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『立ち話もなんですから』と、中に通され、ケヴィン様特製のフレーバーティーが出される。
最初は断ったものの、『たまには息抜きも必要ですよ、ミサトさん。』とキラキラマシマシに微笑まれ、さらに『実はですね、新作を作ってみたんです。ぜひ感想を聞かせてもらえませんか。』とお願いされて、余計に断りづらくなってしまった。
今回のフレーバーティーは、ほんのりピーチの香りがした。
そして優しい甘さ・・・ジン様の世界で採れた果物でも使っているのかしら。
とても上品な香りと甘さであった。
「ミサトさんも聖女様にお会いになったのですね。あの方は使命感やら責任感のお強い、真面目な方ですからね。ああいった土地でも真摯にお役目に向き合ってくれるだろうと思っていましたが・・・その通りでした。」
― 真面目なのはその通りですが、でも、か弱い女性には、あまりにも過酷な環境じゃあないのかしら。
あの護衛の方が日焼けするぐらいだもの、相当暑い国に違いない。
「その・・・どうしてそんな場所をお選びになったのですか?」
まさか聖女様自ら志願したわけではあるまい。
「いやね、女神様に相談したところ、『あっ!ちょうどいいところがあるのよ~』って言うもんですから。聞けば、はるか昔にその国の王とケンカして、『もう知らないっ!』って拗ねちゃったんですって。そしてそのまま忘れてたらしいんですよね~。」
― 護衛様から聞いたお話とは、なんか違う・・・怒らせたって言ってなかったっけ?
「そ、それは・・・女神様のお怒りを受けるようなことをしでかしたのですよね。」
「その年に献上される酒の品種が変わっていたとか。」
「・・・は?」
「酒の味が落ちていたとかで、王様と言い争いになったらしいです。」
「・・・え?」
― ちょっと待て。
いくら王様だからって、女神様や神様とホイホイ会話なんてできるの?
献上すらサボっていたなら話は違うけど、ちゃんと献上してたんだよね?
「えっと、それって悪意を持って質を落とした、のですか?それに、ケンカって・・・神様と人間って意思疎通ができるのですか?」
私の疑問に、ケヴィン様はニッコリと笑って答える。
「古の時代、神と人間はずっと近しい存在でした。人間も神の姿を認識できるくらいにはね。よき隣人として過ごしていた時代もあったのです。一国の王となるような人物には少々特殊な力があったかもしれませんが。」
「は、はあ・・・なるほど。」
― それって・・・林檎を食べて楽園から追放されるあたりのお話ではないだろうか。
特殊な力とは、神様と交信できる、巫女様みたいな力なのかな。
「女神様の加護があるとはいえ、自然は人間の思い通りにはなりません。たまたま酒の材料が不作だったのでしょうね。仕方なく、別の材料で作ったのだと思いますよ。」
「でも、女神様のお気に召さなかったと・・・。」
「そのようです。『私も若かったのよね~』なんて言ってましたね。そういえば、とふと思い出したのが人間の時間で数百年後だったというわけです。」
― 神様の時間感覚って、どうなってんの。
「女神様も後悔してらっしゃいましたよ。なので、今回の件も快く引き受けてくださいました。あの天災はどちらかというと、砂漠に雨を降らせる目的のほうが大きかったようです。」
― ええと、それじゃあ、聖女様が前にいた国は、いいトバッチリだったってこと?
でも、制裁の意味も込めてるんだろうから・・・一石二鳥・・・なのか?
「あ、そうそう、聖女様の件ではミサトさんにもご迷惑をおかけしました。」
― ご迷惑って・・・リュウ先生のことだろうか。
「そのお詫びと言ってはなんですが、ちょっとしたオマケをつけさせてもらいました。」
― オマケ?って・・・なに?
「ふふ、聖女様、すぐお帰りになられたでしょう?効果絶大だったようですね。」
・・・・・・王子殿下のことか!
独身の王子様が都合よくいるもんだ、と思ってたら、天界サイドで用意されていたってこと?
ほんと、どうなってんの!?




