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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
111/237

迷宮攻略5

 30階層を攻略して帰って来て、明けて次の日。

 俺達は冒険者ギルドに足を運んでいた。今日は40階層を攻略できたらいいかな。そんなことを思いつつ受付を済ませ扉を抜けて魔法陣に乗って一旦30階層へ行った。

 30階層のボス部屋を抜けたところの十字型の部屋までやってきた。そして次の階層への階段を下ろうと思って進むと階段ではなく魔法陣があった。ボス部屋の扉からまっすぐ進むと魔法陣があって昨日はそっちの方は確認してなかったから気づかなかったんだ。



「今回階段じゃないんだね。」



 俺は独り言のように呟いた。



「そうみたいだな。どういう場所に出るかわからないってことだろう。」



 俺のつぶやきにガイが答える。

 そうか、これからはいきなり変な場所に連れていかれたりするのかもしれないな。ギルドで情報でも買っておいた方が良かったんだろうか。でも今更戻るのも面倒だし、このまま進んでも今ぐらいの階層だったら問題ないかな。

 そう思ったけど本当に何があるのかわからないので事前に支援魔法はかけれるだけかけておこうか。そして俺は全員にいつもの【天狗の隠れ蓑(ヒドゥンマント)】以外にも異常状態無効の【清浄の守り(ピュアスクリーン)】や【魔術装甲(マジックアーマー)】なんか思いつく支援魔法をかけた。



「さてと、じゃあ行ってみますかね。」



 俺はそう言って魔法陣の上に乗った。

 ギルドに戻る魔法陣の様に一瞬で周りの景色が一変する。

 俺達が魔法陣で連れてこられたのは辺り一面が砂の砂漠のようなところだった。


 なるほど、ここが31階層になるのか。砂漠だったら階段で降りてくる訳にはいかないよな。そんなことを思いつつ【索敵(レーダ―)】と【探索(サーチ)】でこの階層の確認をする。

 ここって大分広いな。階層の確認をした俺が一番に思ったのはそれだった。前にいた階層の倍以上の広さがある。しかし天井と端は存在するみたいだ。上を見上げても空と太陽しか見えないんだけどな。形状は大きなドーム型の部屋の様だ。

 周りを見回しても砂しかない、ぱっと見目印になるようなものがないんだよな。少し離れた所に行けばサボテンの様なものも生えてるみたいだけど行先が分かっていなかったら完全に迷いそうだ。

 しかし申し訳ないが今回の階層も俺には通用しない。次の階層に進むためにはまた魔法陣を探さないといけないみたいだけど【探索(サーチ)】でその場所はわかってる。今回も一直線に進めるな。

 でも他の冒険者達はどうやって進んでいくんだろう。方位磁石みたいなものがあるんだろうか。それとも何かの目印があってそれを使って進んでいくんだろうか。今回の階層を憶えておいて地図にでもしたらギルドに売れるのかな~。それはまたでもいいか。砂漠の様にしているからかこの階層は暑いんだよな、さっさと攻略しよう。



「じゃあ今回も40階層まで突っ走ろうか。」



 そう【念話(テレパス)】で皆に告げて走り出した。



 今回は前の階層よりも早く進める。砂に多少足は取られたりするけど木々なんか生えていないので更に一直線に次の階層に進む為の魔法陣に辿り着けた。そして次々に進んでいく。

 この31階層からは場所が場所だけにモンスターもあんまりいない。次に進む魔法陣をどうやって探すかがメインになっているのかもしれない。だから冒険者がほとんどいなかった。この砂漠でモンスター見付けるの大変だよな。砂の中に潜ってるモンスターも多いみたいで近づいたら襲ってくるだろう。罠に近いよな。

 毎回の事ながら俺達には関係ないんだよな~。今回も40階層まで辿り着くのに1時間かからなかったかも。

 40階層目に到着すると砂漠の中にまた神殿の様な建物があった。今回は洋風と言うよりはエジプト風なんだけど。キュクロさんは俺がいた世界の事を知ってるんだろうか?こんなピンポイントな感じで立てれないと思うんだけどな。神なんだから他の世界の知識も持ってたりするんだろうか。それとも誰かに聞いたりしてるのかな。今度時間があったら聞いてみよう。



 俺達はそのエジプトにありそうな神殿に足を踏み入れた。そこで俺は支援魔法を解いた。確認したが今この階層には他の冒険者がいないみたいだ。まぁそろそろ普通の冒険者には攻略が難しくなってくるころだよな。俺みたいなスキルを持ってる人ってほとんどいないだろうし。

 神殿の中を進むと30階層と同じような大きな扉が現れた。このサイズの扉ってことはまた大きな魔獣でもいるのかもしれないな。流石にそろそろ注意していかないといけないか。



「魔獣の部屋まで来たけど戦い方とかどうしよう?」



 扉の前まで来て俺は皆に聞いた。

 すると皆頭にハテナを浮かべた様な顔をしている。



「今まで通りじゃないのか?入って倒す、それだけだろ。」



 ガイが答え、皆が頷く。あぁ、わざわざ聞くまでもないってことだったんだね。

 了解了解、なんだかうちのパーティそんな行き当たりばったりな感じになってるな。皆がいるし何とかなるよね。そんな軽い気持ちで俺は扉に手をかけて押す。そして少し開いた扉から部屋の中にぞろぞろと皆で入る。全員が入ると扉は音を手てて閉まる。

 部屋を見ると30階層のボス部屋と同じぐらいの大きさだった。壁際にある柱の形が違ってるくらいだろうか。そして俺達の前にある光る魔法陣も同じぐらいの大きさだった。すでに魔法陣に魔獣の姿が見て取れた。なんだこいつ?そう思って俺は【鑑定眼(アナライズ・アイ)】で出てきた魔獣のステータスを確認した。



名前:デッドエンペラー

種族:エンペラー族

レベル:50


スキル:

【土魔法 LV.6】

【毒針 LV.7】

【切断ハサミ LV.4】

【装甲外殻 LV.5】

【脱皮】


称号:迷宮モンスター



 エンペラー族?【デッドエンペラー】と名の魔獣は一見するとサソリみたいな見た目なんだけど少し違う。サソリは普通尻尾が1本だが【デッドエンペラー】は尻尾が3本ついている。その先についてある毒針っぽいのも形が違うな。なんだかトゲトゲのボールの様な物が尻尾の先についている。と言うかあれが毒針なんだよな?俺が勝手にサソリに似てるから尻尾に毒針があると思ってしまってるが、もしかして違う所に毒針があるんだろうか?それにどうやって使ってくるかもわからないだよな。

 それ以外は何となくサソリっぽいんだけどな。足の付き方だったり、ハサミの感じとかも。どうやって戦うのがいいのか。とりあえず毒針と土魔法には注意だな。それに大きさもあるしな、今回出てきた魔獣も体長7~8m位はあるだろう。尻尾の長さだけでも結構な長さある。



「皆、あいつは土魔法を使う。それに毒針を持っていて外殻も結構固いみたいだ。

 アリアは皆に異常状態無効の支援魔法をかけてくれ。その他は一旦離れて攻撃してみて様子見だな。」



 俺は【念話(テレパス)】でその事を伝える。アリアが支援魔法を皆に掛ける。その間にも【デッドエンペラー】は俺達の方に向かってきていた。直接的に攻撃する気か?

 支援魔法をかけられた俺達は左右にばらけて【デッドエンペラー】から距離を取ろうとする。その瞬間にガイが剣を振るって【デッドエンペラー】に向けて剣撃を飛ばす。

 【デッドエンペラー】は向かい来る剣撃を身体で受ける。ガンッという音がして【デッドエンペラー】が少しよろける。しかしすぐに態勢を立て直す。大分外殻は固いみたいだ。ガイの剣撃を受けて割れたりしていないみたいだ。でも多分節の部分とかだったら切れたりするとは思うんだけど。そこまで狙おうと思と結構近寄らないといけないよな。やっぱり先に相手の攻撃手段を潰すか。


 今俺達はガイとシータ、ブランの3人と俺とアリアの2人が左右に別れた感じになっている。そしてガイが攻撃してきたからか【デッドエンペラー】はガイ達の方を向いている。だったら俺とアリアで何とか尻尾を切ったりするかな。



「アリア、俺達で奴の尻尾を切り落とすぞ。」

「わかりましたわ。」



 俺の言葉にアリアが答える。

 そしてアリアは腰の所に巻いてある鞭に手をかけて魔法を詠唱する。それに合わせて俺も詠唱する。



「「【水の女王(クイーンオブアクア)】」」



 俺とアリアの声が重なる。

 アリアの手からは鞭が、俺の手からは【倉庫持ち(アイテムボックス)】から出した水で作った鞭が伸びる。

 それぞれの鞭が【デッドエンペラー】の3本の尻尾の内2本にそれぞれ巻き付く。巻き付けた鞭の表面の水を魔力で操って細かい刃を付けて回転させる。さながらチェーンソウの様だな。もしくは電動糸鋸って言った方がいいのか。

 キュイーンと音を立てて【デッドエンペラー】の尻尾の表面を削る。その事に気付いた【デッドエンペラー】だったがもう遅い。そう思った瞬間に【デッドエンペラー】の尻尾が2本鞭が絡みついたところから先が切れて落ちる。その尻尾は地面に着く前に空中で消え失せる。そう言えば迷宮モンスターだったな。


 それに怒ったのか最後の残った尻尾をブンブンと俺達の方に振り回した。そうやって使うのかよ。しかし甘い。俺達の方が鞭の使い方は上手いんだよ。俺とアリアの手から伸びる鞭が振り回されていた【デッドエンペラー】の最後の尻尾に正確に巻き付く。そして同じ音を立てて最後の尻尾も切り取ってやった。これで毒針は使えなくなっただろう。しかしまだ本体が残っている。尻尾は細かったからこの方法で斬ることが出来たけど足や胴体ってことになると完全に切るとなると大分時間がかかって難しいだろう。本体は他の方法を取るしかないな。


 俺は手にした水の鞭をそのまま一旦普通の水に戻して使う。



「【凍る槍(フリージングスピア)】」



 氷の槍を作って【デッドエンペラー】に向けて放つ。しかし【デッドエンペラー】がギャッと鳴き声を上げると地面から砂の壁が出来て氷の槍が防がれる。こいつは土魔法の中でも砂を使うのか。

 【デッドエンペラー】の周りに2m位の砂の防壁が出来た。氷の槍はその一部分に当たり凍らせる。しかし砂の壁は動いているのか凍った部分は砂の中に埋もれていった。これはこれで厄介だな。周り全部を囲ってるのでガイ達も近づけないみたいだ。

 だったら俺の出番だろう。砂の壁を作った所で俺には関係ない。俺の方が土魔法のスキルのレベルは高いんだから。



「【砂の人形(サンドゴーレム)】」



 俺が唱えると【デッドエンペラー】の周りの砂の壁が音を立てて1か所に集まる。そして全身を砂で構成された人形(ゴーレム)が出来上がる。形は岩で作った人形(ゴーレム)とは違ってのっぺりとした感じで足なんかはない。砂で出来た山に手が付いてる感じだ。



「行け。」



 俺が砂の人形(サンドゴーレム)に命令を出す。俺の命令を受けた砂の人形(サンドゴーレム)は地面の上をスーッと移動して【デッドエンペラー】に向かう。足がないので地面を滑っているように見えるな。【デッドエンペラー】は砂の人形(サンドゴーレム)を敵と認識したのか2本のハサミを砂の人形(サンドゴーレム)へ向けて繰り出した。

 【デッドエンペラー】のハサミが砂の人形(サンドゴーレム)の胴体に当たる部分に刺さる。しかし砂の人形(サンドゴーレム)の動きは止まらない。ただの砂を固めて魔力で操ってるだけなんだかそんな攻撃が通用するわけがない。砂の人形(サンドゴーレム)は体に刺さったハサミをそのまま体の中に取り込んでいく。

 砂の人形(サンドゴーレム)は作ってからでも好きなように体の形を簡単に変えれる。岩とかで作っても変えれるんだけどその場合はまたMPを消費する。砂の人形(サンドゴーレム)は【デッドエンペラー】の体を覆う様に動いていく。ハサミや足にも砂を伸ばしていき表面を覆って動けない様にする。ただ岩で作った人形(ゴーレム)などと違ってそこまでの力(パワー)はない。しばらく動きを止めれるくらいだろう。それでも十分だと思うけど。



「ガイとシータ、今だ。ハサミの付け根を狙え。」



 俺は声を上げた。その声を聞いてガイとシータが【デッドエンペラー】に向かって走る。

 俺は砂の人形(サンドゴーレム)を操作して両方のハサミを大きく左右に広げる様にする。そしてはハサミの根元の部分だけ砂を無くす。

 そこへガイとシータが突っ込んでいき剣とナイフを振るう。そして2人はまた【デッドエンペラー】から距離を取る。砂の人形(サンドゴーレム)に捕まえられていた【デッドエンペラー】のハサミが両方とも消える。2人はちゃんとハサミを斬ることが出来たみたいだ。

 これで奴は攻撃出来なくなったと思うが本体をどうするかだよな。【タイガーキングクラブ】の時に様に人形(ゴーレム)で叩いてもいいけど折角砂の人形(サンドゴーレム)がいるんだから違う方法を取るか。

 俺はまた砂の人形(サンドゴーレム)を操作して今ガイ達が斬ったハサミの根元から【デッドエンペラー】の体の中に潜り込ませていく。なんだか体液みたいなものが流れ出てたが砂に吸収されるから関係ないし、砂の人形(サンドゴーレム)は【デッドエンペラー】の体の中を蹂躙する。結構な量の砂の人形(サンドゴーレム)の砂が体に【デッドエンペラー】の中に入ったのを確認して俺はまた唱える。



「【砂の針(サンドニードル)】」



 【デッドエンペラー】の体の中の砂を針状に変化させる。【岩の槍(ロックスパイク)】程の威力はないがそれでも十分だったみたいだ。【デッドエンペラー】の体が消えていく。体の中から倒すってえぐい攻撃しちゃったけど、見えない所でも普通に魔法は使えることが分かったしいいか。

お読み頂きありがとうございます。

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