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召喚された世界はスキルがものをいう  作者: 雷
【商業国家 エルバドス】編
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迷宮攻略1

 俺達は飯も食べて特にすることもなくなったので座ってだらだら話をしていた。

 ホントにやることがないんだよな。こういう時に何かの訓練でもしたらいいんだけど他の冒険者もいるしなかなか難しい。

 2時間ぐらい経ってやっと俺達の順番が回ってきた。

 中に入るとどんな魔獣が出てくるんだろうか。楽しみの様な、不安な様な。今ぐらいの階層なら問題ないんだろうけど、初めて来たところってどうやっても緊張する。


 扉が開いていたので俺達はぞろぞろと魔獣が出るっていうダンジョンでいう所のボス部屋に入ってみた。

 中はなんだか【アンデットカースドラゴン】と戦った場所を思い出す。四角い部屋で端には彫刻された柱が並んでいる。こういうのって神殿造りって言うんだろうか。この部屋の中には罠は特にない感じだな。そんなことを考えていると部屋の奥に魔法陣が刻まれる。直径2m位の光る魔法陣が俺達の前10m先の地面に現れる。

 それと当時に俺達が入っていた扉が閉まる。扉が閉まったと思ったら魔法陣に光が集まる。そこから【ブル・ボア】の様な外見の魔獣が現れる。どこかから転送してきたのか?それともやっぱり魔素を固めて作った感じなんだろうか、そんなことを考えた。

 しかし出てきた魔獣は見た目【ブル・ボア】の様にしか見えないんだけど。【ブル・ボア】って普通のモンスターだったような気がする。似た種類なのか、それとも魔獣にしたのか?モンスターが突然変異で魔獣になったりするらしいし、もしかしたらどうにかしたら【ブル・ボア】と魔獣に変える術(すべ)があるのかもしれないな。


 とりあえず【鑑定眼(アナライズ・アイ)】でステータスでも見てみようかと思ったら、一瞬でその魔獣の所に行ったガイが剣を一閃した。

 あっ、っと思った時には既にその魔獣は真っ二つになっていた。そして死骸も残さず消えた。

 ガイは多分【瞬行(しゅんこう)】のスキルで一気に近づいて倒したんだろう。確認位はしたかったんだけどな。



「こんなものか、全く手歯ごたえがないな。」



 ガイは剣を収めつつそんなことを言った。まぁ10階ならこんなもんじゃないのかな。Cランクの冒険者なら倒せそうな感じだし、Eランクでも用意とかしていたら何とか倒せるだろう。あらかじめ出現する敵が分かっていたら対策は取りやすい。

 

 そんなことを考えてると敵が出てきた奥の扉がガチャリと音と立てて開いた。ボスを倒したから先に進めるようになったってことかな。

 俺達は顔を見合わせて開いた扉を抜けた。

 扉を抜けた先には小さな部屋があった。部屋は十字の形をした部屋だった。正面には下の階に降りる階段が見えた。角を右に曲がって進むと魔法陣が見えた。多分これが地上に戻る魔法陣なんだろう。入口から来て左の角を曲がっていくと小さな宝箱の様なものが置いてあった。流石に罠とかないよな?俺は一応【鑑定眼(アナライズ・アイ)】を使って調べたが罠はない様なので宝箱を開けてみた。

 中には10と書いたメダルが一枚と、もう1つ何か棒みたいなものが入っていた。長さ10cm、で直径1cmぐらい。どこかで見た様な感じだと思ってよくよく見ると元の世界の鉛筆にしか見えない。横には「クレタの迷宮10階層攻略記念品」って彫ってあった。

 馬鹿にしてるのかと思って思わず鉛筆を折りそうになった。でも深呼吸して何とか思いとどまる。この世界で文字を書く時は炭で書くか、一旦インクに付けてそれで書くようなペンしかない。この世界では鉛筆っていうものが凄いものなのかもしれないけどそれにしたって10階層攻略した褒美がこれって言うのが何とも切ないんだけど。



「それは何ですか?」



 アリアに聞かれたので鉛筆を渡した。



「ここの階層の攻略報酬みたい。俺の世界では鉛筆って名前だったけどこっちではなんて言うんだろうね。ナイフか何かで削って中にある黒い部分をとがらせると、それで紙に文字とかを書けるようになるものだよ。」


「まぁインクが必要ないんですね。それは素晴らしい。」



 素晴らしいんだ。俺には当たり前の大したものじゃないからな。こちらの世界では大したもんなんだろう。俺もスキルを使えばこういうものは作れる気がするけど、どうやって作ってるかは知らないだよな。キュクロさんが作ったんだよな。誰かが俺達の世界からこっちに持ってきたんだろうか。



「じゃあアリアにあげるよ。俺には必要ないしな。」


「いいな~、シータも欲しい。」



 その光景を見たシータがおねだりしてくる。



「これから下の階に行って出たもので気に入ったものがあったらやるよ。

 その内もう少しまともなものが出る気がするしな。これが銀貨1枚とはねぇ。」


「約束だよ。」


「あぁ、俺もそんなに欲しい物とかないしな。」



 俺はシータと約束をした。



「さて10階層攻略したけどどうする?もう少し進むか、このままいったん戻るかだけど。」



 迷宮に入って1階層10分弱で攻略して、それが10階層。ボス部屋に入る前に2時間ぐらい待たされたから迷宮に4時間弱はかかってる。このまま20階層をクリアするまでだったら同じぐらいの時間がかかるなら何とか今日中には宿に戻れるかもしれないけど夜遅くなるかもな。



「シータお腹が減った。」



 シータはさっき食べ多分では足りないみたいだ。また【倉庫持ち(アイテムボックス)】に食べ物を入れておいた方がいいかもな。これから迷宮を攻略していくと10階層ずつ攻略していくとしても、どれぐらい時間がかかるかわからない。1日迷宮にいるとか、数日迷宮にいることになるかも知れないし。やっぱり色々事前に準備した方がいいな。今回は迷宮がどんな感じかわかったし、焦って攻略しないといけない訳でもなさそうだからゆっくり行こうか。



「そうだな、じゃあ今日はこれくらいで宿に戻ろうか。」



 俺は皆にそう言った。皆もそれでいいみたいだから、皆で魔法陣の所に行った。

 全員が魔法陣の中に入ると光に包まれたかと思ったら周りの景色が変わっていた。一瞬で転送されたみたいだ。この魔法陣を解析したら俺も移動用の魔法陣を作ったり出来るようになるんじゃないだろうか。そうしたら町と町を一瞬で移動できる様になったりするんじゃないだろうか。ただ神が作ったものだしな、簡単に解析できたりしないと思う。

 先程より少し明るい部屋にいる俺達は目の前にある赤い扉を開けた。すると扉の先には先程のギルド内だった。こんな感じで帰ってくるんだな。

 それから皆でカウンターまで行った。まだ先程の女性がカウンターで受付をしていた。



「すいません、迷宮から帰ってきたんですけど。」


「あぁ、お帰りなさい。全員御無事ですか?」


「えぇ、とりあえず10階層までクリアしてきました。」


「この時間でですか?そう言えばBランクの冒険者さんでスキルレベルも10の方もいらっしゃいましたね。

 ではこちらで登録しますので皆さんのギルドカードと10階層で出たメダルを確認させて頂いてもよろしいですか?」



 女性に言われたので全員のカードを集めてメダルと一緒に渡した。そして先程の様に奥に消えて、しばらくして戻ってくる。



「どうぞ。」



 女性から返されたギルドカードを見ると依頼の欄の下に「クレタの迷宮10階層攻略」と言う文言があった。こう表示されるようになるのか。



「そう言えば10階層ずつしかメダルが出ないのに、一番深く攻略された階層が62階層ってわかるんですか?」


「その事ですか。誰も行ったことのない階層に人が入ると、こちらのギルドの魔法具に誰が立ち入ったかわかる様になっているんです。ギルドカードを管理している大本の魔法具なんですが以前勇者が攻略されたという時にはそう言う仕様ではなかったんですが、誰かがそう言う風に作り替えたと言われています。

 その為ギルドでは誰が迷宮を一番深く攻略したかを確認できるんです。」



 誰かって絶対にキュクロさんだろうな。冒険者とかいっぱい入る様になって確認しやすくしたのかねぇ。しかしそうなると俺達がもし62階層以上攻略したらバレるんだな。途中からメダルをギルドに見せずに転送魔法陣だけ使おうと思ってたけど、そうしてもバレちゃうな。仕方がないか。



「わかりました。ありがとうございます。」



 俺達は女性にお礼を告げ、カウンターを離れギルドから出た。外はもう日も暮れ夜になっていた。今日はとりあえず宿に帰って休むか。本格的な攻略は明日からかな。迷宮に行く前に買い物もした方がいいだろうし、ご飯も作っていこうか。

 そんなことを考えながら俺は宿までの道を歩いた。

お読み頂きありがとうございます。

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