復讐屋
「・・・なんかスッキリしました」
「そうか。復讐心を抜かれたのだから、普通は錯乱してもおかしくはないんだが、すっきりしたと言われるとは思わなかったな」
「そんなことが起きるのだったら、なんで教えてくれなかったんですか」
「・・・あれのお返しだ」
そう言ってKは私の後ろを指さした。そこにはバキバキに割れた扉がそのままにされていた。壁は板でふさがれている。
きっと私はこの扉を突き破って入ってきたのだろう。
「それは、すみませんでした」
「分かればいい」
ふい、と顔を背けられた。
「主様は美波さまが錯乱したりしなかったので拗ねていらっしゃるんですよ」
とんだ悪趣味人間だ。質が悪いにもほどがある。
「拗ねてなどいない。まるで僕がとんでもない悪趣味人間だとでも言っているようじゃないか」
「いえ、そのような意味はございませんよ」
エルドがにこりとわらった。Kはそれに嫌そうな顔をしたのだった。
「さて、では復讐屋の仕事にとりかかるか」
そういわれて私は思わず身体をこわばらせた。自分の生死がこの人に係っているのだ。
いったいどうするのだろうと思っていたら、エルドが壁に打ち付けてあった板をいとも簡単に剥がした。バキバキバキッと大きな音を立てて。
どう考えてもこの細身の体にそんな力があるとは思えないけど、そういえば体力には自信があると言っていたような気がする。
「すごい力持ちなんですね」
「えぇ、体力には自信がございます。ですので・・・美波さま、失礼いたしますね」
そういうとエルドは私の体をひょいっと持ち上げて、扉に足をかけた。
いま扉は空に向かって開いているのだが、というか、私はそんなに軽くはないのだが・・・
頭がプチパニックでよくわからないけど、エルドはそのまま扉から真上に向かって大きく跳躍した。
・・・・・・・・・跳躍?
ぶわっと空気の抵抗を感じて、私は一瞬で屋上と同じ高さまで上がってきたことにきがついた。
「え・・・どういうこと・・・ですか」
人間技じゃない。普通じゃない。やっぱりエルドも能力を持っていたのだろうか。




