第47話 恐喝犯と1人と
僕と推川さんは再び小早川さんのもとへ向かった。
小早川さんは、またもや僕らが来たことに驚いたようだが、温かく迎えてくれた。
「それで今回は?」と小早川さん。
「実は恐喝写真と思われるものが発見されました」と僕が言う。
小早川さんが驚いた。
そして画像を僕が見せた。
「恐喝写真ってこれですか?」
「そうだ。何処で見つけた?」
「写真部の昔のSDカードから」
小早川さんが考え込む。
「写真部といえば、細川さんがいましたよね。ずばり恐喝犯は細川さんだと思いますか?」
少し間があってから「細川ではないな」
「えっ?」
「細川なら私に直接近づくはずだ。金だけ要求するとは思えない」
「例えば?」
「愛美と別れるとか」
僕はなるほどと思った。
そういえば細川さんは小早川先生の印象を「やさしい先生だったわね。あの人を見てたら年上っていいなと思えたわ」と言っていた。
そして小早川さんと1度関係を持った。
当時の彼女は小早川さんに好意を持っていたのだろう。
「ではいったい恐喝犯は誰だと思いますか?」
「わからない。振込先の口座も知らない名前だったからな」
僕は思った。
恐喝犯は細川さんだと思っていた。
しかし小早川さんの発言により、逆に細川さんがシロになってしまったのだ。
その後もいくつか話をしたがこれといった成果はなかった。
恐喝犯が細川さんだと思ったのが、もろくも崩れただけであった。
帰りに落ち込んでいる僕に推川さんが声をかける。
「進倉。事件なんてこういうものだぞ。真相を掴んだと思っても指の隙間から滑り落ちていくものだ」
「そうですね」
「ところで進倉。我々が大泉に来るのは何度目だ?」
「さあ結構来てますよね」
「いい加減、チーズナンが美味しい店に行きたいんだが」
僕はクスリと笑ってしまった。
落ち込んでいる僕に推川さん流の慰め方だったのかもしれない。
「ではお店に行きましょうか」
◆◆◆
一方我妻さんは1人で家に向かっていた。
ここのところ見上さんとの行動が多かったので、この時間に1人なのは久しぶりだった。
家に帰って愛美さんの関連の再調査が目的だ。
前みたいに金庫とか見つかると良いんだけど。
そこへ、背後から人の気配を感じた。
嫌な予感がして振り向く。
そこにはこちらをジッと見ている渡辺さんの姿が見えた。




