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第35話 疑念

翌日、我妻さんは学校に来なかった。


昨日のことがよほどショックなのであろう。


放課後部室に行ってもみんなの空気が重い。


ただこればかりは仕方がないと思った。


あんな話を聞かされたばかりなのだから。



結局我妻さんは一週間学校を休んで登校してきた。


朝、僕に「もう大丈夫です」と言ってきた。


放課後部室に我妻さんが顔を出した。


そしてみんなにお礼を言っている。


すると電灯さんが「今更だけど」と言いパソコン画面を見せる。


それは愛美さんの個人日記サイトだった。


愛美さんの名前が一切書かれていないのでわからなかったとのことだ。


しかし画像認証などでたまたまひっかかってくれたとのこと。


日記サイトには不定期ながらも、愛美さんの当時の日常が書かれていた。


名前は一切出てこないが、田所さんや金沢さんや細川さんと楽しく学校生活を送っていることが書かれている。


途中からは恋愛の話が多く書かれている。


そして子供を産んだことや、1人で育てる辛さが書かれていた。


そこで日記は終わっていた。


我妻さんが泣きだしてしまった。


「なんでこんなの見せたんですか」と僕は電灯さんを責めた。


「ごめん。新しく見つかったからつい」と電灯さん。


「大丈夫です。ありがとうございます。これには母のことが知れてよかった」と我妻さんは言う。


この個人日記サイトに書かれていることと、小早川が怒ったことが引き金になった可能性が高くなった。


また空気が重くなった。


あの推川さんが今日、一言も喋っていない。


「あの依頼のお礼はどうすればいいでしょうか?」と我妻さんが聞いてくる。


推川さんを見ると首を振った。


「お礼はいらないよ。強いていえば、事件を捜査できたことが報酬だろうね」と僕が言う。


推川さんは相変わらず黙ったままだ。


「でも」


「本当にいいんですよ。じゃあこうしましょう。みんなにジュース一杯奢る」と僕が言う。


みんなを見るとそれでいいとばかりに、頷いた。


我妻さんが自販機に向かう。


その間、推川さんと見上さんが愛美さんの個人日記サイトを見ている。


しばらくして我妻さんが戻って来た。


1人1人にお礼を言ってジュースを渡している。


みんなでジュースを飲み始めた。


「ではこの事件はこれで終わりでいいかな?」と電灯さんが言う。


すると推川さんが初めて発言をした。


「愛美さんが小早川に色々言われて飛び出してから身投げするまで数時間あったという。数時間なにやってたんだろう」


みんなが顔を見合わせる。


もし言われたことが引き金になったなら、すぐ行動に移すだろう。


でも実際は数時間のラグがある。


ひょっとしてこの事件はまだ終わっていないのでは。


みんなの脳裏にこのことが浮かんだ。

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