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「それで、この私にどういったことを聞きたいと?」
足を組んだ膝の上で両手を組み、ラルドさんがニッコリと笑っている。
正面のリュウ先生は、これまた足を組み腕組みをしたまま厳しい表情をしている。
「数ある国の中のひとつ、君はとある国の宰相だ。その世界には長年人間に害をなす共通の敵がいる。」
「ふむ・・・異種族が人間の国を脅かしている、と。」
「各国で小競り合いしている場合ではない。お互い協力しながら事にあたっていた。しかし、君のいる国で勇者が召喚され、とうとう悲願を果たした、とする。」
― やっぱり勇者様のことだ・・・。
ラルドさんは、ふむふむ、と相槌を打ちながら聞いている。
「人類共通の敵は消えた。見事討伐を果たした勇者一行に褒章を与えなければならない。君ならなにを与える?」
「手っ取り早いのは金銭、宝石、名誉、そういったところですね。しかし、その勇者の性格、各国のパワーバランス、内政状況、これらの状況を総合的に判断しないといけませんので、その情報だけだとなんとも答えられません。」
「だよなぁ・・・。」
これ以上詳しく話すと、守秘義務に抵触する。
世界が違うから、ラルドさんは誰の事かなんてわからないだろうけど。
だからと言って、これ以上詳しく話すのはよろしくない、とリュウ先生も思っているのだろう。
「ふふっ。あなたがたには守秘義務がありますもんね。今から話すのは私の独り言ですので、お気にせず。」
不敵な笑みを浮かべ、ラルドさんが話し始めた。
「召喚された者は、その国の貴族ではないので身分は平民。さらに勇者ともなると、体力気力に満ち溢れ、自己犠牲も厭わない、人の好い好青年なのでしょう。間違っても屁理屈をこねるリュウさんや私のようなタイプではないでしょうね。」
― 自覚あったんだ!
「まあ、悪く言えば脳筋タイプってところですかね。私なら、絶対に平民として街に放ちません。なぜならいい神輿になるからです。ですので、牙が向かないようこちら側に取り込みます。理想はその国の王女との結婚。追い出したい王女がいるのならベストですね。王家と婚姻関係になるのですから、それがどういうことかくらい、さすがの脳筋でもわかるでしょう。」
― まるで、勇者様の顛末を見てきたような言いぶりだな!
・・・まさかね、そんなわけないよね。
「街に放さず、どこに追いやる?」
「各国の状況次第ですね。隣国とバチバチなら、そのあたりの領地を。ま、抑止力ってところですね。反対に仲良しこよしの国ばかりで、今後、戦の心配もないのなら・・・」
― ないなら・・・?
「勇者様には消えていただきます。」
― ・・・・・・は?
『消えて』って、まさか、まさか、亡き者にしちゃうということ!?
「・・・やはり、そうくるか。」
― リュウ先生の心配って、これだったの?
なんで?どういうことなの?
見ず知らずの国の人たちのために、魔王を討伐して平和をもたらした勇者様が、なぜ消されなきゃいけないの?
・・・そんなの、あんまりだ・・・。
「なんでって顔されてますね、ミサトさん。各国が倒せなかった異種族の討伐を果たした、勇者の戦闘力は凄まじいのでしょう。しかし、平和な時代において、過度な戦闘力は逆に国の脅威になります。かといって、他国には絶対渡せない。となれば、穏便に消えていただくのが一番なのです。」
「王女はどうする?」
「扱いに困るような王女であれば、もろとも、ですね。」
― 身分の低い母親の元に生まれ、不遇な扱いをされてきたという王女様・・・は・・・。
「それともう一つ。私が他国の宰相でしたら、刺客を送ります。勇者を先頭に攻められたらたまったものではありません。返り討ちにされるでしょうが、疲弊させるのも目的の一つなので。」




