第19話 協力者
放課後。
「我妻、お前に会いたいって卒業生が来ているんだが」と担任の先生が言ってきた。
「誰でしょうか?」
「小杉って名乗っているんだが」
「小杉さん!」と我妻さんが驚いた。
横で会話を聞いていた僕も驚いた。
そういえば、こちらは我妻さんの名前と○○高校から来たとしか言っていなかった。
向こうから会いたい場合は、学校へ来るしかなかったのだろう。
「どうしましょうか?」と我妻さんが尋ねる。
「とりあえず会いましょう。僕はみなさんを集めます」そういうと急いでスマホを操作する。
「先生。小杉さんと会いたいのですが、どうすればいいでしょうか?」と我妻さんが聞く。
「そうだなあ、校内ってのも違うし、校門付近だな」と先生が言う。
僕たちはみんなと合流し、校門へ向かった。
そこに小杉さんがいた。
「こんにちは、小杉さん。どうしたんですか?」と我妻さんは聞く。
「渡辺に会ったわ。何あいつ気持ち悪い。あんなやつだったなんて」
「あいつは今、我妻さんをストーカーしている。我々も手を焼いている」と推川さん。
「ストーカーをしているんだ。まさかその辺にいるとか?」
「今は裏門の方にいるね」と見上さん。
「いるんだ……警察に言った方がいいんじゃない?」
「それが、まだ何もされていないからな。たまたま近くにいただけだと言い張られたら難しい」と推川さん。
「ごめんね。私、あいつの本性見抜けなかった。あなたのお母さんが正しかった」
「ふむ。若かりし頃は誰にでも間違いがある。そこに気づけたなら、あなたも立派だ」と推川さん。
「お詫びといってはあれだけど、私あなたたちに協力してあげる。ただし、2年の春までのことしか知らないけどね」
「ありがとうございます。とても助かりますし、嬉しいです」と我妻さん。
2人は連絡先の交換をした。
「あとはこの前の続きだけど、小早川と田所はあなたのお母さんが学校に来なくなってから会うようになったかな。街中を2人で歩いているのを何度か見た」
「田所さんが私たちに隠していたなんて」と我妻さん。
「そりゃ、本人からしたら言いたくないものよ」
「田所さんも愛美さんがいなくなった途端に教師に近づくなんて」と推川さん。
「みんなそんなものよ。あなたたちになんて言ったか知らないけど、あの年頃は恋愛が絡むと自分勝手になるものよ」そう言って小杉さんは、我妻さんと見上さんを見る。
しかし我妻さんも見上さんもキョトンとしている。
「あなたたち好きな人いないの?」
「私は母のことしか頭にないので」
「観察すると、悪いところもよく見えちゃうので」
「はぁ……。まあ人それぞれだからいいけどね。」
そして我妻さんを見て、「何か聞きたいこととかある?」と言ってきた。
我妻さんはみんなを見てから「母のこと、小早川さんのこと、田所さんたちのことを聞きたいです」と言った。
「わかった。1つずつ話そう。けどここで話すの?」と小杉さん。
みんなで遠くにいた先生を見る。
そして会話が長引きそうだったので、このままここで話してもいいのか先生に尋ねた。
「なんだ、まだ話すのか。ここにずっといられると下校する生徒の邪魔になる。部室で話せばいい」と先生。
「ありがとうございます」と我妻さんが頭を下げる。
「ただし下校時刻までだぞ」
こうして僕たちは部室へ移動し、話の続きを聞くことになった。




