表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/40

第20話∶金色の瞳の誓約


闇の中に、光が揺れていた。


燭台の炎が、ぼんやりとした輪郭を描く。

天蓋から垂れる薄布が、月光を透かしている。

風がかすかに流れ込み、静かな部屋に穏やかな波紋を生んでいた。


——俺は、そこにいた。


……いや、違う。これは"俺"じゃない。


横たわるのは、銀髪の男——シグル。


その名が、脳裏に浮かぶ。

なぜか分からないが、それが正しいと理解できた。


シグルはゆっくりと息を吐く。

全身の力が抜けていく。まるで、燃え尽きた灯火のように——


(……こいつは、死ぬんだ)


それだけは、確信できた。


「……ふっ」


疲れたようにシグルが目を細める。


(なぜ、俺はこの情景を知っている……?)


疑問が浮かぶ。

だが、夢は容赦なく続いていく——。



---


「……レギオン」


ふと、シグルが誰かの名を呼ぶ。


直後——影が揺れた。


寝台の傍らに、黒いシルエット。

金色の瞳が、静かにこちらを見下ろしている。


「ここにいる」


低く、深い声。

まるで魂に直接響くような、そんな響きだった。


(……龍?)


いや、違う。

これは——龍王だ。


「お前、ずっとそこにいたのか?」


「当然だ」


レギオンの声には、迷いがない。


「お前が逝く時、私は傍にいると決めていた」


——なぜか、胸がざわつく。


何かを思い出しそうで、思い出せない。

記憶の奥底に埋もれた"何か"が、必死に這い出ようとしているような——


「……大袈裟なやつめ」


シグルが、かすかに笑った。


「そうまでして、俺の死を見届けたいか?」


「当然だ」


レギオンは即答する。


(……なんだ、このやり取りは?)


シグルとレギオン。

この二人の関係は何だ?

契約者? それとも、もっと別の何か?


——なぜ、俺はこの会話を知っている?



---


「お前の魂が、どこに転生しようとも——」


レギオンが、静かに言葉を紡ぐ。


「私は必ず、お前を見つけ出す」


——背筋が凍った。


(……何を言っている?)


「そのときは、再び私と契約してくれ」


誓いのように。

それが"絶対"であるかのように。


レギオンの金色の瞳が、シグルを射抜いている。


(……違う)


その視線は——


"俺"に向けられているのか?



---


「……お前なぁ」


シグルが、小さく息を吐く。


「俺が死ぬってのに、そんなこと考えてたのか?」


「そうだ」


即答。


シグルは思わず吹き出す。


「ははっ……お前は本当に……」


その笑い声が、どこか懐かしく感じる。


まるで、自分もそれを知っているかのように——。



---


シグルは、ぼんやりと天井を見つめた。


「……俺を見つけられたらな」


不意に呟く。


「お前の好きにしろよ」


その瞬間。


レギオンの瞳が、一瞬だけ揺れた。


「……約束だぞ」


低く、それでいて揺るぎない声。


(……これは、夢のはずなのに)


なのに、痛いほどリアルだ。



---


次の瞬間——


レギオンが、シグルの手を取った。


指先が重なり、金色の光が揺れる。


ふわりと、紋様が浮かび上がる。


まるで、魂そのものに刻み込まれるように——。



---


「……ちっ」


シグルが舌打ちする。


「だからお前は執着がすぎるんだっての」


「これで、お前の魂を見つけられる」


レギオンは静かに告げた。


「私が約束を破ることはない」


「……まったく」


シグルは苦笑する。


「じゃあ、せいぜい頑張るんだな」


「当然だ」


そう言ったレギオンの瞳には、微かな安堵があった。



---


——視界がぼやける。


光が滲む。

風が静かに吹き抜ける。


何かが、俺の中で"崩れた"。


「……必ず見つけ出す」


静かで、けれど絶対的な声。


「お前がどこにいようと」


金色の瞳が俺を見つめる。


(……誰だ?)


「だから、待っていろ。シグルーー」


その名前が呼ばれた瞬間——



---


「っ……!!」


俺は飛び起きた。


 

読んでいただきありがとうございます!

面白かったら ブクマ&感想 をもらえると

とても励みになります!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ