表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星を食べる少年  作者: 臥亜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/25

第11話「殺す覚悟」

夜だった。


火が、小さく揺れている。


パチ、と木が弾ける音だけが響く。


ミナは、眠っていなかった。


目を閉じているだけ。


眠れるわけがない。


「……なあ」


リオが、ぽつりと呟く。


返事はない。


それでも、続ける。


「聞こえてるだろ」


沈黙。


ミナの指が、わずかに動く。


「……起きてる」


かすれた声。


リオは、火を見たまま言う。


「俺、決めた」


間。


風が、吹く。


「ガイを」


一度、言葉が止まる。


それでも、飲み込む。


「……殺す」


空気が、凍る。


ミナの呼吸が、止まる。


ゆっくり、目を開ける。


「……え?」


理解が、追いつかない。


「なに、言って……」


リオは、振り向かない。


「そのまんまだ」


「もう、あいつは止まらない」


「次は、確実に誰か死ぬ」


拳を、強く握る。


「だったら、その前に――」


「俺がやる」


ミナが、起き上がる。


「やめてよ」


声が、震える。


「そんなの……違う」


リオが、初めて振り向く。


その目は、決まっていた。


「じゃあどうする」


「見逃すのか?」


「また来るぞ」


「今度は、躊躇わない」


言葉が、突き刺さる。


ミナは、何も言えない。


わかっている。


でも、認めたくない。


「……でも」


やっと絞り出す。


「ガイは……」


「ガイなんだよ……」


リオの表情が、わずかに歪む。


「……ああ」


小さく、頷く。


「だから、俺がやる」


静かな声。


「他のやつにやらせない」


「化け物として、殺される前に」


ミナの目から、涙がこぼれる。


「……やだ」


「そんなの……」


「絶対やだ……」


リオが、立ち上がる。


火が、大きく揺れる。


「じゃあ、止めろよ」


「お前が」


ミナが、顔を上げる。


「え……」


リオが、真っ直ぐ見る。


「お前にしか、できねぇだろ」


「でも、お前は怖がった」


沈黙。


その事実は、残酷だった。


ミナの肩が、震える。


「……怖いよ」


本音。


「怖いに決まってる」


「だって……」


言葉が、詰まる。


“殺されるかもしれない”


それを、言えない。


リオが、目を閉じる。


「……だよな」


一歩、歩く。


火から、離れる。


「だから、俺がやる」


決定。


もう、揺れない。


ミナが、叫ぶ。


「待って!!」


リオが、止まる。


振り向かない。


「……なんだ」


ミナが、涙を拭う。


必死に。


「……もし」


声が、震える。


「もし、戻れるなら……?」


その問い。


リオの背中が、わずかに揺れる。


でも。


「その“もし”で、誰か死ぬ」


振り向かないまま、答える。


「俺は、それを選ばない」


静かに、歩き出す。


ミナが、立ち尽くす。


何もできない。


何も言えない。


ただ、背中が遠ざかる。


「……ガイ」


名前を呼ぶ。


でも、それは届かない。


森の奥。


別の場所。


ガイは、一人で立っていた。


月が、照らす。


黒い気配が、わずかに揺れる。


「……来るな」


誰もいないのに、呟く。


でも――


「来るだろ」


自分で、答える。


リオの顔が浮かぶ。


「……あいつなら」


小さく笑う。


「止めに来る」


拳を、握る。


「いいじゃねぇか」


目が、細くなる。


「やってみろよ」


その表情は――


どこか、期待していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ