暗闇
「さぁ着きましたよ。気をつけてお降りください」
そっと地面に降ろされた私は、またもやスローモーションで動いているあいつらを見た。
私を落とした男はフェンスに駆け寄って下を覗き込み、残りの4人は茫然としていた。
きっとこの1人の男に責任を押し付けて、自分たちはなにも関係ないと白を切るんだろう。
そんなことを考えていると、スローモーションが徐々に早く動くようになり、やがて普通の動きに戻った。
「さぁ、美波さま。復讐のお時間ですよ」
エルドの声に5人がバッとこちらを振り返った。
「なっ・・・いま、確かに下に・・・」
私を落とした男がカタカタと小さく体を震わせていた。残りの4人も口をあけたまま硬直していて、声も出せないようだった。
「復讐ですか・・・エルド、私はこの人たちに危害を加えたりしなくていいです。面倒くさいことになりそうなので」
「そうですか。では、処分はこちらにお任せになっては如何でしょう。復讐屋は最終的に、復讐を終えたターゲットの回収も行っておりますので」
「復讐!?なんで私たちが復讐なんてされないといけないのよ!!」
我に返ったのか、女が叫びだした。周りも同じように、なぜ、を繰り返している。
「・・・そうですね。お願いします」
「かしこまりました」
エルドがにこりと笑うと、一瞬で私の背後から消えた。あとから砂ぼこりがぶわっと舞ったので、きっと先ほどの扉から屋上まで飛び上がってきた脚力でどこかに走っていったのだろう。
エルドの能力は超人的な脚力とか・・・?
ぼんやりと考えていると、ドサッと音がして5人がロープにぐるぐる巻きにされて地面に転がっていた全員気を失っているようだ。
「早業ですね」
「時間は大事ですから。のんびりしていたらKが待ちくたびれてしまいます」
そういうと、エルドが指をパチンと鳴らした。あの扉が地面に表れた。
「この扉はKの力でどこにでも繋がります。ですが、どこでもないところにも繋がります。これを私たちは暗闇と呼んでいます。ちなみに暗闇にはいると、戻ってくることはできません」
ギギギッと重い音がして扉がひらき、5人の体がゆっくり暗闇のなかに沈んでいった。




