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エメラルドの聖女様の動向が気になって仕方ない私は、お付きの天界の方に思い切って聞いてみることにした。
天界の方は、「ふふふ」と不敵な笑みを浮かべながらも、快く答えてくれた。
「聖女様がいらっしゃる国は、どういったところなのですか?また辛い思いをされてたりしませんか?」
聖女様の態度には思うところは山ほどあるが、以前のような扱いをうけないか心配な気持ちもある。
「ご心配には及びません・・・と言いたいところですが、少々暮らしにくい土地でして。」
― 暮らしにくいとは・・・?
神様への信仰がなくて受け入れられないとか、しきたりがまったく違うために生活もままならないとか?
少なくとも、虐げられているようには見えないけれど。
「暮らしにくいとは、具体的にお聞きしても?」
「いや~、見渡す限り砂、砂、砂。それに暑くて暑くて。日差しを遮るものが少ないので、私もすっかりこのようになってしまいました。」
― 砂ばかりって、まさか砂漠?それに暑いって、サハラ砂漠とか、ああいった感じのところ?
あ・・・どこか違和感があると思ったら、肌が少し浅黒いんだ。
天界の方も日焼けするんだ!びっくり!!
「それはまた・・・大変な環境ですね。」
「その昔、その国の王様がやらかして女神様を怒らせちゃったらしくて。それで、不毛な地になってしまったというわけです。」
― ・・・女神様、こえぇ。
神様を怒らすって、なにをやらかしたんだ、その王様は。
「聖女様にケガを負わせて女神様がキレちゃったとき、けっこうな天災がおきまして。砂漠の国にまで影響が及び、降るはずのない雨が一週間続いたんだそうです。」
― どんだけの影響力なの!けっこうな距離があるでしょうに。
渦中の例の国の被害はいかばかりか・・・物理的に水の都になったのでは・・・。
「は、はあ。」
「天変地異の前触れか、と戦々恐々としていたタイミングで、聖女様の降臨、というわけです。聖女様のあのお力でしょう?育つはずのない植物を根付かせ、大地を土に戻す。そりゃもう大騒ぎです。今では聖女どころか、女神様のように敬われていますよ。」
― ケヴィン様が、ドラマチックな演出がどうとか言っていたけど、行き先でもか!
・・・そっか、聖女様はずっと欲しかったものを手に入れたんだ。
しかし、かなり暮らしにくい土地であるが、それは・・・いいのか?
「聖女様が不遇な扱いを受けてないようで、安心しました。でも、生活は大変そうですね。」
「そうですね。何百年と放置されていましたから、とても貧しい国であることは確かですね。」
「でも、聖女様のお力があれば、皆さんの生活も安定するのでは?」
「元に戻るまでには、百年単位の時間が必要でしょうね。とはいえ、聖女様の降臨で国に活気が戻りつつあることは確かですよ。」
― ということは・・・聖女様は生きている間ずっと働かなくてはいけないの!?
真面目で責任感の強い聖女様が、途中で放り出すとは思えない、けど・・・。
それって、かなりブラックな環境じゃないのかしら!
「それに、貧しいながらも王国ですからねぇ。丁度いいことに、王子殿下も独身でいらっしゃる。最近は仲睦まじく共に植物を育てていらっしゃいますよ。ま、そういうことですので、早く帰りたくて仕方ないのではないかな。」
「な、なるほど。そうでしたか。」
― 王子殿下様も、国の状態がそんなだから、結婚以前のお話だったのかも。
そう・・・そっち方面でも欲しいものが手に入りそうなのね。
ああ、そう、そうですか、良かったじゃないですか。
「私もそろそろお役御免かな。少々辺鄙なところでもやっていく自信はありましたが、今回は過酷すぎました。聖女様が落ち着いたら交代する予定なんですよね。」
「お役御免、ですか?」
「私、前の国で聖女様の護衛をやっていた者です。ここにも何回かお邪魔してたんですが、気付きませんでした?」
― あっ!見覚えがあると思ったら、護衛の方だった!!
ってことは、前の国から今の国まで、ずーっと聖女様のお世話をされていたのか。
そのうえ、どれだけ過酷な環境でも常駐しなければならないなんて・・・。
天界ってのも、なかなかキビシイ職場なんだな・・・。




