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光の勇者君の話は続いた。
元の世界に帰っても、待っているのは退学処分で、明るい将来は見込めないことから新しい世界に行くことに決めたこと。
それが、闇の勇者君のアドバイスだったこと。
闇の勇者君が、光の勇者君と一緒に行くと聞いた時には驚いたそうだ。
その理由を聞いたところ、2回も止めに入った自分も同じ扱いをうけるだろうし、なにより光の勇者君がうまくやっていけるか心配だから、だったそうだ。
そして、キャロルさんとリュウ先生のお見立て通り、友人関係にしておいたほうが問題に対処しやすいからそうしようと決めたとのこと。
権力者に逆らったら、いろいろ手を回されそうだし、最悪家族にまで被害が及ぶかもしれない。
いつの時代も、どこの世界も似たようなものなんだな、と残念な気持ちになった。
そして、光の勇者君を心配する気持ちも、少しだけわかる。
なぁなぁにすることがいいわけじゃないけど、そうしたほうがいい場合もある。
言葉にするのが苦手なのか、すぐ手が出ちゃう感じだもんなぁ。
「あいつの立ち回りを見ていれば、討伐に行きたいんだな、ということはわかりました。」
「それはどうして?」
「戦い方が、連携重視だったからです。周りとも余計な波風をたててなかったし。僕はそういうのは苦手なので。」
「そういえば、君は討伐が目的じゃないって言ってたね。」
「新しい世界でも、前と同じような組織で、正直辟易してました。しかし、出て行こうにも先立つものがないとどうにもならない。あそこにいたのはある程度の生活費を稼ぐためです。討伐にはどちらか1人が行けばいいと思ってましたから、抜ける前提で動いてました。」
― 若いのに、ずいぶんと金銭感覚がしっかりしてる。
平民だって言っていたし、お金に苦労して育ってきたのかもしれない。
「なるほどね。彼は君の気持ちに気付いていたかもしれないね。それで利害関係の一致というわけか。」
「そうかもしれません。僕の態度もあからさまでしたから。」
― そういえば、力でねじ伏せたとか言ってたっけ。
任務も訓練も、サボりがちだったのかも・・・闇の勇者君が引っ張り出してたんだろうな、きっと。
「あいつが、魔族側についたのは、やっぱり王女の発言が原因ですか。」
「そうだね。最初から行くつもりだったとはいえ、居づらくなったと言っていた。それに、彼を助けた魔族も危害を加えないどころか友好的だった。だから余計にそう思ったのかもね。」
「そうですか・・・。」
「君はこれからどうする?」
「・・・・・・」
光の勇者君は答えられないようだった。
聖女で王女様の一言がなければ、光の勇者君は試合を辞退して、騎士団を辞めて、ドラゴン様の討伐に向かうはずだった。
しかも、闇の勇者君が魔族側について、自分たちの敵になるかもしれないというオマケつき。
ようやく自分のやりたいことが見つかったというのに、全てひっくり返されたようなものだ。
「・・・あいつに会うことはできますか。」
リュウ先生は静かに首を横にふる、
「それは難しいだろうね。我々も拒絶されたからね。会うのは最後だと言われた。会ってどうする?」
「あいつは・・・友人ではないけど、僕の・・・恩人です。なにを思ってあっち側に行ったのか、本人の口から聞きたい。」
「それで君がショックを受けることになってもか?」
「きっと、王女の発言だけじゃないですよね。そのくらいわかります。あいつけっこう腹黒いからな。」
光の勇者君は、ふっと笑った。
「転移者の希望には可能な限り応えるが、今回はできない。それは理解してもらえるかな。」
「はい。あいつに会うためには、自分が行かないとダメってことですよね。なら、このまま騎士団に残ります。それが一番近道ですから。」
「君は・・・それで大丈夫なのか?」
「王女の後ろ盾を最大限活かします。我慢できないときには一人で行きます。」
光の勇者君は、策略というスキルを手に入れたようだ。




