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今、三室は静かな緊張感に包まれている。
今日は光の勇者君が面接に訪れる日。
闇の勇者君は、『利害関係の一致』という関係だと言っていたが、あれだけ必死になっていたところを見ると、光の勇者君はそうではないのではないか。
私たちの見た真実を、どう伝えればショックが少なくて済むだろうか。
いや、どういう言い方をしても、魔族の側についたという事実は変わらない。
今日ばかりは、リュウ先生も緊張しているのか、朝から口数が少ない。
ショックを受けた光の勇者君がヤケを起こさないよう、フォローするのが私たちの役目。
それができるだろうか・・・。
考えても答えの出ない問いを繰り返していると、天界の方が「転移者の方をお連れしました。」と光の勇者君を伴い、三室にやってきた。
診療室のソファーに座った彼に、まずは温かいハーブティーを淹れる。
「彼に会ってきた。ケガはまだ完治していないようだが、元気そうだったよ。」
「そうでしたか。それは良かった。それで、あいつはどこにいたんですか。」
「君の言った通り、北の森に入り、そこで転移装置に触れ、魔族のところにいた。」
「・・・転移装置?魔族・・・?」
光の勇者君は、どうやら転移陣のことは知らなかったようだ。
リュウ先生は、感情のない、淡々とした口調でこれまでの経緯を説明した。
「彼は、君たちのところへは戻らない。このまま魔族の側につくと言っていた。」
「は・・・?」
「もともと、魔族側に行きたかったと。それで時間をかけて討伐メンバーに選出されるよう根回しをしていたと、そう言っていたよ。」
「なんだよ・・・それ・・・」
リュウ先生は、魔族側についた『面白そうだから』という理由は説明しなかった。
「あと、君とは利害関係が一致した仲で、今回のことを話しても君は変わらないだろうから伝えて構わないと。だから君に話した。」
「・・・・・・そうですか。」
それきり、光の勇者君は黙って俯いてしまった。
「君たちは、ここに来た時に友人関係だと聞いた。そうではなかったのか?」
「友人・・・と言われればどうかな。学園でのクラスメイトでした。」
― やっぱり、親友どころか友人関係でもなかったのか。
なら、なぜ2人で世界を渡ろうということになったのだろう?
「差し支えなければ、何故新たな世界へ行くことにしたのか、教えてくれないか。」
光の勇者君は、しばらくの沈黙の後、顔を上げた。
「僕が学園で問題を起こしました。先輩に絡まれたので返り討ちにしてやったんですが、相手が悪かった。退学になりかけたとき、抗議してくれたのがあいつでした。あいつはクラスの代表だったから。」
― やっぱり学級委員長だった!
「相手が悪かったということは、身分の高いヤツか?」
「そうです。僕は平民です。学園では身分は関係なく平等だとうたっていましたが、まあ、そんなわけないですよね。あいつのとりなしもあって、二度目はない、というところで落ち着いたんですが・・・」
― 二度目が来ちゃったんだな。
「なぜ、平民の君を執拗に攻撃していたんだ?」
「あー、模擬戦で僕が勝ったからでしょうね。それまでは周りが忖度してたのか、負け知らずだったらしいから。」
― なんだそいつ、騎士の風上にもおけないな!器の小さいヤツだな!!
「なるほどね。高位貴族が平民に負けたとあっては、体裁が悪いか。」
「そんな感じでしょうね。その後もいろいろありまして、二度目の模擬戦で・・・」
― また返り討ちにしちゃったのか~・・・淡々としてるけど、真っ直ぐな性格なんだな。
「それで、不正したとか騒がれたので、面倒になったので黙らせようと胸倉をつかんだ時、あいつが止めに入ってきました。その瞬間、目の前が真っ暗になって、気が付いたらここに来ていました。」
・・・となると、闇の勇者君は、召喚に巻き込まれたのか。
黒レザーの人に倒れ掛かった私と同じように。




