第16話 我妻向日葵
私が生まれて1年ぐらいで母が亡くなった。
もともと泣き虫だったらしい私は、母がいなくなってますます泣いてばかりいたという。
母がいなくなり、抱っこのされ方ひとつにも不安を感じて、毎日泣いていたのだろう。
しばらくして両親がいないということを理解し始めた。
祖父と祖母はいつまでたっても泣いてばかりの私に手を焼いていただろう。
いつの間にか母がいないと言う言葉を知った。
なんでいないのかを聞いて祖父と祖母を困らせたらしい。
祖父と祖母は、私に愛情を注いでくれた。
しかし、親の愛情を知らない私は何処か他人行儀だ。
その後は、父が私を育てなかったこと。
母がすぐに亡くなったことを知ってしまった。
1度、祖父と祖母にあたってしまったことがある。
今思うと、やり場のない悲しみを吐き出したのだろうけど、悪いことをしてしまったと本当に思っている。
2人には感謝をしている。
こういう環境だと、道を踏み外す人が多いと聞く。
少なくても普通に生活できるように育ててくれたことには感謝で頭が上がらない。
幼稚園ではみんな親が送り迎えをしてくれる。
私は祖母が送り迎えをしてくれたが、みんなのお母さんより年齢が高いのが恥ずかしかった。
今思うと、私よりも祖母の方が恥ずかしかっただろう。
ありがとう。
本当に。
この頃になると、私になんで両親がいないのかと聞いてくる子が出てきた。
そんなこと、私が聞きたいくらいだ。
悪気はないんだろう。
でも、その度に傷ついていった。
祖母は小学校での保護者面談や中学校での授業参観や三者面談でも来てくれて嬉しかった。
その頃になると、両親がいない生活に慣れてしまっていた。
1度授業で両親についての感謝の作文を書くように言われた時に、担任の先生が、私を見て「しまった」という顔をしたのを覚えている。
私は「祖父と祖母でもいいですか?」と言った。
先生は「もちろん」と言ったあとホッとしていた。
そうして中学校も中盤にさしかかる。
高校はどこへ行こうか。
そんな時にメモを見つけた。
高校の進路は、その時にはもう決まっていた。
母と同じ高校だ。
そして真相を突き止める。
母は本当に身投げしたのかどうかを。




