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その後、今後については、領地に到着し落ち着いたら、定期的に面接を再開することにして本日の分は終わった。
張りつめていた気が緩んだのか、ずいぶんと素直すぎる勇者様であったが、ヤケを起こしそうな不安定さは感じられなかったし、間違っても領民から税金を搾り取るような悪徳領主にはならなさそうだ。
きっと、王女様と大変ながらも穏やかな生活を送っていくのだろうと感じられた。
しかし、勇者様を見送るリュウ先生の表情は、少し厳しかった。
なにか、心配なことでもあるというのだろうか。
「どうなることかと思いましたが、心配なさそうですね。」
「ああ、そうだな。ようやく腹を括ったんだな。」
「リュウ先生は、彼女さんのことには触れませんでしたね。」
「新しい女ができたのに、前の女のことをどうこう言ったって意味ないだろ。」
― そんな、生々しい言い方しなくても!
「そりゃそうですけど、言い方・・・。リュウ先生?なにか心配事でも?」
「まあ、ちょっとな。杞憂であればいいんだが・・・。」
― リュウ先生にしては、ずいぶんと歯切れの悪い・・・珍しいな。
なにをそんなに心配してるのかしら・・・2人の浮気とか?領地経営とか?
そんな時、三室のドアが開いた。
「こんにちは~、あなた方の友人がいらっしゃいましたよ~。」
その声は、ラルドさんだった。
「ずいぶんとタイミングのいい登場だな。ていうか、なんの用だよ。アポなしの訪問は受け付けないんだけど?」
「またまたぁ、そんなこと言っちゃって!友人がフラッと訪ねてきたのですよ?本当は嬉しいくせに。それに、先刻どなたかの面接が終わったのでしょう?あたながたの予定が空いているのは把握済みですよっ!」
― そんな情報、どこから入手しているの!
相変わらずのラルドさん節である。
このまま放っておくと、エンドレス論争になりそうなので、先に用件を確認することにした。
「ラルドさん、お元気そうでなによりです。それで、どういったご用件ですか?」
「ミサトさんもお変わりなさそうで。本日はハーブティーをいただきにあがりました。」
「・・・あのなあ、あれは患者用だって何回も言ってるだろうが。」
「私だって転移者で患者だって、何回も言ってますよね。私の心の安寧のために、あれが必要なんです。」
毎度毎度、このやり取りだ。
結局リュウ先生が折れて、ハーブティーを渡す羽目になるんだから、最初から渡しとけばいいのに。
「・・・なら対価を持ってこいってんだ。ああ、そうだ。ハーブティーを渡す対価として、宰相としての君の知識を渡せ。」
「おや、この私の知識を必要としていると?そんなに安くはないんですけどねぇ。」
「あ?じゃあ、二度と俺の作ったものは渡さないからな。」
「やだな、ちょっとした冗談ですって!あまりにも珍しいことを言うもんだから、ついうっかり。」
― だから、『うっかり』ってなに!
「残念ながら俺には宰相としての経験なんてないからな。経験者の意見を聞きたい。」
「仕方ないですね~。ちょっとだけですよ?」
― まったく、ラルドさんも素直じゃないな~、本当は頼られて嬉しいくせに。
ほんと、この二人って似た者同士だな!
「立ち話もなんですから、場所を移しましょう。今、お茶を淹れますね。」
「さすがミサトさん。いつもながら小憎らしいお心遣い、痛み入ります。」
― また、この人は・・・いちいち一言多いんだから。
宰相としての意見を聞きたい、とリュウ先生は言っていたが、どういうことだろう。
勇者様に関することに違いないだろうけど、褒章である爵位と領地を与えて終わりではないということ?なにか裏があるということ?
漠然とした不安の中、3人分のコーヒーを淹れ、調剤室へと運ぶ。




