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ルカ君とミカ君は、報告を終え、三室を後にした。
引き続き、情報収集にあたってくれるとのことだった。
ルカ君とミカ君のメイド姿を妄想して、うっとりしている場合ではない。
勇者様を取り巻く状況は、なんとも微妙な好待遇であり、かえって身動きが取れない感じだ。
王女様も大変美しく謙虚な方のようだし、彼女さんのお相手も誠実で未婚の独身男性だという。
安定した生活を取るか、愛情を取ってジェットコースターのような生活を送るか・・・。
勇者様の決断を尊重はするが、どちらもありだと思うから、どちらも強く勧められない。
「リュウ先生・・・これは困りましたね。」
「なんだろうな、真綿で首を絞められている感じがするな。」
― そう、それだ、そんな感じ!
『自分が身を引けば、相手が幸せになるんじゃないか』とか思わせるヤツ!
「どっちをとっても不幸にはならないですもんね。むしろ愛の逃避行をするほうがリスクが高そう。」
「愛の逃避行って・・・何歳だよ、お前。俺だってそんな言い方しないぞ。」
「じゃあ、リュウ先生はどういう言い方するんですか?」
「そこはシンプルに、駆け落ち、だろう。演歌じゃあるまいし。」
― 演歌って、そっちこそ何歳だよ。
って、リュウ先生って、演歌とか歌うんだろうか・・・。
リュウ先生がマイクを持ってカラオケで歌ってる姿・・・はっ、いかんいかん、横道にそれすぎた!
「こういう場合って、勇者様と彼女さんが、きちんと会って話したほうがいいんでしょうか。」
「う~ん・・・普通ならそうなんだけどな。かえってこじれそうな気がしないでもない。」
― 数年ぶりに会って、盛り上がっちゃって、一時の勢いに任せて突っ走ったら、後悔する事態になっちゃうかもしれない。
勢いに任せないと物事が進まない時もあるけど、でもなぁ~・・・。
小心者の私は、どうしてもリスクの高い選択ができない。
家族を巻き込んでしまうなら、なおさらだ。
「まずは、次の面接でなにを話すか聞いてからにするか。」
「勇者様に、こちらの情報を伝えますか?」
「場合によっては、だな。これは俺の勘だけど・・・」
― 出たな、百戦錬磨の勘!
だいたい当たってる、猛者の勘!
「あの勇者君、もだもだしてる間に流されそうな気がするなあ・・・。」
「それは、王女様と結婚するって流れですか?」
「ん~、同じ流されるにしても、腹括らせないとな。」
― これは、またしても厳しい現実を突きつけようとしているのではないだろうか。
自分と彼女さんと王女様の人生がかかっているもんね、仕方ないよね。
とはいえ、聞いているこっちも抉られるので、ほどほどにしていただきたいものである。
リュウ先生が勇者様で、私が彼女さんで、同じ立場だったらどうするだろう。
私なら・・・・・・・・リュウ先生を諦めることなんて、できない。
多分、自分から身を引いてしまうけど、ずーっと、一生、リュウ先生を想い続けながら生きていくと思う。
別の人との結婚は、とてもじゃないけどできそうにない。
家のためというくらい、大それた家ではないし、仕事を続けてさえいれば、一人でだってどうにか暮らせる。
― リュウ先生だったら、どうするのかな。
聞いてみたいけど、それは怖くて聞けない。
少しのモヤモヤを抱えながら過ごしていると、勇者様から面接の予約が入った。
最初の面接から、一週間ほど経った頃であった。




