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リュウ先生と勇者様の背中を見送る。
勇者様の本当の望みは叶わないかもしれないけど、それが勇者様の決断なら、それを尊重するしかない。
あとは、みんながそれなりに幸せに過ごせるよう祈るしかできない。
「勇者様は、彼女さんに会うでしょうか。」
「どうだろうな。お互い前に進むためには、会って話したほうが踏ん切りがつくだろうけど、フェードアウトしたほうがいい場合もあるから、彼次第じゃないか。」
「彼女さんに会って、今日の決断が揺らいじゃったら・・・。」
「それも含めて、勇者の決めることだろうさ。どう転ぼうが、俺たちはこれまで通り、定期的に面接を行って、二室の世話にならないようケアしていくだけだ。」
「そうですね。やることは変わりませんね。・・・それにしても、リュウ先生って素直じゃないな~。」
「あ?なんのことだ?」
「ふふっ、お酒の席の話ですよ。最初から快く付き合ってあげればいいのに、あんな言い方して。」
「・・・・・・うるさいな。プライベートでは付き合わないのが基本だろ。特別扱いは1度きりだ。」
― またそんなこと言っちゃって~。
本当は、労いたい気持ちでいっぱいのくせに~。
「はいはい、ソウデスネ。」
「なんだ、その返事。そんなミサトさんには、教育的指導が必要だな。」
― けっこうです、謹んでご遠慮申し上げます。
と言いかけたところで、ふとスケジュール表が目に入った。
「・・・そんな時間はなさそうですよ。」
「時間は作るものですよ、と言いたいところだが、どうした?」
― あ~・・・いずれは来ると思ってたけど、とうとう来たか。
ちょっとほっこりした気持ちが、急にしぼんでしまった私であった。
「来週、聖女様の予約が入ってます。」
「聖女?どこの聖女だ?」
「女神様にザマァされた国の聖女様です。」
「・・・そういえばそういうのもいたな。ずいぶん間が空いたな。」
ケヴィン様主導で、召喚された国から別の国へと旅立ったエメラルドの聖女様。
新天地で薬師としてやっていくために、リュウ先生の指導を受けていたあの聖女様。
旅立つ時には、私はいないものとして扱われた、あの聖女・・・(しつこい)。
やっぱり、リュウ先生にご指導いただくために、またいらっしゃるんだよね。
また、アレを見せられるのか・・・はぁ・・・。
「また盛大なため息だな。少しは隠せ。」
「・・・すみません、つい・・・。」
リュウ先生は、フッと笑った。
「もうミサが心配することはないよ。ジジィ神官との間で解決していることだから。」
― ケヴィン様と?え、いつの間に?解決ってなに?
あ・・・お見送りの前日にアズ師匠が来て、締め出されたんだった・・・あの時か!
「解決って・・・アズ様が来た時ですよね。なにがどうなってそうなったんですか?」
「なにがどうなったんだっけなぁ?そんな前のことはいちいち覚えてないな。そういえば、レイの担当の聖女はどうした?」
― 話題を変えやがった!
「時々、こっそりアズ様のお店に遊びに来てるみたいですよ。って、そうじゃなくて。」
「はぁ~、聖女が来るとなると、また調べ物が増えるな。良かったな、俺の教育的指導がなくなって。」
― どこまでもしらばっくれるつもりかい。
「そういうことじゃなくてですね。」
「え、違うの?じゃあ、俺の教育的指導を受けたいのか?そうかそうか、ミサも勉強熱心だな。ははっ。」
「もうっ!はぐらかさないでください!」
「ミサが嫌な思いをするなら、その時間は三室を不在にしてもいいよ。せいぜい1,2時間で終わるだろうし。」
― えええ、以前は一日中ベッタリだったのに?
「大丈夫です。私だって大人ですから公私混同しません。ちゃんと三室にいますー。」
目の届かないところでベッタリされたら、そっちのほうが気分悪いってば!




