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アンジュ関係の投稿にいいねされた僕。とりあえずどうしたものか考えます(1)

今回は……うん。多くは言いません

 突然だけど、みんなに聞きたい事がある。みんなはSNSで“いいね!”を付ける時の理由って何かある? 例えば、自分の興味があるジャンルの投稿だったとか、例えば、好きな事あるいはものに関しての投稿だったとか。理由は色々あるだろうし、あっていいと思う。ただ……


「バカじゃないの?」


 無関係な人が炎上してる人や叩かれてる人に関係する投稿に何かしらの反応を示すのはバカだとしか言いようがない



 “水無月ててさんがあなたの拡散にいいねしました”


 自室で一人この通知に頭を痛めていた。いいねを押されたのはアンジュ複垢疑惑の投稿。調べた結果、この水無月てては瑞樹さんと同じ新人Vtuber。プロフィールにはご丁寧にDMはコラボか企業案件のみと書かれている。ハッキリ言わせてもらおう。この新人Vtuberはバカである。何にいいねを押すか、何を拡散するかはその人の自由。僕がとやかく言う事じゃない。だけど、叩かれてる人間に関する投稿にいいねを押すのはエサを身体に巻きつけた状態で猛獣の檻に飛び込むのと同義。バカの所業としか言いようがない


「はぁ……美南海さんといい、この水無月さんといい……新人Vtuberはバカばっかりか……」


 僕やアンジュ討伐隊さんといったアンジュと戦う面々は別にいい。オバサンを知ってる人達だから。法律に関係なくそれなりに知識を持っているだろうし。でも、こういう何となくいいねを押しただろうVtuberは困る。本人は何気ないつもりだったとしても叩かれてる当事者────アンジュに狙われる可能性があるんだから


「どうしたものか……」


 美南海さんもだけど、ネット上で僕と関わってアンジュに狙われたら目も当てられない。アンジュと関わらずに済むのに……本当にどうしたものか……


「アンジュの被害妄想も新人Vtuberのバカさ加減もなんとかならないかなぁ……」


 全ての新人Vtuberはバカだと言うつもりはない。だけど、ごく稀にこういう危機管理がなってないVtuberが出てくる。情報の取捨選択はちゃんとしてほしいものだ


「あのオバサンがエゴサした上でのストーカー行為を止めれば半分は解決するんだけどね」


 配信者にエゴサをするなというのは無理。誰だって自分の評価は気になるし、リスナーが自分の事をどう思っているか、何て言ってるかを気にせずにはいられないだろう。だけど、それとストーカー行為は別物で自分に物申してる配信者の枠に複垢を使ってまで荒らしに行っていいわけじゃない。物申してる人が遊びに行ってる配信者の枠を荒らしたりするのは間違ってる。文句があるなら直接DMに来てほしいんだけど……あのオバサン本当にビビりだからなぁ。それと、半分って言ったのには深い意味がある


「はぁ……今のところ被害者何人だったっけ……」


 アンジュがエゴサを止めた上でのストーカー行為を止めれば半分解決するのは間違いじゃない。だけど、あくまでも半分だけ。この意味はストーカー行為を止めたところで謝罪しないと意味がないから。だから解決したとしても半分だけ。被害者達に謝罪しなければ何の意味もないんだけど、アンジュの謝罪と言ったら……何に対しての謝罪か分からず、最終的にごめんねを連呼するだけ。文章にすると絵文字と英語混じりのまるでギャルとかのメール感覚の文章。とても大人の謝罪文とは思えない。結論を言うとアンジュに謝罪する意思はない。アンジュのせいで被害に遭った人は数知れず。今更謝ったところで遅いとは思う


「あのオバサン早くネットから消えないかなぁ……」


 アンジュのせいでみんなが迷惑しているのは事実。被害者は配信者だけじゃなく、絵師だったり、一介のリスナーだったりと多岐に渡る。話を戻そう。当面の問題は水無月ててをどうするか……


「絶対に俄か知識だよ……」


 頭痛が止まらない。何気ないだろう行動にここまで頭を悩ませる羽目になるとは思わなかった


「考えても仕方ないか……」


 僕はアンジュ討伐隊さんの投稿をいいねしただけ。水無月ててさんは僕のいいねした投稿に便乗する形でいいねしただけ。客観的に見ればSNSでよくある光景。アンジュ関係の投稿じゃなかったらね。でも、考えても仕方ない。いいねを押した水無月ててはバカだと思うけど、なるようにしかならない


「どうにでもなれ……」


 僕は運を天に任せるとスマホを机に置き、部屋を出た。早め早めの行動は大事だけど、考えても仕方ない事だってある。今回の水無月てての件がそうだ。考えても仕方ない







「おはよう、陽人」

「陽くん、おっは~」

「おはようって時間は……とっくの昔に過ぎてるんだけど……」


 リビングに入ると恋紋さんと凛瑠葉さんがちょうどキッチンから出てきた。鼻孔を擽る甘い香り……お菓子か何かを作っていたらしい。時計を確認すると午前十時を指しており、おはようと言うには遅すぎる


「関係ないわ。それより、陽人は今まで私達を放置して部屋で何をしていたのかしら?」

「私達より大事な事だったの?」


 ハイライトの消えた目でこちらを見る恋紋さんと凛瑠葉さん。この二人に水無月ててがアンジュ関係の投稿にいいねを押したんだけど、どうしたらいい? とは聞けないよね……彼女達はアンジュの事を知らないわけじゃないけど、今後の事を考えると言えない。ここで揉めてコラボ相手を減らすのは忍びないと思いながら自分の席に着く。僕に倣って二人も自分の席へ



 自分の席へ着いたのはいいんだけど、ハイライトの消えた目で見ないでほしい。怖いから


「二人より大事ってわけじゃないんだけど……ちょっとね」

「もしかしてアンジュさん関係の事かしら?」

「そうなの? 陽くん?」


 お茶を濁したつもりが見事に見破られてしまった。やっぱバレるよね……


「そうだけど……今回ばかりは二人には言えない」

「言えない理由を教えてくれるかしら? 理由がないと浮気と断定するわよ?」

「そうだよ~言ってくれないと浮気認定しちゃうよ~」

「おかしくない?」

「「おかしくない」」


 声を揃えないでよ……


「隠し事しただけで浮気認定はさすがに理不尽だと思うんだけど……」


 人間誰しも隠し事の一つや二つあるでしょうに……


「確かに理不尽よ。でも、私達は陽人に隠し事されるの結構辛いのよ。義姉としても女としてもね」

「やっと陽くんと本当の家族になれたのに……隠す事はヤだよ……」


 悲痛な表情で僕を見る恋紋さんと凛瑠葉さん。うっ……こんな顔見せられたら冷たく突き放せない……けど、突き放さなきゃ……


「私達は頼りないかしら?」

「信じる価値ないのかな……」


 止めて……泣きそうな顔で僕を見ないで……


「えっと……頼りないとか、信じる価値がないとかじゃなくて……その……」

「その……何? 私達が頼りないのならなんなの? 浮気? 浮気なのかしら? 私達の何がいけないと言うの?」

「陽くん、私達じゃ満足できないかな? 私達の何がいけないの?」


 何ですか? メンヘラですか?


「えーっと……二人にいけないところがあるとかじゃなくて……ね?」

「ね? じゃ分からないわ」

「そうだよ。ちゃんと言って」

「いや、悪いところないから言いようがないんだけど……」

「なら何で隠し事をするのかしら? アンジュさん関係だったら私達にも知る権利はあると思うのだけれど?」

「そうだよ。同じ配信者として知る権利があるよ」


 知る権利があると言われましても……確かにアンジュ関係だけど、今回はアンジュが直接の原因じゃなくて、アンジュに関係する投稿にいいねが来たって話で対策を立てるべき話ではあると思うけど、相談するような話じゃない。今後コラボするかもしれないと思うから黙ってるだけで


「知る権利はあるんだろうけど……今後のコラボとかの関係で話していいかどうか分からないんだよ。コラボできる人の枠って事を考えると話さない方が確実に二人の為なんだけどさ」


 本音を言うなら水無月ててもアンジュなんかと関わるべきじゃない。新人Vtuberがアンジュ関係の投稿を見た時は警戒心を持ってスルーしてくれたら僕としては助かる。僕の思いを露知らず、二人の視線が鋭くなる


「それを決めるのは私達で陽人じゃないわ」

「陽くんが私達の事を思ってくれるのは嬉しいけど、勝手に決めないで!」

「ゴメン……」

「分かればいいのよ」

「そうそう! それより、何があったかちゃんと話して!」

「分かった。実は────」


 僕はとりあえずありのままを話す事にした。二人が配信でアンジュの話題を出さない事を信じて








今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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