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「君の選択肢は3つある。」
リュウ先生が、勇者様に向けて、指を3本たてた。
「3つ、ですか。」
「そう。一つ目は、予定通り彼女と結婚する。二つ目は王女様と結婚する。そして三つ目は、どちらとも結婚せず逃げる、だ。ただ、どの選択をしても失うものは大きい。」
― 一つ目は、愛情は得られるけど安定した暮らしはできない。
勇者様と彼女の覚悟が試される。
二つ目は、愛情は得られないけどそれなりの暮らしは約束されている。
ただ、富と権力に目が眩んだと、勇者様の評判が落ちる可能性がある。
三つ目は、愛情も安定した暮らしも失うことになる。
最悪の場合、お尋ね者になってしまうかもしれない。
「・・・はい。わかります。」
「どの選択をしても後悔は残る。しかし、他人に結果を委ねるのが、一番後悔が大きいと思う。」
「・・・そう、ですね。はは・・・なんか逃げ出したくなってきました。」
勇者様が、泣きそうな顔になっている。
― そりゃそうだ、もっともだ。
ズルイかもしれないけど、逃げたっていいんじゃないかな。
「すべてを放棄して逃げるのも、立派な選択だ。でも、それはいつでもできる。その決断をするのは最後の最後でいいんじゃないかな。時間は限られているが、よく考えて。」
「・・・はい。」
「君が逃げる選択をした場合は、私たちにも協力できることはある。それを忘れないでほしい。」
「勇者様、誰かに話すことで気持ちの整理がつくことがあります。私たちはいつでもお話を聞きますから、遠慮なくいらしてください。」
― これは、緊急事態だ、うん。
一週間前の予約なんてしてたら、いろんな意味で手遅れになるかもしれないもの。
「はい、ありがとうございます。逃げてもいいんだと思ったら、少しだけ気が楽になりました。」
「君の選択は、君のものだ。私たちはそれを尊重するし、協力できることがあればする。あと、命の危険を感じたら、すぐにこっちに来るんだ。」
「わかりました。その時はお世話になります。またすぐに来ちゃうかもですが・・・。」
「いつでも歓迎しますから、迷惑だとか思わないでくださいね。ハーブティーを飲んで睡眠はとってくださいね。」
― 悩んでいるときの睡眠不足は、どんどん悪い方向にいっちゃうもんね。
なんか、転移者の皆さんにこればっかり言っている気がするけど、一番大事なことだから仕方なし!
そして、ハーブティーを渡して本日の面接が終了した。
「・・・また二室に調査依頼が必要だな。」
勇者様を見送りながら、リュウ先生がボソッと呟いた。
「調査ですか?勇者様の調査?」
「なぜ、そこまでして王女と結婚させたいのか、市井の噂はどこまで広がっているのか、あとは、彼女が今どうしているのか、あたりかな。」
「そこまで!?」
「あの勇者は、誰かさんと同じで、情に絆されて騙される可能性がある。それに世情に疎いようだから、こちらが正確な現状把握をしておかないとな。」
― あの~・・・突っ込んでもよろしいでしょうか。
「・・・その誰かさんって、誰のことですか?」
「さあなあ、どこの誰だろうなあ。」
― その目つき・・・絶対、私のこと指してるよね。
「さあて、俺は二室に行ってくる。ああ~・・・天界もか・・・。ミサ、ジジィ神官のところに行ってくれるか?」
― チッ、逃げやがった。
「ケヴィン様のところですか?天界の協力が必要ですか?」
「秘密裏に彼女に会うには、神殿の協力が必要だろ。まあ、会う決断をした場合だけど。」
「あっ・・・なるほど。外に出してもらえなさそうですもんね。わかりました。」
その後、リュウ先生は二室に調査依頼を、私はケヴィン様に協力依頼をしに行った。
ケヴィン様は、普段の3割増しくらいキラキラしていて、二つ返事で引き受けてくれた。
甘えてるとか指摘されなくて、良かった~。




