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ようこそ異世界転移センターへ  作者: カイ


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3か月にわたった、2人の勇者候補君の事件もひとまず落ち着いた。

光の勇者君は、1か月に1回、面接と実技指導にセンターに訪れている。

闇の勇者君は、アズ師匠経由でセレス様にコンタクトを取ってもらっているが、返事はもらえないままだ。

マイケル先生とも相談し、無理強いはせず、まずは会ってくれるまで粘り強く働きかけることにした。

セレス様が、『悪いようにはしない』と仰ってくれたので、それを信じて待つしかない。


変わったことと言えば、リュウ先生が定期的に二室に行くようになった。

仕事のお手伝いかと思ったら、なんと、キャロルさんとケリーさんに空手を教えることになったというではないか。

キャロルさんが殴る蹴る・・・恐れていたことが現実となってしまった。

あの陶器のような白い肌に、アザなんてつけようものなら、アリィさんが黙ってないと思うんだけど、大丈夫だろうか。

私も一緒に習いたいと言ったところ、『ミサはやめたほうがいい』と速攻却下をくらった。

運動神経の問題だろうか・・・むむ、解せぬ。


さて、本日はしばらくぶりに面接に来る転移者の方がいる。

その人も勇者と呼ばれている人であり、つい先日、無事に帰還を果たしたとのことで、報告がてら面接を行うことになった。

その勇者様も、やはり魔王討伐に向かった人だった。

討伐対象と言えば、魔族や魔王である。

魔界の方たちと仲良くさせてもらっている身としては、魔王様が少々不憫に思えてきた今日この頃である。


しかし、転移者の方は、聖女様や勇者様が多い、多すぎる。

勇者様なんて、国を挙げて探せばどこかに強い人がいるんじゃないかと思うのだけど、やはり異世界の人の力って特別なんだろうか?

エリィ様とルキウス様に不名誉なお墨付きをいただいている私には、さっぱり理解できないメカニズムである。


今回の勇者様の担当は、もともとジュエル先生であった。

助手は私で、何回かお会いしたことがある。

若い男性なのに珍しいな、と思ったら、途中でマリアさんからジュエル先生に変わったらしい。

何故かというと、好きな女性がいたからだ。

その女性とどうにかなりたくて、ジュエル先生にそっち方面のアドバイスを求めたとのこと。

ジュエル先生から引き継いだのは、もちろんリュウ先生である。

・・・包容力の塊みたいなジュエル先生から、正反対の腹黒オレ様のリュウ先生が引き継いで、混乱しないだろうか。

勇者様が討伐に向かったのは、まだジュエル先生がいた頃であったため、引継ぎ後、初めての面接であった。


「転移者の方をお連れしました。」

いつものように、天界の方が勇者様を伴い三室を訪れた。

討伐に向かう前に会ってから、もう2,3年が経ったはず。

まだ少しあどけなさが残っていたその顔は、精悍なものに変わっていた。

口元や眉のあたりに、ところどころ傷も残っている。

その様子から見ても、かなり苦労して討伐という偉業を成し遂げたことが伺える。


「お久しぶりです。無事にお役目を果たされたと聞きました。お疲れさまでした。」

「ありがとうございます。どうにか帰ってくることができました。」

私は、勇者様を診療室へと案内し、温かいハーブティーを淹れる。


「ああ~、懐かしいな、この味。なんだかほっとします。」

「そう言ってもらえると嬉しいです。お帰りの際は、またお渡ししますね。」

「はい。あれ、今日はジュエル先生ではないのですか。あなたは・・・薬の先生でしたよね。」

診察用の椅子に座っていたリュウ先生を見て、勇者様が不思議そうな顔をした。

「私はリュウと申します。ジュエル先生は事情があってここを離れました。これからは私が担当となります。あらためてよろしく。」

「助手は引き続き私が務めますね。またよろしくお願いします。」


「そうですか・・・。困ったな・・・。ああ、いえ、またよろしくお願いします。」


どうやら、今回の勇者様も問題を抱えているようだ。

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