↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
契約逆転 オーガと魔物使いの主従生活  作者: 山田二郎
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/51

第五十章 進まぬ迷路

よろしくお願いします

解決策を見出せないまま、ダンジョン攻略は続けていた。


階を重ねるごとに、敵が強くなるだけでなく生えている木も丈夫になっていく。二十三階に到達してから、一ヶ月ほど足踏みが続いていた。


この期間で変わったことといえば、皆が少しずつ強くなっていることと、ラナの料理の腕前が上がったことくらいだ。台所の調理用暖炉の横に魔導式のオーブンを購入し、休みの日には様々なメニューを試している。


そして今日も、ダンジョンへ行く。


未だに二十三階を攻略中だ。


枯れ木の森を進んでいると、トレントに襲われ、その直後に骨狼もやってきた。枝の一撃を棍で捌き、飛びかかる骨狼を、ケリュネとラナが角とトンファーで打ち払う。


「紅蓮よ!」


マリーの魔法で、トレントが燃え上がる。苦しむように暴れるトレントの中心に、棍で突きを入れる。苦し紛れの根の攻撃をかわし、幹の脆くなった部分を力いっぱい打ちつけた。トレントの倒れる音を背に、ラナたちの加勢に向かった。


全ての敵を倒し、魔石を回収していると、トレントの残骸から紋様の刻まれた一振りのショートソードを見つけた。


キリも良いし、時間的にもそろそろ終わっても良いだろう。


(今日はここまでだ)


そう伝え、迷宮を引き返す。


二十階まで戻り、門番の部屋を通って地上へ出る。


外へ出ると、日暮れ間近だ。そのまま真っ直ぐに家へと帰る。最近は、武器や鎧の整備や魔石の納品は、翌日に回している。


ラナとマリーが夕食を作る間、俺は裏庭で魔法剣の検証を行うことにした。


まずは剣に魔力を流す。魔力は通るが、何も起きない。なんとなくだが、量も勢いも足りない感覚があった。


一度魔力を止め、深呼吸をする。


改めて、一度に大量の魔力を叩きつけるようにして込めた。


その瞬間、剣身が光り、伸びた。


元々六十センチほどだった剣身から、さらに光る刃が倍ほど伸びている。


伸びた刃を維持している間も、魔力がどんどん減っていくのが分かる。


光る刃で、地面を斬りつけてみる。軽い抵抗とともに、刃が地面へと通った。


そこで一旦魔力を切る。


かなりの魔力を消費していた。二分も戦えば、魔力を使い切りそうだ。普段使いするには、消費が多すぎる。


使い道を考えていると、夕食が出来たと呼ぶ声が聞こえた。ひとまず、剣は後回しにして、夕食をとることにした。


翌日、クレアの店に行く。手に入れたショートソードを見せると、店の裏で試すことになった。


クレアが魔力を通すが、刃は出ない。マリーに剣を渡すと、魔力を込めた瞬間、光の刃が伸びた。


一度刃を消してから、クレアが用意した鎧を着せた案山子で試し切りを行う。マリーの腕前ですら、剣は鎧ごと案山子を切断した。


「凄い切れ味だね」


クレアがそう言いながら、切断面を検分している。


「魔力が凄い勢いで減っていきました」


マリーの言葉にクレアが答える。


「なるほど、私の魔力じゃ足りなかったみたいだね」


これ以上は検証するにも魔力が足りない。


この剣の威力は申し分ないが、問題は魔力消費だ。これでは実戦で使いにくい。


ひとまず間に合わせの鞘を依頼して、剣は置いて店を出た。


帰りながら剣の使い道を考える。


冒険者組合で換金を行い、マリーが若者の昼食代は自分が払うと言っている。


そこでケインが


「姉御がこの前みたいに冒険者をまとめ上げて、ついでに兵士もまとめて迷宮に入れば最後まで行けると思うんすよ!!」


と言い、隣にいた冒険者に調子に乗るなと頭を叩かれていた。


それを眺めながら、俺は一つの考えが浮かんだ。


冒険者組合を出て家に戻ると、マリーに考えを話す。


(バロメア伯爵家なら、二十一階以降のダンジョン攻略の情報があるかもしれない)


「伯爵様のお家ですか? 私達が行っても大丈夫でしょうか…」


確かに、今まで貴族に呼び出される事はあっても、こちらから向かうなどなかった。平民なら考えもしないだろう。


(ダンジョンで手に入れた剣の献上を理由にして向かう。そこでダンジョンについて情報を得る)


再びクレアの店を訪れる。


「あれ、マリーどうしたんだい鞘はまだ出来てないよ」


「クレアさん実は…」


マリーが事情を話すとクレアは腕組みをして考え込んだ。


「それなら、貴族なら鞘はどうせ自分で作ると思うから、上等な布で包んでから箱に入れるのがいいね。布と箱なら明日には用意出来るよ」


クレアに礼を言って家に帰る。


玄関を開けて家に入ると、肉と香草を煮込む良い匂いがした。台所でラナが夕食を作っている音がする。


マリーはリビングの机に何枚も羊皮紙を広げ何やら考えている。


横から覗くと、今までの通路の地図や二十一階以降の道について、敵の出現頻度など書かれている。


(何かあったのか)


「もし伯爵様に迷宮について聞けるなら、聞きたいことをまとめておこうと思ったんです。でも…」


確かに、とにかく教えてくれと言っても欲しい情報が手に入るとは限らない。


俺はうなずき、その先を促した。


「まとめた資料を見てると、何かひかかると言うか、気づきそうなんですけど、うーん…」


俺が見る限り、マリーのメモには今までの事が書いてあるだけで特に変わったところはない。


「そろそろ出来上がるから、そっちの準備をしといてくれよ」


台所からラナの声がする。時間切れだと苦笑してマリーは机の上を片付けた。

少しでも面白いと思ったら、下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援してください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。