表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
34/60

第34話 小早川の話

小早川さんは僕たちを家に入れてくれた。


そして好きなようにくつろいでくれと言った。


視線は我妻さんをジッと見つめたままだ。


「まずはずばり聞きます。あなたは向日葵さんの父親ですか?」と推川さんがいきなり本題を聞く。


小早川さんはしばらく黙った後に「そうだ。ただ、父親を名乗る資格はない」


「どういう意味ですか?」


「確かに向日葵は私と愛美の娘だ。しかし、私は父親としての役目を放棄している。よって父親とは、とてもじゃないが呼べない」


「肝心なのは血のつながりがあるかどうかです。それでなんで放棄したんですか?」


「若かったんだよ。当時私は愛美が妊娠した時に、産むのを反対した。しかし愛美は1人ででも育てるという。私はそれは無理だと言った。16歳の女の子が、援助もなしに子供を育てられるわけがないと」


「あなたは援助しなかったんですか」


「私は産むのを諦めたと思っていたんだ。愛美が学校に来なくなったのは降ろしたショックだろうと思った。何度も連絡したが、降ろしたと言っていた」


「信じたんですか」


「ああ。さっきも言ったが16歳で育てられる訳がないと。本人も降ろしたと言っているんだ。信じたに決まっているだろ」


「それで?」


「愛美が来なくなったんで、私は気晴らしをしてしまった」


「今度は田所さんに手を出したと」


「そうだな」


「それでどうなったんです」


「田所たちが3年になった時に、突然愛美が学校に来た。そして私に言ったんだ。今、娘を育てていると」


「あなたはどうしたんですか?」


「怒ってしまった。何故産んだ?何故嘘を付いた?何故隠した?とね」


「それから?」


「愛美は私には迷惑はかけないと言って飛び出した。それから数時間後だ。愛美が飛び降りたのは」


「それではあなたのせいじゃないですか」


「私はショックで気が狂いそうになった。それから家に閉じこもり、教師を辞めた」


「警察は来たのですよね?」


「警察は当然私のもとに来た。事情を話した。法律上は無罪だ。だが愛美を死なせたのは私だ」


みんな黙り込んでしまった。


我妻さんはショックでうつむいたままだ。


「向日葵さんを引き取らなかったんですか?」と僕が言う。


「気力がなかった。全てに」


「最低だ」と僕が言う。


「ああ。最低だよ。何度死のうと思ったことか」


僕は小早川を殴ってやろうかと思って拳を握りしめた。


我妻さんが僕の手を抑える。


我妻さんは今にも泣きだしそうだった。


依頼は最悪の形で終わろうとしていた。


これで事件は解決したのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ