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星を食べる少年  作者: 臥亜


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第18話「折れないもの」

爆音。


地面が、砕ける。


ガイとリオの拳が、ぶつかる。


ドォンッ!!!


衝撃波。


森が、揺れる。


「……っ!!」


ガイが、歯を食いしばる。


押される。


圧倒的な“重さ”。


「チッ……!」


リオの拳。


速い。


重い。


そして――


迷いが、ない。


ドゴォッ!!!


ガイの体が、吹き飛ぶ。


木々をなぎ倒し、転がる。


止まらない。


やっと、止まる。


「……ぐっ……!」


血を吐く。


立ち上がる。


膝が、震える。


でも。


倒れない。


「……はは」


笑う。


苦しそうに。


「マジかよ……」


リオが、ゆっくりと歩いてくる。


無言で。


感情のない目で。


「……お前」


ガイが、構える。


「ほんとに、全部捨てやがったな」


返事は、ない。


ただ、距離が詰まる。


ドンッ!!!


再び衝突。


ガイが、防ぐ。


受ける。


耐える。


「……くそっ!!」


力が、違いすぎる。


押し切られる。


ドォン!!!


地面に叩きつけられる。


呼吸が、止まる。


視界が、揺れる。


それでも。


立ち上がる。


「……まだだ」


低く、呟く。


足を、踏み出す。


リオが、止まる。


初めて。


“わずかな違和感”。


何度倒しても。


こいつは、立つ。


「……なんだ、お前」


ぽつりと、呟く。


ガイが、笑う。


ボロボロの顔で。


「知らねぇよ」


血を拭う。


「でもな」


拳を、握る。


震えながら。


「こういうのは――」


一歩、踏み出す。


「慣れてんだよ」


ドンッ!!!


突っ込む。


全力で。


殴る。


リオの顔に、直撃。


だが。


止まらない。


効いていない。


それでも。


もう一発。


もう一発。


何度でも。


ドンッ!!


ドンッ!!


ドンッ!!


拳が、砕ける。


骨が、軋む。


血が、飛ぶ。


それでも、止めない。


「……やめろ」


リオが、呟く。


わずかに、顔をしかめる。


「意味がない」


ガイが、笑う。


「あるんだよ」


ボロボロのまま。


「お前にだけは、な」


その言葉。


一瞬。


リオの動きが、止まる。


「……?」


理解できない。


だが。


何かが、引っかかる。


ガイが、息を吐く。


「なあ、リオ」


名前を呼ぶ。


はっきりと。


「お前さ」


一歩、近づく。


「俺のこと、嫌いだったろ」


沈黙。


「うるせぇし、勝手だし、飯は奪うし」


笑う。


「最悪だよな」


リオの目が、わずかに揺れる。


断片。


何かの記憶。


一瞬だけ、浮かぶ。


「……でもよ」


ガイが、続ける。


「それでも一緒にいた」


拳を、握る。


「それが、答えだろ」


沈黙。


風が、止まる。


リオの手が、止まっている。


完全に。


「……答え?」


かすれた声。


ガイが、頷く。


「仲間だってことだよ」


その一言。


深く、刺さる。


リオの中に。


ドクン。


心臓が、鳴る。


「……仲間」


呟く。


目が、揺れる。


光が、戻りかける。


「……ミナ」


名前が、零れる。


遠くで。


ミナが、息を呑む。


「リオ……!」


一歩、踏み出す。


だが、その瞬間。


ドクンッ!!!


強い鼓動。


黒い気配が、暴れる。


「……っ!!」


リオが、頭を押さえる。


苦しむ。


「……消えろ」


声が、変わる。


戻りかけたものが、押し潰される。


ガイが、歯を食いしばる。


「……まだかよ」


踏み込む。


最後の一歩。


「だったら――」


拳を、振り上げる。


「無理やり思い出させる」


全力。


全身の力を、込める。


ドンッ!!!


リオの顔面に、直撃。


沈黙。


リオの体が、揺れる。


後ろに、一歩。


二歩。


三歩。


止まる。


顔が、下を向く。


静寂。


ガイが、息を吐く。


「……どうだよ」


笑う。


もう、立っているのがやっと。


リオが、ゆっくりと顔を上げる。


その目。


揺れている。


確かに。


戻っている。


「……ガイ」


はっきりと、呼ぶ。


ガイが、息を止める。


その瞬間。


リオが、崩れる。


ドサッ


膝から、落ちる。


意識が、途切れる。


黒い気配が、消えていく。


完全に。


静寂。


風が、戻る。


ガイが、ふらつきながら近づく。


「……ったく」


呟く。


「手間かけさせんなよ」


その場に、座り込む。


限界。


ミナが、走ってくる。


「ガイ!!リオ!!」


二人のもとへ。


膝をつく。


リオの顔を見る。


穏やかな、寝顔。


さっきまでの狂気が、嘘みたいに。


「……戻った」


涙が、こぼれる。


ガイが、空を見る。


「……一応な」


目を閉じる。


疲れ切った声。


「でもよ」


ゆっくり、言う。


「また来るぞ、これ」


ミナの表情が、固まる。


「……え?」


ガイが、笑う。


苦く。


「さっきのやつ」


リオを見る。


「完全に消えてねぇ」


沈黙。


不安が、残る。


でも。


今は。


「……とりあえず」


ガイが、言う。


「生きてる」


それだけで、十分だった。


ミナが、小さく頷く。


リオの手を、握る。


温かい。


確かに、ここにいる。


でも。


その奥で。


何かが、まだ“蠢いている”。


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