第三十章 十階への道
よろしくお願いします
翌日は一日、休息にあてることにした。
マリーはケリュネの散歩がてら、一緒に買い物へ出かけていった。帰りにクレアのところにも寄るという。俺は俺で、屋台に食べ物を買いに出ることにした。
街を歩いてみると、バロメアはエルバスタにも負けないくらい栄えていた。ダンジョンで採れる魔石をエネルギーとして使えるように加工したものが、この街の特産らしい。露店にも、加工された魔石を用いたランプや道具がいくつも並んでいた。
小耳に挟んだ話では、周辺領地の兵士の訓練をこのダンジョンで無料で受け入れているという。そのおかげか、近隣の領地から兵の一団が定期的に行き来しており、街道周辺のモンスターや盗賊の数も自然と減っているらしい。街道が安全なら、商人も自然と集まってくる。この街の領主は、なかなかのやり手のようだ。
防具屋や道具屋を軽く覗きながら歩き回る。ダンジョン寄りの一帯に、こうした冒険者向けの店が集まっているらしかった。
焼いた肉と、見たことのない果物をいくつか買い込み、宿へと戻った。
夕方になって帰ってきたマリーは、メイスの鉄球部分を、柄に合わせて赤く塗り直してもらったと嬉しそうに見せてきた。
「クレアさんが、色を揃えた方が気分も上がるだろうって……」
それに加えて、俺の鎧の傷み具合が気になっているらしく、補修やメンテナンスならいつでも引き受けると言われたそうだ。
特に困ってはいなかったが、言われてみれば、様々な魔物との戦いであちこちに傷や凹みができている。動くたびに、僅かに軋む音もするようになっていた。特に困っていないので気にしてなかったが、手入れをしてもらうのも良いだろう。
(次の探索が終わったら頼む)
「はい!」
(疲れが残ってなければ、明日もダンジョンに行くぞ)
「はい!」
マリーは元気よく答えた。
翌日、朝食を済ませてからダンジョンへと向かった。
三階までは、俺が蹴散らしながら進んだ。四階からは、バックラーとメイスを構えたマリーも前に出て戦う。五階では、ケリュネの警戒具合を見てから、マリーがまず火球を一発撃ち込み、そこから俺とマリーで残りを蹴散らした。
六階に入り、しばらく歩いていると、ケリュネが不意に警戒を強めた。
薄暗闇の向こうから、まだら模様の犬が駆けてくる。近くで見ると、毛のある部分とない部分、皮膚の欠けた部分から骨が覗いている部分とが、まるでモザイクのように入り混じっていた。
「うわぁ……」
マリーが顔をしかめた。近づいてきたそれを、俺は蹴り飛ばす。壁に叩きつけられ、動かなくなった。体はすぐに崩れて消え、代わりに魔石が現れる。マリーは少し嫌そうな顔をしながら、それを拾い上げて袋に入れた。
そのまま、最短経路で七階へと進んだ。
七階では、まず一度、二体のスケルトンを俺が仕留め、次に現れた二体をマリーに任せてみることにした。三階と同じ要領で、剣の一撃をバックラーでもう一体の方へ弾き、メイスを突き出す。もう一体の剣持ちは、バックラーで殴りつけて仕留めた。どちらも、一発で決まっている。
「二体なら、大丈夫そうです」
三人組の冒険者パーティを迂回しながら、俺たちは八階へと降りた。
八階では、少し進んだ先で四人組の冒険者が戦闘中だった。それを避けて進んだ先も、今度は五人組が戦っていた。地図を見ながら別の道を選び、モンスターに出会わないまま、下へと続く階段に辿り着いた。
(一応、何度か戦っておくぞ)
念話でそう伝え、階段周辺を探して回った。三体のスケルトンを見つけ、マリーと共に近づいていく。マリーが槍を弾き、俺は彼女に注意を向けていた剣持ちを殴り倒した。マリーが槍持ちを仕留める間に、俺は盾持ちの正面から拳を叩きつける。吹き飛んだスケルトンは、そのままバラバラになって崩れ落ちた。
そのまま歩を進めると、次に現れたのはゾンビ犬、弓持ち、槍持ちの三体だった。俺が飛んできた矢を掴み取ると同時に、マリーが火球を放ち、ゾンビ犬を火だるまにする。俺は槍持ちに近づき、槍を掴んで殴りつけ、そのまま弓持ちも片付けた。
九階へと進む。ここでは出会い頭に火球を放ち、一体減らしてから戦うようにした。
(深く潜っても、代わり映えしないもんだな)
「そうですね」
マリーがそう答えた。その後も階段を目指して進み、二度戦ったところで、十階へと続く階段を発見した。
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