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ケヴィン様から上品なフレーバーティーをいただき、エメラルドの聖女様の裏話を聞き、あらためて神様は怒らせちゃいけないことを再確認して、教会を後にした。
『またいつでもいらしてくださいね。また新作のお茶を用意してますから!』とキラキラのケヴィン様に見送られた。
・・・以前の厳しい顔はどこへやら、最近は特に優しく感じるのは気のせいだろうか。
「只今戻りました~。」
「ずいぶん遅かったな。どこで油売ってたんだ?」
リュウ先生が、仁王立ちして待っていた。
― ひ、ひぃぃ。
「すみません。ケヴィン様からいろいろとお話を伺ってまして・・・遅くなりました。」
「ジジィ神官が、なんの話だよ。」
「あ、聖女様の裏事情です。まさかあんな理由で・・・。」
「ああ、そのこと。いいんじゃないの?本人がやる気なんだから。」
― ずいぶんとテキトーだな!
「はあ・・・まあ。体壊さなきゃいいですけど。」
「なんだ、その顔は。なにか納得できないことでもある?」
「いえ、ああ、あの王子様の話って・・・あそこにもともと王子様って存在してたのかな~と。ずいぶんと都合がいいなあ~と、ちょっと思いまして。」
「・・・ミサ、世の中には知らないほうがいいこともある。」
― ・・・やっぱり・・・。
「・・・・・・人間の方、なんですよね。」
「そこまでは、俺は関わってないから知らないけど、そうなんじゃないかな。」
「そもそも、あそこに王国なんてあったんですか?」
「それはちゃんと存在してたらしいぞ。んなもん、神様だって一からすべて整えられないだろうさ。ただ、王宮があったのか、そこに何人残ってたのかは知らないけどね。」
― 王宮として機能しないほど、過酷で貧しい土地ってこと・・・。
それは、どちらかといったら、罰ゲームなんじゃないのかしら。
「聖女様のやる気に関わることだし、こっちにベッタリされても困るからな。そこはなんとかしろってお願いした・・・くらいだよ。」
― なんとかしろって言って、なんとかなるものなの、それ。
それに、リュウ先生の『お願い』って、いつも脅しじゃないの。
なにをネタにケヴィン様を強請ったのよ・・・おいたわしや、ケヴィン様。
便利で暮らしやすい土地に残っても断罪コース、本物の聖女様として崇められ、ロマンスまでくっついてくるけど、生きていくだけで精一杯な土地。
確かに、後者のほうがいいに決まってるけど、大変なことに変わりはなくて・・・。
次に三室に来た時には、もうちょっと優しく接しよう、と心に決めた私である。
「それはそうと、ルカ君とミカ君のほうはどうでしたか?」
「ああ、勇者君は街から戻って、王宮にいるらしい。ただ・・・」
― 良かった、無事だった。
「ただ、どうしたんですか?」
「戻ってくるなり、部屋に閉じこもって出てこないらしくてな。」
「え・・・?出てこないって、引きこもりですか?彼女さんには会わなかったんですか?それに祝勝会は?」
― 引きこもるくらい、ショックなことがあったの?
王女様との結婚がナシになったとか、褒章自体がなくなったとか!?
「祝勝会は、どうやら来週みたいだな。外国からの招待客もいるから、かなり大掛かりな催しらしい。国としては、軍事力を見せつけたい意図もあるんだろうな。」
「軍事力って・・・魔王を倒した方たちのお披露目ってことですか?」
「そう。ウチにケンカ売ったら、魔王に勝ったこいつらが黙ってませんよ、ってヤツだな。」
「なるほど・・・なんか、見世物にされてるみたいで、いい気持ちしませんね。」
「仕方ないだろう。それが政治っていうもんだ。」
― そういうものか・・・私にはさっぱりわからない世界だ。
「ルカ君とミカ君に、勇者様の様子を探ってもらうことは出来ないんですか?」
― あの双子君たちだったら、屋根裏とか、通気口とかから、こっそり部屋が覗けるのでは!?
「仮にも魔王を倒した勇者だぞ?誰かの気配なんてすぐ察知する。それに双子の潜入がバレたら、不信感しか生まれない。勇者君が気持ちの整理をしているだけだといいがな・・・。」
結局、勇者様から面接の予約が入ったのは、それから二週間後のことであった。




