↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/46

アンジュ関係の投稿にいいねされた僕。とりあえずどうしたものか考えます(2)

前回の続きです

「なるほど、話は分かったわ」

「陽くんにとっては由々しき事態なの把握だよ!」


 ありのままを話すと二人はすんなり納得してくれたようで一安心。まだ何も起こってないけど、アンジュの性格上、何かしらのアクションは起してくる。実例を挙げると前にあのオバサンに物申した配信者が執拗に嫌がらせされた。結論を言うと嫌がらせされた配信者は今も元気に配信活動を行っている。行ってるんだけど……度々話してる通りあのBBAは複垢まで使って自分の気に入らないは人に嫌がらせをする。アンジュって配信者が一匹見たら百匹いると思えっていうアレに見えてきた今日この頃


「分かってくれて何よりだよ。それより……」

「分かってるわよ。配信じゃアンジュさんの名前は出さないわ」

「私も!」


 新人や個人勢のVtuberは何だかんだで横の繋がりを大切にしなきゃならない。活動の幅を広げるためには当然と言えば当然。コラボだったり、イベント企画だったり。何かと横の繋がりが重要になったりならなかったり。アンジュは配信をすると呼吸するが如く愚痴と悪口、暴言しか吐かない。オマケに借金ガーとか、体調悪くてーとか、何かにつけて悲劇のヒロインアピールが多い。余程盲目的なファンじゃない限りアイツを推す人間なんていない


「それは当たり前。もう一つ、水無月ててさんがした事は僕達だけの秘密にして。瑞樹さんはもちろん、繋がりのある配信者には絶対に言わないで」


 恋紋さんと凛瑠葉さんがどんなVtuberと繋がりを持っているのか知らないし興味もない。だけど、配信やSNSでアンジュに物申したりなんかするとどうなるかは明らかだ


「分かったわ。配信じゃアンジュさんの名前を出さないしSNSであの人に対して物申したりもしない。当然、Vtuber仲間にも言わないわ」

「もし、アンジュさんに物申そうとしてる人がいたら注意しとくね!」


 二人はその後で「納得いかないけど……」と呟いてたけど、僕としてはアンジュに絡まれたとしても大人しくしててくれた方がありがたい。余計な被害者を増やさずに済む


「そうしてくれると助かるよ」


 この日は義姉二人に釘を刺すだけで終わった。数日後、水無月ててがとんでもない事になるとはこの時の僕は思いもしなかった








 義姉二人に釘を刺した日から数日が経過。特にこれといった出来事がなく、僕は平和な昼のひと時を過ごしていた。恋紋さんは大学の用事で外出中で瑞樹さんは仕事。家にいるのは僕ともう一人だけ。いくらアンジュでもいいねを押しただけの人を攻撃するような野蛮じゃないだろうと思っていた。この時までは


「陽くん!! 大変だよ!!」


 慌てた様子の凛瑠葉さんによってリビングのドアが勢いよく開けられ、僕はソファーから落ちそうになったところをギリギリで踏み留まった。普段大きな声を出さなくなった彼女が大声を上げるだなんて相当だ。


「ど、どうしたの?」

「これ見てよ!」


 そう言ってこちらに大慌てで駆け寄り、スマホを突き付けてきた。

「これって……」


 彼女のスマホには8Uという名前のアカウントの投稿。これはアンジュの複垢だ。そこに書かれていたのは────


 “水無月てては嫌がるアンジュに数年前からストーカー行為を働いてます(´;ω;`) 助けてください”


 という根も葉もないデマ。いいねを押し、拡散してるのはアンジュの複垢と囲いのみ。返信は水無月てて本人による否定文とアンジュ討伐隊さんを始めとするアンチアンジュの方々による意見や批判だけだったのは幸い。だけど、デマでも企業案件を狙っている人間にとってストーカー行為疑惑はいいものではない


「陽くん……」

「はぁ……」


 不安気な凛瑠葉さんを余所に僕は溜息を吐いた。いつもの被害妄想なのは分かりきっているんだけど、どういう経緯でこうなったのか把握できてない。何がどうなっているんだ?


「アンジュの被害妄想がまた出たのは理解したけど、何がどうなってるの?」


 被害妄想キチガイBBAアンジュの事だから今回の事は赤ちゃんの夜泣きみたいに突発的なものだろうけど、状況の把握は必要だ。まさかとは思うけど、水無月ててがアンジュに対して物申したりはしてないよね? いくらライオンの檻にエサ持って飛び込むバカでもそこまでしないよね?


「わ、私にも分からない……ただ、休憩がてらSNSしてたらこれが流れてきて……」


 戸惑いを隠し切れない様子の凛瑠葉さん曰く、今の今まで勉強してたらしく、気分転換にSNSを徘徊していたところにアンジュの複垢によるデマが流れてきたとの事。よく見るとハッシュタグにVtuber関連のものが付いている。目に留まるわけだ


「ハッシュタグにVtuber関係のものが付いてるから無理もないか……」


 ハッシュタグに付けられているのは次の三つ。“#新人Vtuber”“#Vtuber好きと繋がりたい”“Vtuber”これじゃ全Vtuberの目に留まるのも当然だ。いや、Vtuberだけじゃなく、Vtuberが好きな人の目にも留まる


「う、うん……ねぇ、どうしよう……」


 どうしようと言われても……


「消せって言って聞くような相手じゃないからアカウントそのものを凍結させるしかないよ」


 アンジュに関係なく被害妄想に取り憑かれた奴は何を言っても聞き入れはしない。リアルなら適当に流して放置なんだけど、ネットじゃそうはいかない。消したところでスクショを撮られてたら手遅れ。本人の為にも早いとこ手を打たないと。本当は投稿した本人に消してもらうのが一番早いんだけど、言って聞くような相手じゃない。残された手段はアカウントの早期凍結


「それしか……ないよね……」

「ないね。凛瑠葉さんはアンジュの事ほとんど知らないだろうけど、アイツの被害妄想は赤ちゃんの夜泣きと一緒で突発的なもの。オマケに人の意見を取り入れようとしないから何を言っても無駄。消せって言ったところで聞きはしないよ」

「そう……だよね……」


 水無月ててを心配してるのか、アンジュを気遣っているのかは分からないけど、凛瑠葉さんの表情は明らかに暗い。多分前者だろう


「当然だよ。何? アンジュが可哀想?」

「ううん……アンジュさんよりててちゃんの方が心配かな……大切なお友達だから」

「そっか」


 大切な友達……か。この口振りだと凛瑠葉さんは水無月ててとコラボした事があるようだ。僕からすると自らライオンの檻に飛び込んできたバカでしかないけど


「私、他の子に言ってアンジュさんの複垢通報してくれるように頼んでくるね!」

「不用意にアンジュに関わるべきじゃ────」


 凛瑠葉さん止めるのも聞かず、自室へ戻ってしまった。残された僕は……


「はぁ……新人Vtuberはどこまでバカだったら気が済むんだ……」


 新人Vtuberのバカさ加減に呆れるしかなかった。友達を大切にするのはいい事だし、助け合うのは素晴らしいと思う。だけど、友達を助けるのと無謀は違う。困っている事があって相談に乗るのが助け合い。叩かれてる人間に自ら関わるのは無謀。凛瑠葉さんの行動は後者。バカもいいところだ


「全く、どいつもコイツも……」


 僕は呆れながら自室へ戻った






 自室へ戻るとすぐにパソコンを起動。SNSアプリを開き、アンジュ討伐隊さんへアンジュの複垢を通報してほしい旨のDMを飛ばした。でも……


「僕達だけじゃ圧倒的に数不足なんだよね……」


 凍結させるだけだったら僕達アンチアンジュで事足りる。投稿された記事をひたすら通報するだけだもん。けど、今回みたいに早期凍結を狙うなら圧倒的に人手が足りない。凛瑠葉さんと交流のあるVtuber達で頭数が足りるかどうか……


「勘弁してよね……」


 意図してない形でアンジュに目を付けられ、被害に遭ったなら同情の余地はあるけど、水無月てての場合は遅かれ早かれ被害に遭うのは目に見えていた。まさか僅か数日で被害に遭うとは思わなかったけど


「企業案件狙ってるVtuberが軽率な行動しないでほしいよ……」


 企業勢がアンジュに物申しても事務所やリスナーが守ってくれる。大して新人や個人勢のVtuberは違う。守ってくれるのはリスナーのみ。事務所に入ってないからアンジュみたいなアタオカに一度目を付けられたら当分は粘着されるだろう。水無月てての行動には呆れかえるしかない


「こういうバカがいずれ取り返しのつかない事になるんだよなぁ……」


 企業勢が炎上した時ですら鎮火するのはかなりの労力が必要だというのに……新人や個人勢が炎上したらと思うと頭が痛い。僕には関係ないけど




 数分後、アンジュ討伐隊さんから一言「任せろ!」とDMが来た




今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。