第49話 ストーカーの結末
翌日朝、我妻さんは学校に来なかった。
体調でも崩したのかと思っていると、吉田さんが声をかけてきた。
そして昨日の一連の出来事を話してくれた。
僕は怒りでおかしくなりそうだった。
昼休み、真っ先に推川さんのところに行き「渡辺を警察に突き出しましょう」と言った。
推川さんが「どうした?」と聞くので、吉田さんから聞いたことをそのまま話した。
「ふむ。警察は逮捕出来ないな。今はまだ逮捕じゃなくて記録と警告の段階だ」と推川さん。
「そんなばかな」
「渡辺は手を出していない。たまたま同じ方向に歩いて、スーパーへ行っただけだと言われたら何も出来ない」
「くそう」
「ただし、防犯カメラや証言が揃えば話は別だ。警察が動く余地はある」
「ではどうすれば」
「落ち着け進倉。放課後警察に相談に行こう」
放課後、僕と推川さんは警察に行き、これまでのことと昨日の事件を話した。
その後スーパーへ行き、店長さんに協力を仰ぐ。
店長さんは快く引き受け、警察に昨日の出来事と、防犯カメラの映像を提供してくれた。
その後は生活指導の先生に現状を報告した。
3日後我妻さんが登校してきた。
朝、僕に対して「ごめんなさい」と言う。
「なんで我妻さんが謝るのさ」
「私のせいで迷惑かけちゃって」
「何を言ってるの。悪いのは全て渡辺だ。我妻さんは何も悪くない」
そして放課後、警察から連絡があった。
記録は受理された。
防犯カメラ確認中。
継続性の判断中。
僕は「そんな馬鹿な」と思った。
なんらかの行動を起こさないのはおかしいと。
このことを推川さんに話す。
「まあこんなもんだよ。ただし、記録として渡辺の発言は残ったがね」
「なんの話ですか」と我妻さん。
「ふむ。まあ我々も色々と手を打っているとだけ言っておこう」と推川さん。
我妻さんが首をかしげる。
翌日の放課後、推川さんが見上さんを呼んで耳打ちをする。
見上さんが部室を出ていく。
すぐに戻ってきて「正門の近くにいるという」
生活指導の先生に渡辺が居ることを話した。
生活指導の先生は正門の見回りを始めた。
推川さんが僕を呼び「ちょっと行くぞ」と言う。
まずは遠くからスマホで渡辺の動画を撮る。
正門も映しておく。
もちろん日付と時間をわかるようにしてだ。
すると推川さんは渡辺のところへ向かった。
少し離れたところから「あの子は愛美さんではない」
渡辺が黙る。
推川さんは言うことを言ったら学校に戻り部室へ行く。
僕も後をついていく。
翌日も渡辺はいた。
再び動画を撮る。
その後は警察へ行き、動画を提出した。
そして推川さんはちょっと用があると言い、別行動になった。
僕には「我妻さんの側にいてくれ」と言った。
翌日も渡辺は来ている。
警察から継続性判断との報告が来た。
生活指導の先生に、今日も来ていることを伝えた。
そして推川さんが何処かへ出かけた。
しばらくして僕に正門に来るように言う。
僕が正門に行くと大人の男女がいた。
推川さんが「では行きましょう」と僕らを案内する。
渡辺が目に見えて動揺している。
大人の男女も驚いている。
2人は渡辺の親だった。
渡辺の親は、息子に話しかけている。
そして3人で「ご迷惑おかけしました」と頭を下げた。
推川さんが小声で「親には事情を話し、警察と学校も動いていると伝えた。後はあなたちに実際に、目で見て欲しい」と言ったそうだ。
渡辺が観念した。
警察にも学校にも親にも逃げ場のない状態に追い込まれたからだ。
「もうしない」か細い声で言う。
「1つ教えて欲しい。君は愛美さんが個人日記サイトを書いてたのを知っているか」と推川さんが聞く。
「ああ、毎日見ていたよ」
渡辺は改ざん前の個人日記サイトを見ていた。
一体、本当は何が書かれていたんだ。




