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レイ君の『悪しき神という悪者が本当に存在するのか』という、シンプルな疑問に誰も答えられなかった。
しかし、『いない』と証明することはできない。
センターで調査すれば、実在するかどうかは証明可能だが・・・。
「なるほど・・・。しかし、彼女はそう思い込んでいるからねぇ。そんなものいない、と言ったところで信じるとは思えないなぁ。」
「ですね。結界を張るぐらいですから、なにかしらの脅威はあるのでしょう。それが隣国の脅威か、または天災か。」
― 確かに日本の伝承にも、似たようなものがあったかも。
噴火や洪水は、神様がお怒りになった結果とか、疫病は悪霊の祟りだとか。
「もしかしたらさー、ドラゴンの群れの大移動なんてのもあるかもねー。」
「その線も無きにしも非ずだな。そんなもの見たことのない人間にとっては、空飛ぶ異形のものはそう表現するしかないだろうしな。」
「ははは、君たちも壮大な物語を描いているようだね。では、ここは天災と仮定しよう。ドラゴンの大移動も天災に違いないだろうからね。」
こうして、私たちの中では『悪しき神=天災』ということで話を進めることにした。
「では、具体的に天災から国を守るために必要なものは、なんだと思うかね?」
マイケル先生の問いに、思い浮かぶのはヘルメット、耐火金庫・・・地下シェルター。
「頑丈な建物とか、地下シェルター・・・でしょうか。」
「彼女の断罪劇は2年後といったね。2年という短期間では、とてもじゃないけど施設は建設不可能だ。」
私たち3人は、マイケル先生の言葉に頷く。
マイケル先生の意見を受けて、次に口を開いたのはリュウ先生だった。
「となると、あらゆる天災を弾く魔法を開発すればいい、ということですね。それがシェルターの代わりになる。」
「それが手っ取り早いだろうねぇ。その魔法が一つの属性によって可能かどうかは、残念ながら私にもわからない。ここは専門家の意見が必要になるね。」
「王子様とヒロインちゃんの覚醒って、なんの属性なのかなー?一周回って、無属性の魔法だったりして―。」
― レイ君って、実は相当キレ者なんじゃないだろうか。
ドラゴンの件といい、魔法の属性の話といい、ツッコミが鋭すぎる。
「・・・・・・各属性にも、そういった性質の魔法はあったはずだが・・・。」
― あるの!?なんでリュウ先生がそんなこと知ってるの・・・って、図書室の蔵書からの情報か。
つか、どんだけ情報つめこんでるのよ!
「そうか、各属性の魔法を展開し、それで天変地異に備えていた、というわけか。ただその方法だと綻びが生じる・・・」
リュウ先生のブツブツモードが始まった。
薬の開発の時もそうだが、研究モードになるとこのスタイルになる。
「室長センセー?」
「4つの・・・いや、6つの魔法を重ねれば、すべてをカバーできるのか?それが可能なのか?相反する属性の魔法を重ねて、相殺されることはないのか?」
「リュウ君?」
「天災は、純粋な物理エネルギーの移動・・・なるほど、無属性魔法だと、その弱点がカバーできる、となると・・・」
「リュウ先生!戻ってきてください!!」
ようやく、ハッと我を取り戻したリュウ先生であった。
「あ・・・ゴホン。大変失礼しました。」
「リュウ君は相変わらずだねぇ。君の呟きを聞いていたら大体わかったよ。やはり魔法の知識は必要だね。その件は僕からルキウス君に依頼しよう。では、話をまとめるよ。」
マイケル先生は、よいしょっと立ち上がり、なんちゃってボードの前に立ち、赤いペンで今後の対策を書いていく。
人体実験は、センターでの学習に置き換える。
男遊びは、アズ師匠のお店で従業員を侍らせる(コスプレ付き)。
平民の少女への攻撃は、貴族としてのマナーやルールについての叱責とする。
王子様とは、こちらから婚約破棄に持っていくように仕向ける。
そして、手を洗う行動の前に、気持ちを落ち着かせるためキャンディを食べさせる。
お肌に優しい石鹸と、ハンドクリームでケアをさせる。
それでも症状が悪化するようなら、センターで強制保護する。
以上のことを共有し、この日の対策会議はお開きとなった。




