表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/60

第17話 推川さん

大洗から帰って来たがその後の進展がなかった。


そんな時にふと、僕がミステリー研究会に入部した時のことを思い出した。



高校の入学式、校門付近では激しい部活勧誘が行われていた。


運動部も文化部も初日が勝負と、1年生の勧誘にみんな必死だ。


僕は運動部という柄ではない。


なにか面白そうな文化部はないかと思っていた。


校門での勧誘合戦には行きたくなかったので、掲示板を見てみる。


科学部、生物部などが良さそうだ。


そう思った時、1つの部活が目に入った。


ミステリー研究会。


来たれ!未来の探偵諸氏!


これだけである。


しかし僕の気を引くには充分だ。


さっそく見学をしに行った。


ドアをノックし中に入る。


本を読んでいる者。


窓を開け外の人だかりを見ている者。


パソコンをいじっている者。


本を読んでた者がこちらを見る。


「ふむ。部活見学かな」


「はいそうです」


「君が得意な分野はなにかね?」


「得意な分野とは」


「もちろん探偵におけるだよ。例えば彼女はあらゆるものを観察する。そして見落とさない。彼はネット系に強い。言ってみれば現代型の探偵だ」


「あなたは?」


「私か。強いて言うなら万能型探偵といったところか。時には現場に駆け付け、証拠品を見つけたり、時には部屋から出ずに推理だけで解決。つまり安楽椅子探偵。事件によって使い分けるといったところだな」


「すごいですね」


「それほどでもないよ」


「それで今までどんな事件を解決してきたんです?」


「いろいろだな」


「具体的には」


「いろいろだ」


「なんか怪しくなってきました」


「落とし物を……」


「落とし物?」


「落とし物を探したことがある」


「えっ?地味ですね」


「君、まさか学校を揺るがす大事件とか想像してた訳じゃないだろうね。実際の探偵事務所だって、依頼されるのは、ほとんど浮気調査だよ」


「そうなんですか」


「それで君は得意分野はなんだね?」


「ありません。推理小説をたまに読んだり、ミステリードラマを観るぐらいです」


「探偵じゃないじゃないか」


「探偵じゃなきゃダメなんですか?」


「まあ別にそういうわけでもないが」


「では見学させて下さい」


「ふむ。わかった。好きにしたまえ」


そう言ってその人はまた本を読み始めた。


チラリと見るとモルグ街の殺人と書かれていた。


確か世界最初の推理小説だったような。


結構ベタなの読んでいるんだな。



ミステリー研究会に何度か足を運んで数日経った頃、ミステリー研究会に来訪者がきた。


「あのここで探し物をしてくれると聞いたんですが」と背が高くがっしりした運動部といった感じの生徒がやってきた。


「ふむ。それで何を探して欲しいんだ?」と本を読んでいる者が言った。


「僕はサッカー部なんですが、スパイクがなくなってしまって」


「ほう。いつ?どこで?」


「昨日から。部室に置いていたんですが。あと僕以外にも、もう1人スパイクがなくなっています」


「それは不思議だ。よろしい、捜査しよう」


そう言って本を読む者はその人と一緒に部屋を出ようとした。


「そこの見学者。ちょうどいい機会だから一緒に来たまえ」


「僕もですか。わかりました」そう言って2人についていく。


サッカー部の部室に来ると本を読む人はあたりを観て回る。


部室は校庭の端にある。


そしていくつか質問したのち、部員はミーティングがあるからと去ってしまった。


「そういえば名前を聞いてませんでした」と僕が気づいて言う。


「推川だ」


「推川さん、どう探すんですか?」


部室を出たあと、地面を見ながら「足跡をみてだな」


「この足跡だらけで区別がつくのですか」僕は驚いた。


「いや、足跡多いなと思っただけだ」


「では他には」


「こういうときは基本的な事をする」そう言って地面に這いつくばる。


「何をしてるんですか?」


「タイヤの跡を探している。そこから犯人をだな」


「校庭は車や自転車の乗り入れは禁止です」


推川さんが困った顔で僕を見る。


「君、僕の捜査方針にケチを付ける気かい?」


「いえそういうわけでは」


一通り見た後満足したらしく「不可能なものを取り除けば、残ったものがどんなにありそうになくても真実である」


「ということは」


「あり得ない場所を先に除外し、残った可能性を順番に検証すればいい」


「なるほど」


「校庭にはない。部室内にもない。となると次に探すのは教室か」


推川さんは教室へ行こうと校舎に向かう。


そこへ、あたりをキョロキョロしながら女生徒がやってきた。


ミステリー研究会で外を見ていた人だ。


「見上か」


「捜査の状況は?」


推川さんはここまでの経緯を簡単に説明した。


そしてそのまま3人で校舎へ向かい教室を目指すと、見上さんが「スパイク」といった。


見るとジャージを着た女生徒がスパイクを乾かしていた。


「君、何をしているんだ?」と推川さん


「スパイクが汚れてたので洗ってたんだけど」


僕はまさかと思い「サッカー部のマネージャー?」


「そうだけど。それが?」


事件は片付いた。


サッカー部のマネージャーが汚れたスパイクを洗っていただけであった。


推川さんの渋い顔が印象的だった。



そこで記憶は途切れた。


「進倉何を笑っているんだ?」推川さんが聞いてきた。


「ちょっと少し前のことを思い出して」


「それより小早川の居場所を探すぞ。あり得ない場所を先に除外し、残った可能性を順番に検証すればいい」


「そうですね」


僕と推川さんは地図をみながら意見を言い合った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ