第4話 金沢さん
翌日の朝、我妻さんが僕に声をかけてきた「今日はどうするんです?」
「金沢さんか細川さんに会いに行くと思います」と僕が答える。
「放課後が待ち遠しいです」と我妻さんが言ってきた。
放課後、全員が集まったので聞いてみた「金沢さんと細川さんのどちらに会いに行きますか?」
「金沢さんは近くに引っ越してるから、30分ぐらいかかるね。ちなみに今は新田姓だな。細川さんも引っ越してるけど1時間ぐらいかかるね。今は田原姓」と推川さんが言う。
「近いので金沢さんにしますか。ところで住所とか、何故友達だとわかったかってことはどうします?」と僕が聞く。
「金沢さんなら、田所さんと同じく昔呟きサイト使ってたから、それ経由で友達だと知ったということに。住所は夫の実名交流サイトからで」と電灯さんが笑いながら言う。
「もう夫のことまで調べてたんですか」と僕が言うと、
「うん。昨日戻って来てからすぐにね」と電灯さんが椅子を回しながら言った。
「では金沢さんの所へ行きましょうか」
30分ぐらい歩くと大きなマンションが見えてきた。
白ベースで近くに専用の駐車場まである。
5人はマンションの扉の中に入った。
オートロックなので、部屋番号を押し、呼び出す。
「はい」と女性の声で返事がきた。
「私たち○○高校のものですが、金沢……新田さんにお話を聞きたくて」と僕が言った。
「なんで高校生が、私の旧姓を知っているの?」
「私、我妻向日葵と言います。愛美の娘です」
「愛美の……」
「母のことを知りたいんです。どうかお話を聞かせて下さい」
少しの間があり、ドアが開いた。
オートロックが解除されたのだ。
僕たちはエレベーターに乗り金沢さんの部屋に向かった。
部屋の前に行き、チャイムを押す。
すると30代前半と思われる女性が顔を出し「多いわね」と言った。
そして我妻さんを見て「あなたが愛美の」
「はい。向日葵と言います」
「それで、他の4人は?」
「僕たちはミステリー研究会です。我妻さんに依頼されて」
「そういうのは代表1人で来るものよ」とやや不機嫌な金沢さん。
「すみません」と思わず僕が言う。
「しょうがない。家に入って」と金沢さんが言った。
金沢さんは黒い髪を後ろで束ねている。
白いジーンズにセーターとラフな服装だ。
リビングに通されると「適当に座って」
横長のソファーと木製の椅子があったので、近くにあった椅子に座った。
リビングは白を基調にした、清潔な空間と言う感じだ。
大きいシャンデリアが目につく。
「まず、なんで私のこと知ってるの?」
「昔呟きサイト使ってましたよね。それで愛美さんとの関係がわかった。後は夫の実名交流サイトから住所をね」と電灯さん。
「つまりネットをあさって特定したってわけか。ちょっと感心できないわね」
「あの、母はどんな人でした?」
「愛美は見た目はかわいかったね。それで何に対してもしっかりしていた。」
あれ?田所さんと言ってることが違うと僕は思った。
「他に知ってることを教えて下さい」
「1年の時に良く喋ってたよ。毎日たわいもないことをね。彼女は見た目がよかったから、羨ましいといつも思っていた」
「母は悩みとか相談しましたか?」
「しないね。1人で抱え込むって感じだったし。だからあんなことを」
「私の父親に心当たりは?」
「そっか。父親知らないんだ。いや、私も知らないけどさ。何人かから告白されてたけど、みんな断ってたからね。まあもてるってのも大変なんだと思ったね」
「そうですか」
「ふった相手の1人に付け回されてるみたいなことも言ってたしね」
「それは誰だかわかります?」と推川さんが聞く。
「いや。知らない。とにかくそういうのは喋らない人だったから」
「他に母については?」
「いや。こんなところだね。仲がよいって言っても上辺だけだし。プライベートなことは知らないし、向こうも話さなかったから」
「最後に、他に知ってそうな人や、手掛かりになりそうなことはありますか?」
「特にはね。なにせ1年の時だけだったからね」
今までずっとだまっていた見上さんが「あそこにあるの、プリクラのノートですよね」と指をさす。
「あっあれは……」
「表紙のプリ。愛美さんじゃないですか」と見上さん。
金沢さんはプリ帳を持ってきてくれた。
「あんた目がいいね」
「お母さん……。あの、中も見せていただけませんか」
「仕方ない」と言って我妻さんにプリ帳を渡す。
みんなでみると、何枚か愛美さんのプリがある。
「もういいでしょう」と金沢さんがプリ帳を取る。
「ありがとうございました。母を見れて嬉しかった」
「じゃあこれで、お引き取りを。私もやることあるから」
みんなで金沢さんの家を出た。
我妻さんは深々とお辞儀をしていた。
みんなで部室に戻り、話し合いを。
「これといった収穫はなしですかね」と僕が言う。
「プリ帳、4人で映っていたのは愛美さん、田所さん、金沢さんともう1人。たぶん細川さんだと思う。他に金沢さんは別の女生徒2人で撮ってるのもあった。名前が書いてあり藤原って人」
「見上さんすごいですね。あんな短い時間で」と僕が言う。
「少し見れば十分」
「でも、その藤原って人は愛美さんと仲良かったわけじゃないだろ。なら関係ないだろ」と電灯さん。
「まあそうですけどね。一応クラスメイトか何かだし、機会があったら聞いてみましょう」と僕が言う。
「まだ、関係のあるなしはわからないんだから、可能性が少しでもあるなら調べるべきだ」と推川さん。
「そうですね。電灯さん、よかったら調べてみて下さい。では明日は細川さんですね」そう言って僕は今日の活動を締めた。




