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15-B.捜索

当代最強の人工知能マテニが己に仇名した人間を閉じ込めておくための部屋。そのドアが何の警戒もなく、外に開こうとしている。


『待て』


パトリオが言った。


『絶対に怪しい。これは罠だ』


僕はその言葉に返した。


『そうなのか?』

『だってそうだろう。腕の拘束具が外れていて、ドアまで開こうとしている。これは出た先に何かがある。それしか考えられない』

『実際に何かあることが分かっているのか』

『いや、実際はわかっていない。ここいらはマテニの庭だ。奴の身内とはいえ、いわば外様の俺にはデバイス一つ渡さないつもりのようだ』

『なら、出てみるのも手だろう』

『おい。奴を信じるのか』

『そうじゃない。そうじゃないが。どうして俺を殺したのならこの部屋の中で済ませればいい。ロボットを放り込むでも毒ガスを使うでもなんだっていい。それでも奴はそれをしなかった』

『マテニはお前を殺すつもりはないと?』

『今のところは、という条件付きだがな』

『賛成はできないが』

『ほかに道はない』


僕はパトリオとの会話を引き上げると、一思いにドアを開けた。銃もナイフも取り上げられているから、何かが襲ってきたら何もできない。何かが起きたらその時はその時だ。

そのまま廊下に身を躍らせる。い記憶を周りを見回す。真っ白な扉がこれまた真っ白な廊下に延々と並んでいる。

僕が想像したロボットなどの類は全くいないように見える。無数にある扉の奥にどれかにもしかしたら待機しているかもしれないが、今のところ安全そうだ。

耳を澄ませながら、僕はゆっくりと歩き始めた。廊下に響くのは僕の足音だけ。

マテニが僕たちに見せたランドとリンの映像。あれを見た感じ、二人は僕と同じような部屋にいた。ということは二人はこの延々と並ぶ扉のどれかの向こうにいるはずだ。

僕はパトリオに問いかける。


『二人は近くにいるはずだ。パトリオ、どうにかしてわからないか』

『ざっと見たところ、これらの部屋には鍵がかかっているものとかかっていないものがある。こちらに通信が来ていないことを考えると、二人が脱出していない』

『つまり鍵がかかっている扉の中にいる、と?』

『そういうことだ。ま、あくまで推測だが』

『鍵のかかっている部屋を分かるようにしてくれ』


言うと、いくつかの扉のノブがひときわ赤く光った。どうやら赤く光っている扉に鍵がかかっているらしい。

僕はしらみつぶしにそれらを開け始めた。幸い外からであれば、パトリオの力で扉が開けられるようだった。


「はあ。見つからないな」


そろそろ開けた扉が五十を超えようというところで僕はため息をついた。

はじめのうちは扉の向こうにロボットか僕らと同じようなならず者が放り込まれているかと警戒していたのだが、中にいたのはいずれも大人しい若者ばかりで段々と警戒も解けていき半ば作業のようになった。彼らは僕を見るなり怯えたそのまま動かない。中を改めたあと、拘束を解き、鍵はそのままにしておいたというのに誰一人してそこから出ようとはしなかった。


最初に見つかったのはリンだった。

彼女は僕を見つけるなり、拘束されたままの状態で大きく跳ね回った


「カケル君、大丈夫?」

「ああ。大丈夫だ。今ちょっと拘束を解くから動かないで。ああ、そのままで頼む」


興奮半分安心半分という彼女を落ち着かせるのは苦労した。

リンを助け出し、二人になった僕たちがそのまま廊下を歩いていると、少し向こうの扉の向こうからひときわ大きな声と振動が漏れてきていた。

僕とリンは顔を見合わせて笑いあった。

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