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『いつもと変わらない』と言った赤薔薇の君。
その口調も表情も、確かにいつもと同じだった。
どこか挑戦的で、良く言えば意志が強い、悪く言えば少々上から目線の、そんな態度。
それでも、手袋に皺がよるほどギュッと手を握り締めていた。
『いつもと変わらない』立ち居振る舞いをするのに、無理をしているのではないだろうか。
それが、仕事に関わることなのか、それともなにか別に原因が・・・?
赤薔薇の君が行った世界は、魔法が存在する世界。
魔法とか魔力に、まーったく縁のない私が聞くのもアレだけど、仕事の方面から探りを入れてみようと思い、彼女に話しかけてみた。
「お仕事で魔法を扱うって言ってましたけど、具体的に聞かせていただいても?」
赤薔薇の君が、怪訝そうな表情をこちらに向ける。
何回か面接に来ているが、私が話しかけたのは実は初めてだったりする。
そりゃ、そんな表情にもなるか。
「あ、突然すみません。実は私、そういった能力がまるでないみたいで。同じ女性が魔法を使って活躍されているのって、すごく憧れちゃうんです。なのでお話を聞かせてもらえたらな、と思って。」
「・・・あなた、ミサトさんって言ったかしら。じゃあなんでここにいるのかしら?」
― それは、私が聞きたいよ!
自身のプライベートは開示しない、というルールを設定したけど、彼女の警戒心を解くためには必要だ・・・多分。
後で、ペナルティが・・・リュウ先生のペナルティが・・・・・・・。
いや!ここは転移者である彼女が優先!腹を括るのよ、私!!
「私の場合は、他の人に巻き込まれちゃったので。望まれて召喚されたわけじゃないんですよ。」
もはや自虐ネタである。
赤薔薇の君が驚いた表情をしている横で、レイ君も同じような表情になっていた。
「そう・・・それは失礼な言い方してしまったわね。」
「いえいえ、大丈夫ですから気にしないでください。」
「私の仕事の一つは、主に魔力の提供かしら。私のいる国は結界で守られているの。それを維持するのが私の、というより、これは家の仕事ね。」
― お、話してくれるんだ。
「お家の仕事とは・・・一つの家で国を守る結界を維持しているのですか?」
赤薔薇の君が、『めんどくせーな』と言わんばかりに、はぁ~っとため息をつく。
「魔法には属性があるのはご存じ?」
― そのくらい、私にもわかるってばよ!
「属性と言えば、火や水、といったものですよね。」
「さすがにそのくらいはわかるのね。家ごとに得意な魔法があってね。私の家は火を扱うの。」
― やっぱり、魔法って見た目に反映されるんだろうか。
その鮮やかな緋色の髪といい、攻撃的な物言いといい、『火』そのまんまだもの。
彼女の説明は続く。
彼女の世界では、魔力があるのは貴族だけであり、平民にはそれがない。
特別な力を持つ貴族の義務として、国や国民のために力を使う、らしい。
火、水、風、地・・・その属性のスペシャリストが侯爵家と呼ばれている。
さらに、光と闇を扱う家は、公爵家と呼ばれ、貴族の中で一番身分が高い。
そして、この6つの属性を合わせて、国の結界を維持している、ということであった。
「なるほど・・・国を守るのですから相当な魔力が必要なのでしょうね。一つ、と仰ってましたけど他にもなにかされているのですか?」
「本当にわかってるのかしらね?・・・まあいいわ。もう一つは私の個人的な事業よ。」
「個人的な事業ですか?」
「ええ。前の世界の知識を活かして、女性向けのお店をね。だって、窮屈なんですもの、いろいろと。ぜんっぜん機能的じゃないし!それなら、私が作るしかないじゃない?」
― す、すごいな・・・まるでラルドさんを見てるみたいだ。




