第33話 執念
雨が降っている。
スーパーも1店見た後、ずぶ濡れになりながら別の店へ。
その後は急いで食品工場へ。
1人で何か所も見る。
翌日は別のところへ。
そしてまた翌日も。
本の配送センターにやってきた。
少し就業時間に遅れてしまった。
半分以上の人が帰った後だった。
僕は何やってんだと心の中で思った。
僕は探偵ではない。
なんの為にやっているんだろう。
我妻さんの為?
真相を知りたい為?
違うな。
たぶん自己満足なんだろう。
そんなことを思っている時に、受付の警備員が1人の出口に向かう男に声をかけた。
「お疲れ様です小早川さん」
「お疲れ様です」
僕は耳を疑った。
確かに小早川という名前が出た。
顔を見てみる。
髪の毛は真っ白で顔も実年齢よりは10歳は年老いて見える。
でもよく見ると、どことなく面影がある。
間違いない、この人だ。
顔予測アプリで出た顔とはまるで違っていた。
これでは誰もわからないだろう。
そして僕は気づかれないように後を付けた。
途中、何度も声をかけようとしたが、我慢をした。
そしてついに自宅を突き止めたのである。
僕は待ちきれず、推川さんに電話をした。
「推川さん。小早川さんを見つけました。自宅も突き止めました」
「本当か進倉。お手柄だ。すぐに戻って来い。校門の前で待っている」
僕は学校へ戻ると、待っていてくれた4人に事の顛末を話す。
みな驚いていた。
特に我妻さんからは感謝の言葉をたくさんもらった。
そのお礼の言葉で、この張り込みの苦労が報われたと思ったのだ。
そして翌日、みんなで自宅へ行くことになった。
翌日の遅い時間に僕たちは小早川さんの自宅の前にいた。
推川さんが、玄関のチャイムを鳴らす。
「はい」と言う言葉とともに小早川さんが出てきた。
「君たちは……」その後の言葉がでなかった。
我妻さんをみて固まっている。
しばらく沈黙が続く。
「向日葵か」
「はい」と我妻さんが言う。
そして「君たちは?」
「我々は我妻さんに雇われた、○○高校ミステリー研究会の者です」と推川さん。
「ミステリー研究会?」
「小早川元先生ですね。お話を聞きたいのですがよろしいですか?」




