第11話 巨大掲示板
部室に戻ってきた。
みんな言葉数が少ない。
それほど渡辺という人に嫌悪感を抱いたのだろう。
我妻さんは一言も喋っていない。
「まずはみなさんどう思いました?」と僕が聞く。
だれもが不快感を表した。
「あいつ相当やばいね。途中から我妻さんのことを値踏みしていた」と見上さん。
「危険なやつだ。注意が必要だと思う」と推川さん。
後は渡辺の言葉を信じるなら、愛美さんが亡くなった時には補習を受けてたってところか。
「新しく小杉さんて名前が出ましたけど」僕が言う。
「う~ん、渡辺にふられてから愛美さんにあたるようになったって人か」と推川さん。
「一応聞きに行きます?」
「現状手詰まりだ。聞きに行こう。なにか進展があるかもしれない」と推川さん。
みんなで電灯さんを見る。
「おいおい名前だけじゃわからないよ。ネットだって万能じゃない」
「となると聞きやすいのは田所さんになるのかな」と僕が言う。
「私が聞いてきます」と我妻さん。
「僕も行こう」
こうして2人で田所さんの家に向かったのである。
田所さんは困った顔をしたが、僕らを迎えてくれた。
「それで今回はどうしたの?」と田所さんが聞く。
僕が今までの経緯を簡単に話、小杉さんと言う人の所在を知っているか聞いた。
田所さんはしばらく考えた。
「詳しくは知らないね。仲がよかったわけじゃないから。違うグループだからね」
「渡辺って人にふられて愛美さんにあたるようになったと聞いて」と僕が言うと
「ああ、そんな子いたね。思い出した。確か2年ぐらいの時に引っ越している。横浜の方へ」
「横浜ですか」と我妻さん。
「それ以上は知らない。ネット君なら調べられるんじゃない?」
どうやら電灯さんのことを言っているようだ。
ついでなので、スマホをだし金庫にあった写真の画像を見せる。
「この人知ってます?」
「小早川先生……」と田所さんの表情が曇った。
「やっぱり」
「これどうしたの?」
「母の金庫から写真と手紙が見つかって」
「そう……」
田所さんはなにか考え込んでしまった。
「田所さん?」と僕が聞くと
「ああ、ごめん。ちょっとね。あとこれから用事があるから」
そこで僕と我妻さんはお礼を言って帰った。
部室に戻ると、まだみんな残っていてくれた。
「どうだった」と推川さん。
「収穫は小杉さんと言う人は横浜の方へ引っ越したことと、愛美さんの金庫から出てきた写真は小早川先生だったってことぐらい」
「まあ小早川さんってのは予想通りだから、裏付けが取れたってところか。問題は横浜だけじゃ小杉を探せないことだな」と推川さん。
しばらくして「ネット万能!」と電灯さんがいきなり言う。
「電灯さんどうしました?」と僕が聞くと
「過去ログを漁っていたら、当時の巨大掲示板の恋愛板にそれらしき書き込みを見つけた」
【好きな人にふられたら、その人もふられてた】ってタイトルで
1:名無しさん@恋愛相談 私都内の高校に通ってるけど、渡〇くんにふられたら、〇辺くんも我〇にふられていた。これってワンチャンある?という文から始まっていた。
そして
2:名無しさん@恋愛相談 いや無理っしょ
3:名無しさん@恋愛相談 相手もふられたなら1ミクロンぐらいは……
4:名無しさん@恋愛相談 しゅ~りょ~
と書き込みが続き
12:名無しさん@恋愛相談 私横浜の菊名に引っ越しちゃうからもう1回告ろうかな
13:名無しさん@恋愛相談 >>12 告っちゃえ
と続いている。
「これ、小杉さんでしょ」と電灯さん。
「ネットすごいな。私のようなロートルの探偵は時代遅れなのだろうか」と推川さん。
「あなた高校生でしょ」と僕がツッコむ。
「つまり菊名に引っ越したんでしょ」と見上さん。
「でも菊名だけだと」推川さん
「まだまだ続きがあるよ」と電灯さん
252:名無しさん@恋愛相談 1です。結局告る前に引っ越しました。新築で高台にある部屋から見る景色は私の心を癒してくれます みなさんありがとう
少しレスは続くがこれでこのスレッドは終わっている。
「当時新築で菊名の高台のマンション、これで調べられる」と電灯さん
しばらくすると「特定完了~!」電灯さんが椅子を回しながら言った。
「ずばりこのマンション」
我妻さんが食い入るようにパソコン画面を見た。




