索敵】と【探索】で階層の確認をする。
この階層は通路が広いだけじゃなくて全体が広いみたいだ。入った時の階層の数倍の広さがあった。しかもそれが迷路のような通路で構成されている。なんか急に難易度上がってないか。しかし誰かが踏破したら地図が残るだろうし迷路であっても道順が分かっていれば問題ないだろう。でもここはモンスターの数がかなり多いみたいだ、しかも【索敵】で確認できるモンスターの図体はデカいのが多かった。攻略するのが大変だろう、これは。急に難易度調整しましたってことになってないか?
今までの階層も俺の様なスキル持ちじゃなかったら大変なんだろうけどもね。それに比べたらこっちの方が楽だったりするんだろうか。
確認して分かったんだけどこの階層には結構な数の冒険者がいるみたいだ。砂漠の所にはいなかったけどこの階層にはいるんだ。まぁここだったら戦い易そうだしな、レベル上げにはいいのかもしれないな。経験値の高くて倒しやすいモンスターがいたりするんだろうか。ただ他の冒険者もいるようなところで俺達がレベル上げするのも面倒だしここはやっぱり50階まで素通りするのが一番かな。
「今回も50階層まで突き進むぞ。」
俺は【念話】で皆にそう言って走り出した。
次の階段までの通路を走っていると何度か戦闘している所を見た。その都度【鑑定眼】で冒険者とモンスターのステータスの確認をしていった。冒険者は大体が10人前後のパーティを組んでいる様でレベルやスキルから判断するとBランクが殆どかな。モンスターもBランクに行かないくらいのモンスターが殆どの様だ。モンスターのスキルもそこまで特殊なものはなかったみたいなんでやっぱりここはレベル上げしやすい階層なんだろう。しかし皆良く40階層の魔獣倒せたな。結構面倒な相手だと思ったんだけど。何か習性だったり楽な倒し方があったりするんだろうか。今となっては俺達には関係ないか。
そんなことを考えながら通路を走って次の階層を目指す。今回の階層は広かったから階段に辿り着くまで結構な時間がかかった。それでも実際には20分位なんだけど。これが10階層分か、何とかなるか。そう思ったので俺達は引き返さずにそのまま下の階層に進んだ。【天狗の隠れ蓑】のおかげかこの階層でもモンスターに気付かれることはなかったし、まだまだこの感じで先に進めそうだしな。
42階層に辿り着くと41階層と同じような感じだった。多分こんな感じのが10階層分続くんだろうと予想した。しかしこの階層には冒険者が1人もいなかった。皆41階層で戦ってるみたいだ。何かあったら引き返せるからだろうな。41階層でも40階層に近いところに皆固まってた感じだったし。
42階層以降も俺達は順調に踏破していった。道が分かってモンスターと戦闘もない、罠まで最初からわかっていたらそんなもんだよね。俺達は前よりは時間がかかったが何とか50階層のボス部屋の前まで辿り着くことが出来た。
扉はそこまで大きくなかった。という事は大きな敵じゃないかもしれないのか。いや、中に入ってみたら中は広かったってことがあるかも知れないし。扉は開いていて他の冒険者はこの階層にはいなかった。少し休憩してから中に入ってもいいだろう。そう思って俺達は扉の前に座って昼ご飯を食べだした。もちろん以前に作ったものを【倉庫持ち】から出して食べたんだ。
飯も食い終わって休憩もした。後は戦うだけか。今回はどんな魔獣なんだろうか。
俺達は後片付けをして戦闘の準備を進める。と言っても俺とアリアが支援魔法を皆に掛ける位なんだけどね。
「さて半分の50階層の魔獣だ。気合い入れていくぞー!」
「おーっ!」
俺の声掛けに皆が以外にも乗ってくれた。
そして俺達はボス部屋に入るために扉を開け中に入った。
部屋の中に入ると今回は円形の部屋だった。ただ広さは前回の40階層のボス部屋ぐらいはあった。前に見える魔法陣もそこそこの大きさがあるみたいだから、ここもそこそこのデカ物が出てくるんだろう。
全員が部屋に入って扉が閉まる。それと同時に魔法陣に光が集まる。光がなくなった時に見えたボスの姿は俺が想像していた物を大きく異なっていた。
どんな魔獣が出てくるかと思ったら魔法陣から現れたのは獣とは言えない物体だった。
体長は5mぐらいで上半身は頑丈そうな鎧が顔まですっぽりと覆っている。そして体を覆う鎧からは腕が四本伸びていた。その腕それぞれには剣や斧なんかが握られている。下半身は大きな球体が付いていて、そこから虫の様な4本の足が伸びていた。獣なんかじゃなくロボットや人形と言った方がいいだろう。無機質な感じしかしていない。これで魔獣って言ってもいいのかよ。絶対にキュクロさんが作ったものだろう。【鑑定眼】で確認する。
名前:迷宮の守護者
スキル:
【熱光線】
【自己再生】
【物理装甲】
【魔法装甲】
【継続戦闘】
【高速情報処理】
【並列思考】
ステータスに種族とかなかったし誰かが作ったものだ。レベルもないみたいだしな。ここの部屋用だけに作ったんだろう。しかし【高速情報処理】と【並列思考】も持ってるな。見た目からしても鎧も堅そうだし【魔法装甲】って言うのを持ってるってことは魔法にも耐性がありそうだ。スキルを見ると再生もするみたいだな。このパターンだとどこかに弱点の様な物とか核とかがある奴かもしれないな。しかし考えていても埒が明かないとりあえず戦闘開始だ。
「【凍る槍】」
俺は景気づけに一発魔法を放つ。凍らせて動きを封じることが出来たらいいかと思って放った。しかし氷の槍は【迷宮の守護者】の1本が持っている盾によって防がれた。【迷宮の守護者】の4本の腕は人の体に例えると2本が普通の腕の様に生えていて、後の2本は胸と背中に生えている。上から見ると十字型に生えてるんだ。そして俺が魔法を放つと体の部分を回転させて盾を持った腕が体の前に来るように動かして氷の槍を防いだんだ。下半身が球体だったのはこういう事だったのか。頭の部分も前後左右に赤い球体を半分にしたようなものが付いている。あれはセンサーか何かなんだろうか、何となくだけどこういう場合も全方位を死角がない様に確認している気がする。
しかも厄介なのが俺の【凍る槍】が完全に防がれたってことだな。【凍る槍】は当たったものを凍らせる。しかし【迷宮の守護者】の盾は氷の槍を弾いたんだ。ただ魔法に耐性が高いだけの盾だったら俺が作った氷の槍なら凍らせることが出来るとは思うんだけどな。【迷宮の守護者】の能力って言うかあの盾のもしれない。キュクロさんが作った物だったらそれぐらいの効果はありそうだ。
そんなことを考えていると【迷宮の守護者】の顔についている赤い目の様な部分が光った。
「みんな避けろ。」
俺が叫ぶ。すると【迷宮の守護者】の目のような部分から赤い光が発射される。その光はビームの様に真っすぐ俺達の方に進んできた。しかし俺達も回避行動をとっていたからその赤い光は俺達の間を抜けて壁に当たる。当たった所を見ると壁の一部が赤くなっていた。あれが【熱光線】だろう。しかし壁の岩を溶かすほどの温度ではないみたいだ。それでも喰らったら大変な事になるだろう。しかし遠距離攻撃はあれぐらいだから近づいてから攻撃を加えた方がいいか。
そう考えたがすでにガイとシータ、ブランが【迷宮の守護者】へ迫っていた。
まずはガイが足を狙って剣を振るう。しかし【迷宮の守護者】はまた体を回転させてガイの前に剣を持ってる腕を前に出し、ガイの剣を受け止める。ガイの剣を受け止めるってあの剣もなかなかの物だろう。【迷宮の守護者】は体を回転させて剣を交わしたままだったガイを吹っ飛ばす。その隙をついてシータが飛び上がり顔をの部分を狙うが【迷宮の守護者】は体を回転して盾を顔を前に持ってきてシータのナイフを防ぐ。そして先程と同じ要領で体を回転させてシータの事も盾を使って吹き飛ばす。シータはくるくると空中で回転して勢いを殺して地面に降り立つ。こいつホントに50階層に出るやつなのかよ。倒すのそこら辺の冒険者に倒せるのかよ、こんなの。
「あの腕を落とせば。」
そう言ってアリアが鞭を振るった。そして鞭を1本の腕に巻き付ける。【デッドエンペラー】の尻尾を切り落としたのと同じことをしようとしてるんだろう。
「アリア駄目だ、鞭を離せ。」
俺が叫ぶ。その瞬間に【迷宮の守護者】は体を回転させる。腕に巻き付いた鞭も体に巻き付く様に引っ張られる。アリアが驚いて鞭から手を離す。鞭が凄いスピードでぐるぐると【迷宮の守護者】の体に巻き取られた。デカくて頑丈な鎖か網でもあったら巻き付いて動きを封じられるかもしれないな。そうやって倒すんだろうか。しかし今手持ちにそんなものもないしな。
「【岩の人形】」
ブランの声が響き床から岩の人形が出来上がる。背丈は【迷宮の守護者】と同じぐらいの人形だ。
「行くんじゃ。」
ブランがそう命令をすると岩の人形が【迷宮の守護者】に向かって突進する。すると【迷宮の守護者】は体を凄い速さで回転させた。腕を伸ばし、上半身がコマの様に見える。そして岩の人形と【迷宮の守護者】がぶつかると岩の人形が胴体の所で上下2つに斬られた。
なっ!?ブランの作った岩の人形が一撃だと。こいつ強すぎるんじゃないか?もしかして俺達様に用意とかしやがったのか?そんな愚痴を言っても始まらないし、こいつを倒さないと先に進むことも戻る事も出来ない。俺も本気出すしかないか。
「面白いじゃないか。」
ガイが楽しそうに叫んだ。ガイの中のスイッチが入った様だ。最近なんか必殺技とか編み出しても使う所がなかったから色々溜まってたみたいだしな。
「こいつが受けきれるかよ。」
ガイがそう言いながら【瞬行】を使って【迷宮の守護者】の後ろに回って剣を振る。しかし【迷宮の守護者】はそれにも反応して体を一瞬で回転して盾でガイの剣で受けた。ガイは剣が受けられた瞬間にまた【瞬行】を使って今度は【迷宮の守護者】横に回り込んで剣を振る。それも防がれる。でもガイの足と手は止まらない。【迷宮の守護者】の周りを何度も移動して剣を振る。
ガイが残像を残して【迷宮の守護者】に剣を振る。元いた世界のゲームにもあったような見た目は何人ものガイが剣を振るっているように見える必殺技だ。名前は付けてないみたいだけど俺だったら残影剣とか残像剣とか付けそうだな。ガイが剣術と体術のレベルが10あって【瞬行】のスキルがあるから出来る技だ。
【迷宮の守護者】も初めのうちは全てのガイの剣を防いでいたが段々と打ち漏らしが増えてくる。少しずつだが【迷宮の守護者】の体に傷がついて行く。持っている剣や盾はかなりの強度があるみたいだが体の方はそこまでではないみたいだ。
しかしそうやってガイが戦ってるうちは俺達も手を出せない。部屋に手を出すとガイに当たりそうだしな。
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