第6話 3つに分かれて
翌日は部室で会議となった。
電灯さんにネットで藤原という女性と渡辺という男性を調べてもらったが、いかんせん情報がなさすぎた。
流石に名前ぐらいでは、電灯さんでもわからなかった。
「これからどうしますか?」と僕がみんなに聞く。
「藤原って女性と渡辺って男性を調べるしかないんじゃないか。なんなら田所さんあたりに聞いてみるのもいい」と推川さん。
「後は元担任の先生に会ってみたいです。職員室で聞いてみたんですけど、知らないのか教えちゃだめなのか、誰も答えてくれませんでした」と我妻さん。
「そうですね。その3人の手がかりを探すことになりそうですね」と僕が言う。
「では知ってそうな教師1人ずつに聞いてみよう。みんなの前では話にくいだろうから」と推川さん。
「わかりました。このあと、私が聞いてみます」と我妻さん。
「どうやって?」と僕が聞く。
「校門で待ち伏せです」と我妻さんが笑顔で答えた。
夕方の終わり、生徒がほぼ下校した頃、教師も帰宅する時間になった。
我妻さんは年配の教師に絞り、車などを止めて1人1人にお願いしていった。
そしていくつかの情報を仕入れたのである。
翌日の昼時、部室で我妻さんがみんなに発表をした。
「担任だったのは小早川という名前です。国語教師をしていたそうです。事件の後に学校を辞めたそうです。しばらく家に引きこもってたそうですが、いつの間にか引っ越していたとのことです」
「ふむ。他には?」と推川さん
「住んでいたのは2駅隣のマンションだったそうです。詳しい住所はわかりません。大きな公園の近くだとか」
推川さんが電灯さんを見る。
電灯さんがパソコンで調べ始めた。
「実家は誰も知りません。世田谷の方だとか、杉並の方だとか渋谷区だとか」
「そこそこお金持ちっぽいとこばかりだな。他には?」と推川さん
「以上です」
「では進倉は私と一緒に、住んでいた周辺の聞き込みだ。我妻さんと見上は田所さんへ3人のことを知らないかを聞いてきてくれ。電灯はここで調べてくれ」と推川さんが仕切りだした。
「なんで推川が仕切ってんだよ」と電灯さん。
「すぐれた探偵が指示を出すのは当然だろ」と推川さん。
「意味わからん」と笑いながら電灯さん。
こうして3つに分かれて捜査をすることになった。
僕は推川さんと2駅隣のマンションへ向かった。
場所は電灯さんが「たぶんここ」と教えてくれた。
そこは大きな公園の近くの鉄筋の4階建てのマンションだ。
「推川さんどうしますか?」
「どうしようか」
「えっ?」
「怖い人いたら嫌じゃん。ちょっと考えさせて」
マンションの前で住民が出入りするのを待った。
「すみません、昔ここに住んでいた方を探しているんですが」
となるべく誠実な態度で聞いていった。
しかし誰も知らないと言う。
諦めかけたころ「君たち部外者が何をしている」と声をかけられた。
「あなたは?」と僕が聞くと
「大家だ」と言ってきた。
そこで大家に事情を話した。
「ああ、小早川か。昔いたな。10年以上前だろう」
「詳しい住所はわかりますか」と僕が聞くと
「教えるわけないだろ。個人情報なんちゃらだ」
「すいません。失礼しました。どうしても先生に会いたかったので」と僕が言う。
「練馬の実家へ帰るって言ってたな」
「練馬のどこですか?」
「さあな。確か学園なんとかって駅だった気がする」
そういうと大家はどこかへ去っていった。
僕はお辞儀をした。
部室に戻ると、我妻さんと見上さんが帰ってきていた。
どうだったかを聞くと「藤原さんはあんまり仲がよかったわけではないから、よく知らない。ただ細川さんとは仲がよかったことと、数年前に結婚して、斎藤姓になったと聞いたそうです」と我妻さん
「細川さん経由か……聞きづらいな」と僕が言う。
「渡辺さんは、そういえばそんな人いたなって言ってました。ストーカーをしていたと言ったら、怒ってたました。担任の先生はどうなったか知らないって言っていました」と我妻さんが言う。
「担任だった先生はこっちでわかりました。小早川と言う人で、たぶん実家の大泉学園にいるらしいです」と僕が言う。
電灯さんを見ると「僕は成果なしだね。でも今出た情報でまた調べるよ」と言った。
「1番わかりそうなのは先生か」と僕が言う。
「あと、田所さんなんだけど、なにか隠してるようなんだよね」と見上さんが言った。




