第8話 藤原さんと金庫
放課後4人で藤原さんの家へと向かった。
表札には結婚しているので斎藤となっている。
少し様子をみてから、チャイムを押そうとすると、女性の人が家に向かってくる。
僕たちを見て「あなたたち誰?」
茶色い髪をしていて、やや鋭い目つきからきつそうな感じのイメージを受けた。
「藤原さんですよね。私、藤原さんと同級生だった我妻愛美の娘の向日葵と言います。突然来てしまい申し訳ありません。どうか母のことを教えて下さい」
「帰ってくれない?警察呼ぶわよ」
「いえ、怪しい者では。ただ母についてお聞きしたいだけで」
「しつこいわね」
「お願いします。少しだけでも」と僕が言った。
「私はあの子と仲がよくなかった。だから知らない。あの子は大人しそうな顔して男に媚びを売る最低な女よ」
そういうとスマホを取り出し「警察を呼ぶわよ」と言う。
仕方ないので僕らは帰って行った。
部室に戻ると、みんなががっくりしていた。
「問答無用だったな」と推川さん
「まさか、ここまで拒否されるとは」と僕も言う。
「あの人の我妻さんを見る目はおかしかった。憎悪。違う。恐怖なのかな」と見上さん。
「恐怖ですか」と僕が聞く。
「ええ。そんな感じ。全体的に怯えているふうだった」と見上さん。
「我妻さんが死んだ愛美さんに似てたからだろうか」と推川さん。
「そうかもしれませんね。亡くなった人間にそっくりな人がいたら、そう思うかもしれません」と僕が言う。
「それでこれからどうすんの?」と電灯さん。
「大泉にいるらしい元担任の小早川さんか、ストーカーの渡辺さんのどちらかを探すことになりますか」と僕が言う。
「探しやすそうなのは小早川さんですね」と我妻さん。
「かしこまり~」と電灯さんがパソコンをいじりながら言う。
翌日、我妻さんが鉄製の小さな箱をかばんから取り出した。
「昨日部屋の奥から出てきたんです」
その小さな箱には4ケタの暗証番号で開く仕組みになっている。
「これは?」と僕が聞くと
「母のだそうです。ただ色々ためしたんですが開かなくて」
放課後みんなに金庫のことを話した。
「4ケタなら1万通りだよ。時間かければ開くんじゃない」と電灯さん。
「流石にそれは……」と僕が言う。
「誕生日は当然試したんだろうね」と推川さん。
「はい。母のも私のも」
金庫を貸してもらい、僕と見上さんがいくつか番号を試した。
しばらくすると推川さんが「貸してくれたまえ」と言って金庫を持った。
するとカチリと音がして金庫が開いた。
一同びっくりした。
本人も驚いている。
「推川さんすごいじゃないですか。それで番号は?」
「8251ハツコイだ」
「推川さんからそういう発想がでるとは」
「優れた探偵は柔軟な発想をもっているからな」と推川さん。
我妻さんが駆け寄り中身を見る。
僕らも見てみる。
中からは写真と手紙だ。
写真は男の人と愛美さんが写っている。
手紙はどうやらラブレターのようなものだ。
向日葵はその写真を見て少し固まってしまった。
初めて見る母の恋人と思われる人物。
そして、この人が父親なのかも知れないと言うこと。
写真で見る母はどれも笑顔だ。
相手の男の人も笑顔の写真ばかりだ。
母の青春時代を見た気がして、嬉しい反面この男の人は母を救ってくれなかったのかという怒りも感じた。
手紙にも目を通す。
2人の愛情のやり取りが書かれている。
見てはいけなかったんじゃないかと思った。
この時の母は、生きている。
この人と楽しい時間をすごしたのであろう。
手紙を読んでいくと疑問があった。
相手の名前がない。
この男の人は大人である。
かなりのイケメンだ。
大人ということは……




