第38話 細川さんの話
翌日、昼休み部室で話し合いが行われた。
「聞き込みの方は、田所さん、金沢さんは知らないけど、細川さんが知っているらしい」と僕が言う。
「僕は進展なし」と電灯さん。
見上さんは考え込んでいる。
「どうした見上?」と推川さん。
「ちょっと気になることがあってね。もう少し時間頂戴」
「わかった。じゃあ今日も昨日と同じで3人で細川さんと会うか」と推川さん。
「どうやって会います?」
「子供を迎えに行ってる時間に行く」と推川さん。
「子供を巻き込むんですか?」
「別に巻き込むわけではない。その時間が確実に会えるってだけだ。そもそも向こうもデンバーのこと知ってて黙ってたりしてるんだ。こちらもそれなりの態度だよ。
「う~ん。気は進みませんがしょうがないですか」
お昼を食べた後、少し授業があり、その後に細川さんの所へ向かった。
住宅街の一角、何人かの主婦が子供を迎えに来ていた。
細川さんがいた。
少しすると送迎バスが来て、何人かの子供が降りる。
そこに細川さんの子供も降りてきて、細川さんのもとへ行く。
2人は少し会話をした後、家かどこかに行こうとしている。
そこで僕たちは声をかけた。
「こんにちは、細川さん」と僕が言う。
細川さんがこちらを睨む。
「子供がいる時に来るなんて」
「別にそういうわけではなくてね。この時間が確実だと思っただけですよ」と推川さん。
「帰ってくれない」
「お話を聞かせてくれたら」
推川さんと細川さんの会話だが、やはり僕らは悪役に見える。
「失礼すぎて話すことはないわ」
「失礼はそちらでしょう。デンバーさんのこと黙っていたんですから。まあいいですけど」
「ママ誰?」と子供が言う。
「構っちゃだめよ、行きましょう」と細川さん。
「少しだけでいいんです。お話をお願いします」と推川さん。
「こっちは話すことなんてない」
「愛美さんが急に学校に登校してきた時のことを教えて下さい」
「その時私はいなかった」
「おかしいですね。細川さんがいたという目撃証言があるんですけどね」
細川さんの顔つきが変わる。
「誰よそんなこと言ったのは」
「複数人」
嘘である。
こちらは金沢さんから聞いただけである。
「確かに学校にいた。それでその後騒動を聞いた。それだけ」
「おかしいですね。会っていたという話も聞きましたが」
「誰よ。そんな嘘を言ったのは。私は会っていない。証拠はあるの?」
「情報源は明かせません」
こういうと細川さんは不満そうな顔になった。
「急に来たからどうしたのって聞いただけ」
「それでなんて言いました?」
「ちょっと用事できただけって。それだけよ。これ以上つきまとわるなら警察呼ぶわよ」
「あなたさっきから証言が変わりすぎる」
「知らないわよ」
そういうとちょうど通りかかったタクシーを止めて、子供と一緒に乗って行ってしまった。
「う~ん。強引だったし、失敗したなあ」と推川さん。
「しかし色々困りましたね。こっちも不手際がありましたが、細川さんの証言が全く信用できないですね」
「そうだな。証拠を突き出すしかないけど、証拠なんてないし、なにせ昔のことだからなあ」
「あの、小早川さんに聞いてみるのは」と我妻さん。
「なるほど。それしかないですね」と僕が言う。
「そうだな。後で向かうか」
一旦学校へ戻り、夜に再び小早川さんの家へと向かうことにした。




